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極東から極西に行くことにした⑦:カミーノ準備編・浮腫とマメについて真剣に考える


 前回の粗筋

 ピレネー越えと同じくらいの山道を歩いたら足がパンパンになった。



・足パンパンの理由 

 

 前回の復習の意味も兼ねて。
 恐らく、登山に限らず毎日20km程度歩けば起こるであろう足の浮腫み。浮腫はマメの原因となる。理由を幾つか調べて、予防対策に努めることにする。ここら辺を考えるのは得意分野だ。

⑴ 重力
 長距離を歩くと言うことは、それだけ身体の下部に水分が溜まりやすい状況と言える。立ち仕事をしていても起こる現象だ。
 ただ、下肢の筋肉が溜まった水分を押し戻す役割を(心臓に次ぐ身体の第二のポンプ、なんて言われる)するので通常溜まりっぱなしにはならない。サポータータイツなんかが使われるのは、筋、関節や腱の保護だけでなく、着圧により、このポンプ機能のサポートも期待されるからと考えられる。運動に対し十分な筋力がないと、重力負けするのだろう。


ワコールのcwxシリーズ

 普段仕事で弾性タイツやソックスは履かないのだけれど、今回はお世話になる事にした。


⑵ 抗利尿ホルモンの分泌

 運動をすると、身体が水分を留めようとする。
 理由は発汗による脱水や、より身体を動かす為に血圧を上昇(血圧とは、血管の内壁を血液が押す力のこと。水分が多かったり、動脈硬化などで血管壁が硬いと血圧が上がる)させようとするから。
 こうして、脳の視床下部で作られて、下垂体後葉と言う場所からバソプレシン(Vaso/管・血管  press/圧  in/〜する)が分泌される。バソプレシンは、腎臓に、水分を捨てないで再吸収するように働きかける為、本来捨てられる分の水分が身体に戻される。そして、多すぎた水分は血管外へと漏出して組織間に貯留する。

 また、腎臓で、副腎皮質ホルモン(ステロイド)であるアルドステロンも分泌されるため、より水分を身体に保持しやすい状態になる。……アルドステロンについては、レニン-アンギオテンシン-アルドステロン系の抗利尿系のお話があるのだけれど、またそれは別の機会で。

昔の落書きアンギオテンシン君


⑶筋肉痛

 普段よりも筋肉に負荷が掛かると、筋繊維が壊れて炎症を起こす。これが筋肉痛。筋肉が壊れるほどの運動をすると、浮腫の二つの原因ができる。
 一つ目は炎症による腫脹。炎症とは、発赤・腫脹・疼痛・熱感・機能不全(今回の場合動かしにくさ)の5徴候のある状態。細菌の感染や、身体が傷ついた時の免疫反応と言われている。なので、歩きすぎると腫れて動かしにくくなってしまう訳だけれど、これには冷やしたり、抗炎症の湿布なんかが有効。
 二つ目は腎機能の低下。
 運動をするとエネルギーを使う。使った後の老廃物が血中に沢山出ていき、腎臓で処理しきれなくなる。ようは腎臓がキャパオーバーとなり、血液の濾過機能が低下する。腎臓で血液を濾過し、尿となって出ていくはずの水分が身体に残るために、浮腫が起こる。


⑷シャリバテ

 シャリバテとは、運動に対して十分なエネルギーを摂取しない為に起こる疲労の事。エネルギーがないと、自分の身体を壊してエネルギー源にする為、炭水化物を摂取した時よりも多く老廃物が血管に流れてしまう。あとは⑶と同じで腎臓がキャパオーバーを起こす。


 ここまで書いてきて、やっぱり思う。
 十分に下肢の筋力があればなんとかなりそうな問題だ。



・恐怖のマメ



 浮腫の何が良くないか。
 カミーノのお話を聴いたり読んだりしていて出会う、恐怖の足のマメ。どうやらあれの一因になりそうなのだ。

 恐らくマメは、

・靴の中で同一箇所が長時間当たる
・靴が合わず内部で肌が擦れる
・足が湿潤環境にある
・足に浮腫がある

 からできる、足のトラブルだ。
 並べて気づく、これはスタンダードな皮膚トラブルの条件だ。
 上二つについては、足に合った靴を履くしか解決方法が無いように思える。お店で選び、慣らしておく。あとは、本番では靴を脱げる時にこまめに脱いで、除圧する。登山用の靴下を履いたり、中敷を別個で買うのもズレや圧迫に対して有効そうだ。
 よく言われる5本指ソックスも理に適っている。指と指が押し付けられて、その箇所が傷になる事例は何度か見ている。皮膚の予防にワセリンを塗ってガーゼを互い違いに噛ませても良いが毎日は面倒くさい。5本指ソックスなら履くだけだからとても便利。
 
 次は下二つについて。
 湿潤環境、と言うのは濡れた状態のこと。濡れると皮膚が浸軟し、傷つきやすくなる。ゴアテクスが良いのは、通気の良さと外からの水分は受け付けない防水機能がある為。ただし、通気が良いとはいえ、中の水分は逃さないので、やっぱり靴が脱げるなら適当に脱いで汗を逃がしてやった方が良いだろう。ワセリンも肌を濡らさない、皮膚の保護の効果がありそう。

 浮腫は、前述の通りの現象なので、恐らくカミーノ中絶対に起こる。
 水分が身体に貯まるとまず足の方からパンパンになる。パンパンになると合っていたはずの靴のサイズが合わなくなったり、皮膚が薄く伸びてより傷つきやすくなったりする。それに、血管の外……つまり組織間に水が溜まるので、まるで水風船のような状態となる。同一箇所が当たっていたり、擦れたりしていたら、そこに水が逃げてマメになってしまう。
 なるべく軽度の浮腫で済むように日頃の運動が必要だろう。


 他にも何か良い方法が無いか考えているけれど、近道は無さそうだ。やはり、全ては筋肉が解決するのだろう。


・荷物あれこれ①


 トレーニングの合間に集めてはにやにやしていた道具を一部紹介。


・ザック/グレゴリージェイド33

背中が涼しくて良い

 ミレーやドイターのと迷ったのだけれど、こちらにした。ヒップベルトがしっかりしていて良い。身長・背幅的には男性用ズールの方が良いのかもしれないのだけれど、なんせ肩が合わないから、結局ジェイドがしっくりきた。

・ウエストポーチ

 パーゴワークスのウエストポーチ。
 ザックにも付けられて便利。クレデンシャルや小銭入れやオヤツを入れる予定。シャリバテの心配は無さそうだ。


・レインウェア

猟友会オレンジ

 ノースフェイスの青いお気に入りのレインウェアのファスナー部分が壊れてしまった為に泣く泣く新調。マムートのオレンジ。

「かっこいいでしょ? 何故かこれだけセールだったの!」
「なんか猟友会の人みたいねぇ」
「まさかこの色人気がない?」

 母に見せたら猟友会と言われた。
 目立つという事でいいじゃない。レインウェアとしてだけでなく、山の時のように防寒着としても利用予定。


・靴

緑の中敷がかっこいい
カツオドリのメーカーはカラフルで好き

 SALOMONのトレッキングシューズ。マメ予防兼、雨の日の行軍用に、ゴアテクスを仕様しているものを購入。チャムスのサンダルは、アルベルゲで使う予定。シャワールームに入るのに必要だとか?

 今日は絶対必要な3大物品だけ紹介。
 こまごましたものは、また後でお知らせ予定。


 カミーノまで2ヶ月を切り、テンションは否応無しに上がる。一方で中々上がらないのは語学力。スペイン語、少しくらい出来るようにしていきたいな。



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