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【映画】『ブック・オブ・ダスト~美しき野生~』

こんにちは、『猫の泉 読書会』主宰の「みわみわ」です。
昨日、4月23日(土)にTOHOシネマズ日本橋にて行われた映画『ブック・オブ・ダスト~美しき野生~』のプレミア上映会に行ってきました♪

『ブック・オブ・ダスト~美しき野生~』公式ホームページ:https://www.ntlive.jp/bookofdust

5/13(金)公開の映画を先行で観られて、しかも、作家・村山由佳さんと、東京大学教授・河合祥一郎先生のトークも聴ける♪という、素敵なイベントでした。トークと映画の感想を書きます。

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最初、映画タイトルだけ見て「本の埃…!?」って首をかしげていました。実は、埃ならぬ、「ダスト」とは「ライラの冒険」シリーズに出てくる重要な…設定なのです。

「ライラの冒険」シリーズは、フィリップ・プルマンの「黄金の羅針盤」(1995)、「神秘の短剣」(1997)、「琥珀の望遠鏡」(2000)の三部作です。でも、正しいシリーズ名称は「ダーク・マテリアルズ三部作」です。「ライラの冒険」シリーズとは映画化されたときに使われた日本ならではの呼び方のようです。

ライラは、自由を求める気が強い女の子です。このライラが生後6カ月の赤ちゃんだった時の物語が、英国で舞台化されて、さらにそれを映画化したのが今回の『ブック・オブ・ダスト~美しき野生~』です。

「スターウォーズでいうとエピソード1という位置づけ」とは、作家の村山由佳さんの説明で、なるほどと思いました。

一方の河合先生は、ご自分も演出もなさっている関連で、劇場や演出について。今回の劇場は三面に客席があり、とても小さなステージで観客のすぐそばで役者たちが演じていて、それでCGや照明などを駆使して、見事な場面展開をしているそうです。「舞台で水が流れるなんて、どうするんだろう・ と思っていた」そして、小さい劇場ですから、「次の場面に出る役者たちがどこでスタンバイしているか」を見るのも楽しみなのだそうです! 

『ブック・オブ・ダスト~美しき野生~』の「美しき野生」はカヌーの名前なのだそうです。「洪水」の物語にちなんで、村山由佳さんは黒地に水の模様の素敵な着物姿でした。

村山由佳さんは『ナルニア国物語』との比較もお話していました。
ナルニア国物語と比べると、断然、ライラの物語は清濁併せのむ考え方があります。まっ白で影のない世界では人間は生きていかれないのでは? という指摘はもっともです。昨今の状況は、当事者ではない人たちが白黒の2たくで裁こうとするからむやみに息苦しくなるんですよね。
当事者たちが適切な濃淡のグレーで対応できたら理想だったのでしょう。でもその際、当事者に数えられるべきだった人の声がこれまでうまくすくいあげられなかったこと、それがずっと積み重なっての状況とも察せられます。そうすると、第三者の視点を入れて風通しをよくする必要もでてくる。とはいっても、適切な第三者を選ぶのが難しいですよね。

映画は、ネタバレを避けて書くと、ホントに洪水のシーンは圧巻でした。舞台に水が氾濫していました。
「ダイモン」と呼ばれるライラの世界での、人間ひとりひとりが持つ魂の片割れの動物たちは、生きているかのように繊細な動きをするパペットで表現されていて素敵でした。
12歳の少年役のおじさん? はホントに12歳の少年でしたし、ライラ役の赤んちゃんは名演技だった! 
ライラの父母たちの愛憎は原作同様に深く切なかったです。

原作を知らず初めてライラの世界を知る人でも分かるような説明の会話がちゃんとあったので大丈夫ですが、「黄金の羅針盤」だけでも最後まで読めば、楽しみは増えると思います。
わたしはこの先行上映会のことを知ってから慌てて上映当日までに刊行順に進めようとして、「黄金の羅針盤」→「神秘の短剣」まで読みました。もちろん、続きも読もうと思います。

■DATA <プレミア上映イベント>
開催日:4/23(土)
開催時間:17:30 トークショー開始(30分) (休憩を挟む)
18:10 本編上映(本編尺 2時間51分予定)
21:01 上映終了予定

トークイベント出演者:※敬称略
村山由佳(作家)、河合祥一郎(東京大学教授、司会進行を兼ねて)
内容:
本編上映前に、原作者フィリップ・プルマンが創造する世界の魅力から、舞台化で描かれてる世界、演劇自体の注目ポイントを語る​

■本日の一冊:ダーク・マテリアルズI 黄金の羅針盤(フィリップ・プルマン (著)/大久保 寛 (翻訳)/新潮文庫)


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