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LSHTM〜Week6〜

(地下にあるライトで映し出される虫。きっと特注でしょうね。他のことに金をかけて欲しいと思う学生は私だけかしら…)

月曜日(基礎統計)

 サンプルサイズと検出力がテーマ。研究を行う上で、「どれくらいのサンプル数が必要なのか?(求める結果を得るために)」という問いが出てきますが、「こう計算すれば出てくるよ」と教えてくれる、ありがたい回。

火曜日(基礎疫学/公衆衛生の課題)

 疫学は「コホート研究」について。研究手法の強みと弱み、リスク比やオッズ比の計算、考えられる交絡因子など。大学の復習程度なので、そこまで難しくはない。

 「肥満」を例に出し、「肥満を生じさせる原因がいかに複雑なのか?」をレクチャー。貧困、住んでいる環境、支援サービス、遺伝など、肥満の原因は多岐に渡る。
 さらに、介入策も「複雑さ」が付きまとい、仮に「砂糖に対して課税すれば、消費が減って健康な人増えるだろう」と考えて課税をしても、「税を抑えるためにロビー活動は行われるだろう」「売上が減ったとしても、企業は広告を増やして売上を伸ばすかもしれない」「実際に健康な人が増えても『それは別の要因かもしれないし、課税が原因か不透明』というかもしれない」と企業は色々と対策をしてくるだろう。
 また、「ハイリスクの人々に対するハイリスク・アプローチよりも、小さめのリスクを持つ大多数にアプローチした方が、全体で考えた場合に恩恵は大きい」という解説。これは大学で習ったが、以下のリンクが詳しいので紹介。

https://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/08/s0804-3a01.html

 「原因も対策も一筋縄ではない」とはわかっていたが、解像度が上がるクラスだった。

水曜日(健康政策/EAP)
 
テーマは「エビデンスに基づいた政策」。EBMは知っているかたも多いでしょうが、Evidence based policyは初耳に人も多いでしょうし、「きっとエビデンスに基づいて政策を立てるんでしょ?」という印象を受けるかと思います。しかし、実際には医療とは異なり、政策に当てはめるエビデンスに何を採用するかは、政策立案者のイデオロギーも関係してきます。
 また、「どのような障害が政策におけるエビデンスの活用を阻害するのか?」「そもそも、証拠は誰がどのような意図で作っているんだろうねー?(悪意があるんじゃないか?)」などなど。

木曜日(ヘルスプロモーション/ソーシャルリサーチ)

 ヘルスプロモーションは「構造的介入」について。構造的介入は「健康が作られ、再生産される状況を変える介入」との定義。はたまた、「『個人ではどうしようもない、リスクや行動に影響を与えること』に(意図的に介入して)影響を与えること」らしい。具体例がないと絶対に理解できない…

 挙げられた例は、「セックスワーカーへの暴力」。娼婦の方は、働き場所が「屋内」と「屋外」に分かれる。で、「屋外娼婦」は、暴力やうつ症状、ホームレスの有無などのポイントが屋内の方々と比べて高いことが判明。暴力に着目すると、「警察による強制退去」を経験した「屋外娼婦」は暴力を他人から暴力を受ける可能性が高まった(娼婦は安全な場所で客を取りたいが、強制退去によりひと目の付かない場所で働くからより一層暴力が…みたいな感じだろうか?「警察による強制退去」が減れば、屋外娼婦への暴力が若干減少するみたい)。

 警察の行動は娼婦にはどうにもできないため、ここに介入することは「構造的介入」と言える。

 ソーシャル・リサーチは「社会実験」の題。そもそも社会科学とは「社会的な相互作用や相互作用に関するルールや制約、またどのように相互作用が行動や制度に影響を与えるか」を知るもの。
 知るには質的研究が使用されるが、因果関係を調べるのは難しいみたい。また、インタビューを受ける人や観察者の視点は狭いので、観察した現象が広範な範囲にどのような影響をもたらすかは報告できない。量的研究も原因と結果を考察ために必要(理論から導かれた仮説を調べる)
 RCT(ランダム化比較試験)の説明あったのが、方法や注意点は省く。唯一この講義で新しく学んだのは、「RCTの実現可能性と社会学的規模の間にはたぶん逆相関がある」ということ(小規模の実験はできても、『社会は資本主義と社会主義のどっちがいいかRCTで確かめようぜ!』みたいなのは難しいよね)。
 社会実験への批判(批判なんてあるのか!?)として、「実証主義的過ぎる!」ってのあるらしい(実証主義は「知識は感覚的データから生成される」という考え方を含み、理論を変数の羅列のように扱い事など…)。しかし、RCTも使うし、RCTは「理論→仮説→検証」であり、「実験→仮説→理論」ではない(帰納的アプローチではなく仮説演繹的アプローチ)との反論がある。

感想

 記事の更新もできず、授業の予習もままならなくなったのは、明らかにHPPP(公衆衛生政策)の期末エッセーが原因。HPPPのエッセーは時間が掛るので、講師陣からも「おすすめのスケジュール」が出されるほどである。HPPPを選ばれる方は頑張ってください。

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