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原点 〜好奇心〜

幼い頃、私は特殊な病院にいた。

私はなぜ五体満足なの?

あの子みたいに、腕がなければ、

あの子みたいに、足がなければ、

あの子みたいに、管が刺さっていれば。

みんな寄ってきてくれるのにな。

私は全部ある。
手を伸ばすことも、駆け寄ることもできる。

だから、流れに乗って何故かあの子のところへ駆け寄って手を差し出さないといけない気がしてた。

べつにいいの。
みんなで遊ぶの楽しいから。べつに。

でも、たまに、ひとりでベットにいて、
動きたくない時、なんとなく動けない時、

あの子の五体不満足が羨ましくなった。

同時にそう思ってることが申し訳なくなった。

ちゃんと、って何?

目が悪かった私に母は、事あるごとに

「ちゃんと見えてる?」

と聞いた。

いつも私は「うん。」と答える。

病院で検査の時いつも聞かれることがある。

「これ、1つに見える? 2つに見える?」

いつも私は「1つ。」と答える。

そう言えば母や先生が喜んでくれるから。

機械的にいつもの答えを繰り返しているうちに、

ちゃんと、って何?

という疑問は深まっていった。

私の見ている世界はこの世界なのに、
他の人には違うように見えているのだろうか。

私の見ている世界はこの世界なのに、
なぜ手術をするのか。

手術をすると、眼球を取り替えられたように、他人の目を埋め込まれたように感じた。

思うように動かせない。

痛い。ちくちくする。

見えるんだけど目を使いたくなくなった。観ると疲れるから、出来るだけベットの上で目をつぶっていることにした。(点字ブロックってなんてありがたいんだ。)

慣れてきた頃、その眼球を自分のものに出来てきた頃、忘れたかのように再手術はやってくる。

あぁ、またか。

ちゃんと、って何なんだろう。

#原点 #五体満足 #手術 #SevenSeas

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ロジックに疲れた時に来ます。人間の矛盾や葛藤などエッセイにします。エッセイの定義はしていません。
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