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夏が終わってしまった

今年もあっけなく夏が終わった。ドイツでは7月になると唐突に夏が終了し、冬が始まる。

というのは嘘だ。まあ、嘘ではないけれど、誇張であるということは否定できない。でも私は昨日なんて湯たんぽを抱えていた。

ドイツ人は吐く息が白くなっても「寒い」なんて言わないし「冬だ」とも言わず、ダウンコートを着込むようになってもなお「まだ暖かい」などと主張するので、たぶん7月も夏だと思っているだろうけれど……

声を大にして言おう。これは夏ではない。譲歩して秋ということにしておく。寒すぎる。20度以下の夏なんてありえない。

しかし今年は日本も寒いらしい。ドイツだけが寒いのかと思って脳内で文句を言っていた私は反省した。

ドイツは避暑地としては良いところかもしれないと思う。散りかけの薔薇がまだ咲いているし、厚手のカーディガンかパーカーを羽織れば寒さもしのげる。

日本で蚊に刺されながら汗をダラダラ流して、甘いスイカを食べ、浴衣を着てそのへんの花火大会に行くよりも、

強がろうと思ったけれど、いつのまにか日本の夏を懐古してしまっている。夏はとりわけ日本が恋しくなる。

日本の夏は濃いのだ。

うるさすぎるセミの声、打ち上げ花火、蚊取り線香、入道雲。

それらのどれもドイツの夏には存在しない。

ただひんやりとした7月が静かにあるだけだ。

夏が恋しい。

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