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「データブローカー」とは?彼らはわたしと一度も話したことすらないのに、友人よりもよく知っている?

こんばんは。
アカン広報(Acompany広報)のはまだ🐧です。

みなさん「データブローカー」を知っていますか?

お馴染みのGPTくんに聴いてみると、データブローカーとは「個人の情報を収集、整理し、第三者に販売する企業や組織のこと」という返答がきました。ここに出てくる個人の情報は、購買履歴やオンライン行動、健康情報、ソーシャルメディアの使用状況など。
パーソナルデータを活用したデータ分析を行う際、その母体数が多ければ多いほど有用であるという力学のもと、米国ではデータを「買う」ことが当たり前となっています。その需要を叶えるものとして彼ら、データブローカーは存在しています。

このデータブローカーについてリサーチしている時、ジャーナリストのマドゥミタ・ムルギア(Madhumita Murgia)氏のこの動画に出会いました。

今回の記事ではこの「データブローカーの手に渡った私のアイデンティティ | マドゥミタ・ムルギア | TEDxExeter」から、データブローカーとはなにか、わたたちの生活にどう影響してくるのか、わたたちが取れるべきアクションとはについて少し考えてみようと思います。

💡この記事の目的
- データブローカーの生態をざっくり理解する
- パーソナルデータコントロールの重要性を再認識する

※動画の文字起こしは、こちらを参照しました。

データブローカーは約10億ポンド(約1,800億円)規模の産業(2017年時点)

My journey to uncover what data companies knew began in 2014, when I became curious about the murky world of data brokers, a multi-billion-pound industry of companies that collect, package, and sell detailed profiles of individuals based on their online and offline behaviors.

日本語訳すると、「データブローカーとは、オンラインおよびオフラインでの行動に基づいて個人の詳細なプロフィールを収集し、パッケージ化し、販売する企業で構成される数十億ポンド規模の産業である」と。

このTED自体が2017年なので、今はより大きな市場に成長しています。ちなみに2020年の米国市場単体で2,680億ドル(約37兆円)。。。

どのような企業がいるのかざっと検索をかけたところ、下記のようです。

ちなみに日本はというと、名簿屋もしくは情報銀行が関係する事業者となります。ここらへんは日本と米国との法規制の違いが大きそうです(今回は割愛)。

データブローカーの「商品」はあなた

Even as you’re listening to me, you may be sedentary, but your smartphone can reveal your exact location, and even your posture. Your life is being converted into such a data package to be sold on. Ultimately, you are the product.

日本語訳すると、「私の話を聞いているときでさえ、あなたは座りっぱなしかもしれないが、スマートフォンはあなたの正確な位置や姿勢までも明らかにしてしまう。あなたの人生は、このようなデータパッケージに変換されて売られているのだ。結局のところ、あなたが商品なのだ」。

日本であれば個人除法保護法、ヨーロッパであればGDPR。。。と各国個人データに関する法律が徐々に作られています。一方で、そのほかの法律(日本だと民法や刑法などといった六法)と比べると2003年成立・2005年施行と新しく、まだまだ専門家があまりいない状況となっています。

彼女の言葉を借りると、”Ostensibly, we’re all protected by data protection laws." (表向き、法律により守られています)。

法律では、個人に直接紐づくもの(氏名やクレジットカード番号など)を企業が利用・活用する際、個人の同意が必要です。
しかし個人に直接紐づかない情報はどうでしょうか?

However, I discovered that online anonymity is a complete myth. Particulars such as your postcode, your date of birth, and your gender can be traded freely and without your permission because they’re not considered personal but pseudonymous. In other words, they can’t be traced back to you without the need for additional information.

日本語訳は「しかし、ネット上の匿名性は完全な神話であることがわかった。郵便番号、生年月日、性別などの情報は、個人情報ではなく仮名とみなされるため、あなたの許可なく自由に取引することができる。言い換えれば、追加情報を必要としない限り、あなたを突き止めることはできないのだ」。

たった3つの情報で個人を特定できる

Well, it matters quite a lot. About a decade ago, Latanya Sweeney, a professor of privacy at Harvard University proved that about 87% of U.S. citizens could be uniquely identified by just three facts about them: their zip code, their date of birth, and their gender.

