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極東から極西へ27:カミーノ編day24(Villar de Mazarife〜Villares de Orbigo)

前回の粗筋
マサライフェ村で日本人と三度目の邂逅
ご飯はとても美味しかった。


前回


今回はオルビゴ村まで。
実はそんなに距離は離れていないのだが、英語一休みの日にしたかった為、本日はここで終了。

※10月11日、写真アップ済み!



・Villar de Mazarife〜朝ごはん

 相変わらず6時45分に出発する。
 別に今日は7時でもいいのだけれど、最早習慣なのだろう。よく考えてみたら、日勤の仕事の時も6時45分に出ていたのだから、あまり変わらない。

 出発前にあやさんにまたねと挨拶して、暗い中出掛けた。ほぼ一本道をのんびりと歩く。途中で、ロジャーさん親子に抜かされた。


壁紙コレクション!
カリマさんロジャーさんが良くかけてると激推ししていた。


夜明けの一本道


 明るくなってから程良い距離にあるカフェで朝ごはんを食べた。ロジャーさん親子は食べ終わるところで、またねと言って別れた。多分今日はもう会わないだろうけれど、その内にどこかで出会うだろう。
 エンジェルは、昨夜からあまり調子が良くないらしい。賑やかな場所にいると疲れてしまうのだとロジャーさんから聴いていた。ピアスや派手な刺青はあるけれど、繊細な印象の彼女。早く元気になるといいなと思う。
 
 私が英語お休みデイが必要なように、エンジェルも何かのお休みデイがきっと必要なのだ。

 ところで、ここの朝ごはんのナポリターナは過去1番美味しかった。ほのかに温かく、チョコレートが絶妙な溶け具合だった。カフェ・コン・レチェを飲みながら食べる、最高のナポリターナ。
 お休みデイにしようと決めたから、ゆっくり噛み締めた。
 注文する時の簡単なスペイン語も慣れてきた。


巡礼者のモニュメントを見ながら朝ごはん
最高のナポリターナだった。
あったかくてチョコがとろける。
こんな外見のお店。
靴に花が生けてあった。

・朝ごはん〜Villares de Orbigo


 本来であればDay23のゴールであるオスピタル・デ・オルビゴの街を通り抜ける。時刻はまだ10時前だ。
 ゆっくりのんびりを心がけていたつもりだけれど、まずい。歩くのが速すぎるかもしれない。
 中世の橋と書いてある橋を渡り、ついでだからぺたぺた触り、市街地を通り抜ける。オスピタルの街は静かで、素敵なバーも沢山あった……のだが、今はお腹がいっぱいだ。


こういう平な時計塔が増えた。
鐘までの急勾配。
中世の橋。
ペタペタ触っていたら
何やってるのと自転車巡礼者さんに笑われた。

 この街を抜けた所で再び分岐点がある。今度は北のルートがベストだと前情報で知っていたので間違えないで進みたい。
 慎重に……と思って進んだら、道路にでっかくサインがあったので間違えようがなかった。よく出会うのだけれど、一体いつ、誰が描いてくれているのだろう。


こっちじゃない。成る程。
こっちが本物! とにっこりマーク。
迷わずこっちに進みます。

 のんびりのんびり、と思っていたのにオルビゴ村があっという間に近づいてくる。時刻は10時15分。当然12時半オープンのアルベルゲは開いていない。
 村に到着したのは10時半だった。30km先のアストルガまでこの調子ならいいペースで行けたかもしれない。

 ベンチで日記を書きつつ時間を潰して、11時半にカフェに行き、軽食を食べることにする。ケースの中にはハムとチーズを挟んだクロワッサンが見える。

「えーと、オレンジジュースと、これをお願いします(西)」
「どこから来たんだい?」
「にほんからです(カタコト西)」

 日本かあ!
 と言ってカマレロはにっこにこ。

 ちゃんと絞ったオレンジジュースが先に出され、「ちょっと待ってて」と言われて数分待つと、クロワッサンはホットサンドになってお皿に乗ってやってきた。朝のナポリターナもだけれど、あったかい食べ物は嬉しい。


美味しかったホットサンド

 カフェや道端で何人かの知り合いにさよならを行って、12時半に漸くチェックイン。
 マリンカさんのイチオシだけあって、多分今までで一番綺麗なアルベルゲに泊まることとなった。
 昨日の夕飯に引き続き、カミーノ中今までで一番! と思うことが最近多い気がする。


