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【本】[第一章 テレマコス] 『ユリシーズ 1-12』(ジェイムズ ジョイス、柳瀬 尚紀 (翻訳)/河出書房新社)

こんにちは、『猫の泉 読書会』主宰の「みわみわ」です。

今日は初めて、『ユリシーズ 1-12』の1章を読みました。
ユリシーズってよく聞く題名でしたが、読んだことありませんでした。

手ぶらで、何も調べないで頭から読み始めました。
なんだかハムレットの舞台になりそうな、風通しがひどく良さげな、海に近い塔で暮らす怪しい三人の若者の朝ごはん場面と、込み入った人間関係をきっかけになにやら事件が起こりそうな不穏な雰囲気でした。もっと先を読みたくなりました。

それにしても、普通の人は、ユリシーズを読むときに、ちゃんと事前に調べてから読むのでしょうか? 本を手に取ったら、なんだか早く読みたかったので、えいやで一章読み終えましたが、普通はどういう風に読むのでしょうね。

本の雰囲気と、えいやーで読んだ手応えをメモします。

〇本の帯からわかったこと

・ダブリンでの1904年6月16日の話らしい
・ユリシーズは全18章だけど、その12章までが収められている
・なぜなら、翻訳者の柳瀬尚紀さんが翻訳の途中で亡くなられたから。
・柳瀬さんは、注をつけずに全訳をしたかったようだ。(きっと、注のせいで本文を読む気持ちを削がれるのがお嫌だったのでしょう)

注釈本のこまぎれ翻訳に時間を費やすくらいなら、将棋を指すか猫と遊ぶか旨いものをツマミに飲むか、ほかにまだまだ面白くて刺激的なことが世の中にはある。–柳瀬尚紀(『翻訳は実践である』より)

〇目次

第一章 テレマコス
第二章 ネストール
第三章 プロテウス
第四章 カリュプソー
第五章 食蓮人たち
第六章 ハーデス
第七章 アイオロス
第八章 ライストリュゴン人
第九章 スキュレーとカリュブディス
第十章 さまよえる岩
第十一章 セイレン
第十二章 キュクロープス

〇第一章の感想と粗筋

はじめの三行を読んだ時、ちょっとだけ目が回りました。
「ここは一体どこやねん! 教会の祭壇の裏かい?!」

実は第一章はじまりの11ページの右側に、ちゃんと説明が書いてありました。
全ての章の始まりには、出来事の起きた時刻・場所・登場人物が書いてあるようです。おちついて読みましょう、わたし。

第一章は、1904年6月16日AM8時~8時45分の出来事で、
場所はダブリンにあるマーテロウ(海岸砲塔)で、
思慮深げな主人公と思しきスティーヴン・デッダラス(22歳)が登場します。

友人のバック・マリガンはちょっとイカレている若者のようです。そのくせ、神経質に人の顔色をうかがうタイプ。

朝食前にマリガンとスティーヴンは、鬚を剃ります。もう100年以上昔の物語だと感慨深く思うのは、泡立てた石鹸を塗りたくって剃刀で鬚を剃るから。鏡も必要です。

ヘインズというイギリス人の男が滞在中。前の晩に、黒豹についてのうわごとで夜うるさかった模様。
ヘインズがずっと滞在するなら、スティーヴンは塔を出ていくとマリガンに言い、二人は険悪な感じになる。

この二人は仲が良いのだか悪いのだかわからない。
母同士も知り合いのようだ。もしかして、スティーヴンはマリガンに弱みでも握られているのでしょうか。

スティーヴンの母が死んだときの経緯が、二人の間にわだかまりを残している。マリガンの率直すぎる言い方が、スティーヴンを傷つけている。
 
スティーヴン、マリガン、ヘインズで朝食の用意をしているときに、ミルク運びの老婆がやってくる。老婆にミルク代を支払ったのでマリガンはお金がなくなった。スティーヴンは給料日らしい。
ヘインズはお金持ちの文学愛好者らしい。

塔の借主だったスティーヴンは、鍵をマリガンへ渡してしまった。
続く第二章は、スティーヴンの勤務先の学校の話なのかも。
 
■気になったことのメモ

・聖ウルスラがアーシュラなのは読み方の違い?
・僕のひび割れた鏡?
・クライヴ・ケンソープの部屋?
・マーターリッチモンドって病院? マリガンの勤務先?
・スティーヴンの父親はイエズス会信者?
・イグナチオ・ロペス・デ・ロヨラ(1491年-1556年7月31日)はカスティーリャ王国領バスク地方出身の修道士。カトリック教会の修道会であるイエズス会の創立者の1人にして初代総長。バスク人。
・スティーヴンは小学生の先生?
・スティーヴンは女嫌い?
・噬臍 (ぜいせい):ほぞをかむ。噛もうとしても口が臍に届かない
・マリガンは、ヘインズから金をせしめようとしている。ヘインズの銀のタバコケースからお金持ちっぽい
・エルシノアー海に面したこの塔はハムレットの舞台ぽい

〇ふりかえり

一章を読む限り、とても不穏な予感がしてわくわくします。
スティーヴンは今後どうなるでしょうか?
予想:
 何かを我慢し続けた挙句に暴れる
 旅に出る
 恋に落ちる
 その他
とてもとても気になるので、続けて読んでみます。

■本日の一冊:『ユリシーズ 1-12』(ジェイムズ ジョイス、柳瀬 尚紀 (翻訳)/河出書房新社)

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