日本語訳すると「それは非常に重要なことだ。約10年前、ハーバード大学のラターニャ・スウィーニー(Latanya Sweeney)教授は、米国市民の約87%が郵便番号、生年月日、性別の3つの事実だけで一意に特定できることを証明した」。

どのような方法で、彼女(Latanya Sweeney)は個人を特定することができたのでしょうか?

Sweeney教授は、マサチューセッツ州ケンブリッジの有権者の「氏名、郵便番号、生年月日、性別」が記載された有権者記録を20ドルで購入。これを健康記録と照合した。たったこれだけで、当時マサチューセッツ州ケンブリッジの知事自身の健康記録を突き止めました。

知事と同じ生年月日の人は6人しかおらず、その中で男性は3人。知事と同じ郵便番号に住んでいるのは知事だけだった。

この研究に関しては、この論文にまとめられています。気になった方は(英文だが)ぜひ読んでみてください(自分も読もう、長いけど)。

私たちの生活をのぞき見し、マインドコントロールをする👀

For instance, decisions on whether your child gets to go to a certain university or what price you pay for your home or car insurance premiums could be made based on data given to third parties that you never intended to, such as your own lifestyle habits or family members’ ailments.

日本語訳すると「例えば、自分の子供が特定の大学に進学できるかどうかや、住宅保険や自動車保険の保険料がいくらになるかは、自分自身の生活習慣や家族の病気など、自分が意図していない第三者に提供されたデータに基づいて決定される可能性がある」。

自分の意思決定をコントロールされている。その代表的な事件が、2016年の米国大統領選挙にて有権者をコントロールしたとされているケンブリッジアナリティカ事件です。

この事件では、複数人の有権者のデータを複数収集することに成功し、ターゲットとなる有権者のマインドを理解。その上でFacebook上でプロパガンダ広告を打っていたといいます。
詳細は下記のブログを参考にしてみてください。

自分のデータがどのように共有され、収集されているのか「知る」

Instead, I realized that the knowledge itself was empowering. Knowing all the different ways in which my data was being shared and collected made me more responsible about where I put it. For example, I stopped signing up to supposedly free services, for example, a VIP card at my local hairdresser or a discount coupon at your supermarket.

日本語訳すると「その代わり、知識そのものが力を与えてくれることに気づいた。自分のデータがどのように共有され、収集されているかを知ることで、自分のデータをどこに置くかについてより責任を持つようになった。例えば、近所の美容院のVIPカードやスーパーマーケットの割引クーポンなど、無料と思われるサービスに登録するのをやめた」。

現代社会を生きていく以上、個人情報をサービス利用のために入力し、提供することに対して、いち個人が反抗することは難しくなっています。
家を契約する時、車を購入する時、ゲームでアカウントを作成する時…氏名や生年月日、性別、住所、中には年収情報を提供したりします。ドキュメントを記載した上で、プラポリに対して同意をしないと契約は成立しない。。。

では個人はどうすればいいのでしょうか。彼女(Madhumita Murgia)が主張しているように、まずはどこに情報を出すのかをコントロールできるようにする。それしかないのかもしれません。

All I have left is my name.

名前くらいは自分でコントロールしたいですね。

補足:なぜAcompanyがデータコラボレーションに挑むのか?

この記事を書いている最中、某アカン社長が下記のような記事を書いていたので共有しておきます。

“プライバシー保護をしなければいけないが、データの幅を拡張しなければ成果を出すことも難しい。そのようなジレンマの中で、ユーザーのプライバシーを保護しながらデータコラボレーションを実現するニーズが高まっています。 ”

高橋亮祐 『データコラボレーションが必要な理由、日米で差は1000倍以上』

まとめ

  • データブローカーとは個人の情報を収集、整理し、第三者ん販売する企業や組織のこと。市場は2,680億ドル(約37兆円)。

  • 郵便番号、生年月日、性別で個人を特定することが可能。

  • 複数の情報を収集すれば、その人に最適なプロパガンダを打つことができ、ケンブリッジアナリティカがその一例。

  • 現代社会を生きていく上で、自分のデータがどのように共有され、収集されているかを知ることで、自分のデータに責任を持てるようにすることが重要。

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参考文献


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