ブエンカミーノさんアプリに載っていたモニュメント。
アルベルゲの綺麗な中庭

 オスピタレラは親切で、トランスレーターを使ってルールの翻訳をしてくれた。今までと違って清潔な布のシーツに枕カバー。そしてふかふかのタオルまで貸してくれる。

 シャワールームもトイレもホテル並みに綺麗なのだからびっくりだ。
 聞き間違いかもしれないけれど、「ネコ」という名前の猫がいた。大きくて、可愛い顔をしている看板猫。
 ルーチンワークを終えた後、なんだかとてもリラックスできて普段はしない昼寝までしてしまった。

・晩餐会 in 昼間のカフェ、からの本音トーク!


 夕食は、昼間食べたホットサンドのお店だった。アルベルゲの人は日曜日ともあって皆集合している。
 ブラジル、フランス、ネザーランド、ドイツ、アメリカ、台湾、日本。世界各国から集まった人の晩餐会。やっぱり基本は英語だけれど、台湾と日本という東アジアカードが2枚揃っているのでゆっくり話してもらえた。
 アメリカからのご夫妻は教職をリタイアされてきたそうだ。

「ヨーロッパは初めて?」
「うん。初めてのヨーロッパで初めてのカミーノだよ」
「日本とヨーロッパ、全然違うでしょ」
「うん、文化も食べ物も建物もね!」

 ネザーランドの女の子に尋ねられる。

「私の妹、東京に行ったことあるんだけど、日本の人って静かだって聞いたよ。あと満員電車がやばいって」
「満員電車はね。入りきらないと駅員さん押すからね。静かって言うのは? 静かかな……うーん」

 静か、なんだろうか。
 結構話好きのひともいると思うけど。私に限ってはそんなにぺらぺら喋る方でないけれど、日本人全体がそうかと言われると「?」。

 ああ、でも確かに、満員電車でも皆押し黙って寝ていたり音楽を聴いていたり、スマホを見ていたりする。仕事中もしかり。
 それはコロナの前からで、そう考えると静かなのかもしれない。カミーノ中は皆何かしら話していて、時には音楽を聴きながら歩いている人もいるけれど、押し黙るようなシーンに遭遇した事はあまりない。
 単純に、皆休暇中だから皆テンションが高いのかと思っていたけれど、ひょっとしてこれが、お国柄?

「静か、かも」
「だよねー!」

 ネザーランド以外の人も同意していた。
 みんなそんな認識なの? ひええ、意外。

 台湾の女の子は学生なのかと思っていたらスポーツインストラクターみたいなことをして働いているらしい。「TEAM JAPAN」と書かれたサコッシュを肩から掛けていたので、どちらが日本人か分からないね、と笑いあった。

 ブラジル、フランスで分かれて暮らしている姉妹は5回に分けてカミーノを歩いているそう。SJPPの美しさを、ブラジル在住の妹さんが熱心に教えてくれた。今回SJPPから来たのは私と台湾、そしてドイツの男性だけだった。

 前菜にナス、メインはチキン、最後にプリンを食べて終了。
 私とドイツの男性、台湾のマカレナ、ネザーランドの女性だけ先に戻った。


ナスの料理は美味しい。
あると頼んでしまう。

 部屋に戻り同室のドイツの男性とマカレナと本音トーク。

「楽しいし、話はなんとかできるけどさ、正直な話、ネイティブの英語トークついていけないんだよ。君たち分かった? 全然言葉違うだろ?」
「カミーノ中みんな英語だから覚えざるを得ないよね。毎日勉強してる」
「そうそう、毎日英語だから何話してるかは分かるようになるよね。でもすごい集中しないと。で、頭の中で英語から日本語、日本語から英語に変えて答えようとするから話題に置いてかれちゃうんだ」
「ああ、わかるー!」

 一気に打ち解けた夜なのだった。

 明日の行程はまだ迷っている。
 距離は短いが、アストルガという大きな街で滞在するか、先に進むか。
 アストルガにも大聖堂やガウディが途中まで造った司教館がある。先に進むなら足早にみなくてはならないだろう。
 でも、そもそもカミーノに来た理由は、スペインの文化や歴史に興味があるからで、最速ゴールを目指す為ではない。SSTR(Sunrise Sunset Touring Rally)とおんなじで、楽しみたいから歩いているのだ。
 さあ、どうするか。
 日数に限りがある以上はそろそろ考えながら歩かなければならない。

 そんな事を思いながら、横になったのだった。

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