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楽しいほうへ。

まもなく42歳を終えようとしている今、私の人生は大きな転機を迎えている。今まで経験したことのない世界に足を踏み入れ、虹色の美しい沼にどっぷり浸かってしまっている。

介護士がライブなんて許されないよね…?

2020年春、コロナ騒ぎの中でも私は変わらずに介護士として働いていた。ニュースでは毎日感染者や重症者、死亡者の数、職を失ったまたは失いそうな人がたくさんいることなどを繰り返し報道されている。しかし身近にコロナの影響を受けた人がおらず、自分には関係のない事だと思っていた。

ライブハウスでのクラスターが疑われたこともあったが、私は別に関係ないし。そう思って右から左。まさかそれに悩まされる日が来るとは思っていない初夏。

ところが同年7月、有能なサブスクの罠にハマり、DEZOLVEの楽曲にハートを射抜かれたことで、私の心は大きく揺れ動く。他の曲はどうかしら…うんうん、どれを聴いてもハズレがない。このバンドの人達はどんな人なんだろう…え!20代!?そんな若いコ達がフュージョンやってるんだぁ。え、YouTubeに動画上げてるの?やだスゴい、やだカッコいい!演ればイカすし喋れば面白い。これ絶対ライブ観に行きたいヤツじゃん!!

でも私は介護士。感染して帰ってきて、気付かずに広めたら大変なことになる。どうしよう、どうしよう…。

あれこれ考えている間に9月になっていた。調べると直近でライブがあるらしい。いやいや私介護士です、行かないです。
一応シフトを確認する…出勤。場所は…本厚木?どこ?調べたら片道3時間コース。あーもうこれ諦めなきゃいけないヤツだよね。そうだよ私介護士だし、場所だどことか関係ないし。

でも…やっぱり行きたい!すごく行きたい!!状況的には諦め案件だけど、行きたい気持ちの方がずっとずっと大きかった。TwitterでDEZOLVE絡みで繋がった友人に『どうしよう』と呟いてみた。そしたら『休んじゃえ!』私を覆っていたガラスがガシャン!と音をたてて割れた瞬間だった。

初のライブ参戦。

夫の反応は思っていたよりずっと寛容だった。『ママだって仕事して稼いでるんだし、いいんじゃない?行ってくれば?』裏を返せば俺の稼いだ金では行くなよ、と言うことね。まぁいいんですそんな事はさておき、許可が出たんだから余計な事は考えず楽しんでこよう。コロナに感染したら、とかそういうことは何も言われなかった。私もセールスマンの夫も職場に多大なる迷惑をかけるかもしれない、子供たちがいじめられるかもしれない、そんな予測は夫の中にもあると思うが言わないでくれているのかもしれない。

私は高校生の頃に1度だけ、同い年の彼氏とT-SQUAREのコンサートに行ったことがある。彼のお父さんが競馬で当てたお金で、予約も何も全部彼任せで連れていってもらった。何の苦労もしていないせいか、申し訳ないくらい何も覚えていない(なんてもったいない💦)。

ライブハウスのライブは初体験だ。予約の電話もドキドキだったが、当日も勝手わからずドキドキ。道中で、履いてきた靴を間違えていたことに気づく。パンプスで来ようと思ってたのにいつもの小汚ないスニーカーで来てしまった。

とりあえずライブハウスのビルの1階に到着。まだ開場の30分前。耳を澄ますと知ってる曲がうっすら聞こえた。リハやってるのかな?いてもたってもいられず5階まで駆け上がった。
先に1人かわいい女性が来ていた。私が階段で上がってきたことにびっくりして『エレベーター使わなかったんですか?』と言った。彼女に教えてもらって初めてエレベーターがあったことを知った。そのくらい周りが見えていなかった。

失敗した…でも来て良かった!

やっぱりスニーカーは失敗だった。というのもしばらくしたらリハーサルを終えたDEZOLVEのメンバーが次々に外に出てきたのだ!こんにちはー、ありがとうございますなどとすぐ目の前で声を掛けてくれた。私はお目当てのベース小栢伸五くんのカッコ良さに腰が抜けて、その場にへたりこんでしまった。

こんなに近くで会えるならもっとおしゃれしてくれば良かった。Tシャツ(DEZOLVEのライブT)にジーンズ、スニーカーなんて女性客は私だけだった。やっちまった、今度はもっと気の利いたキチンとした格好でこよう。

ライブはもちろん200%の大満足だった。まずは小栢くんのベースを体全部で感じる事ができたのと、やっぱり他のメンバーの演奏もすごく好きだなぁと思った。CD音源とは違うアレンジ、1曲毎に繰り広げられる各パートのアドリブソロ。鳥肌&ウルウルのノンストップリフレイン状態。4人のトークもとても楽しかった。

あ~ぁ、新しい世界を知ってしまった。こんな楽しい時間があったとは!
帰り道もライブで知り合ったファン仲間と一緒に電車に乗った。わかれるまでずっとDEZOLVEの話で盛り上がっていた。楽しかった!

ライブハウス、感染リスクは低いと感じた

コロナ流行前のライブの様子は知らないが、ここでのライブは感染リスクはあまりないのではと感じた。観客も少なく、ライブ中に飲食をする人も少なかった。マスクをし、発声もほとんどせずに、座って演奏を楽しむこんなライブなら心配はないかな、と。
ライブ中に自前のアルコールスプレーやジェルで手指消毒をする人もいた。もちろん会場の出入口にも置いてある。みんながクラスター発生に繋がらないよう、細心の注意を払っていた。

とはいえライブに通っているなんてとてもとても、職場の仲間にも、親にも言えない。
コロナに感染したらどうしようか、と言う難問は、答えがでないままずっと頭の中を巡っている。
でも好きなミュージシャンたちが音楽で生計を立てられるよう、たくさん応援していきたいと思う。私たちがスポンサーにならねば、彼らに未来はないのだ。

私にとっての夢の国、DEZOLVEのライブ。
ずっとずっと通いたいと思っている。

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