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Mz² vol.10 『フューチャー・イヴ / sasakure.UK + 有形ランペイジ』

ども、長嘯を成さずして但だ暭を成すほう担当のねこむらだよ。
vol.10ということだそうで。今夜紹介するのはこの楽曲です。

『フューチャー・イヴ / sasakure.UK + 有形ランペイジ』

sasakure.UKだいすき芸人のねこむらです。というわけで、この曲はもちろんランクイン。というか今回はマジでめちゃくちゃ迷った。具体的にはVTuberの名取さなさんに提供した『モンダイナイトリッパー!』と二強だったね。なんなら今でも迷ってるまであるけど、諸々の文脈込みならこっちかな……いや別に同じ人が被っちゃダメってルールもないんですけどね。去年(だから未掲載だと)も一応はtofubeatsが二回(『nirvana』と『One』)あったし、今回も実質やや被りしてるとこあるし。まあどうせならいろんなアーティストをみなさんに紹介したいですからね。今後ともよろしくです。

さて、本楽曲は記念すべきマジカルミライ十周年のテーマソングとして書き下ろされたものでして……あっ、マジミラの説明?まあなんか、初音ミクのライブイベントとか企画展みたいなやつですね。こっちはクリプトンが運営に携わっているので、マジで本家本元の企画ってワケ。前に触れたボカコレがわりとなんでもアリだったのに対して、こちらはピアプロキャラクターズと呼ばれる六人のバーチャルシンガーのみの出演となります。プロセカ参戦してる六人ですね。あっちはなんか、楽曲が混沌としてきましたが。まさか可不楽曲も収録されるとはねぇ。

作曲は当然ボカロPのささくれ氏なわけですが、そこに氏の結成したバンドである有形ランペイジがアレンジャーとして参加。普段の音源よりも楽器隊に厚みがあって素晴らしいですよね。ギャンギャンのギターサウンド最高!このエレキギターが最後にバチバチにハジけるの、ちゃんとUK + 有形名義でのリリースに意味があったんだなって感じがしてすごい好きです。

しかもミクと共に歌うコーラスのピリオはささくれ名義の楽曲でも頻繁にボーカルを務める謎のシンガー……というか明言こそされていないものの、十中八九ささくれさん本人だと思われるので、五年前にハチこと米津玄師氏が同じくマジカルミライに書き下ろした『砂の惑星』と似たような構図になってるってわけですね。どちらもこれまでのボーカロイドの歴史、自らの歩んできた歴史を振り返りつつ、まだ見ぬ未来へと手を伸ばそうとする楽曲だと解釈しております。“枯れた惑星も”なんて直球のオマージュですよね。となると“ガラクタ”はryo氏の『ODDS&ENDS』かな?それとは別にささくれ楽曲のガラクタ姫や終末シリーズなんかの様相も織り込まれてそうですね。まあ、例の問題作は無限に論争を巻き起こしたし、アンサーとも取れる楽曲なんてのも無数に存在するワケですが、そこは今回の本題ではないので一旦置いておきます。またいつか触れますか。いつかね。

そして今作、もうマジで集大成というか、総決算すぎるんですよねこれ!!氏の過去曲を想起させるフレーズがもうそこらじゅうでバンバン飛び交ってるし、MVもありえん良いなこれ……良すぎる……植木鉢とか泣いちゃうよ……その辺のオマージュも最高なんですが、今作固有のものとしてはやはりこれ竹取物語が根幹にありますよね。もはや誰が何のために残したものなのかがわからなくなってしまったとしても、脈々と未来へと受け継がれて欲しいなという願い。最近「トニカクカワイイ」読んでるからすげえわかる。いよわ氏の『1000年生きてる』にも通ずるものがありますかね。ささくれ楽曲だと『エゴ』の“僕がもう居なくなっても、君はそのままうたっていてくれよ”といった歌詞なんかはモロにこの曲とイメージが被るのではないでしょうか。

MVと歌詞も含め、ボカロでのデビュー曲から最新の曲まで、トンデモ宇宙も終末も、本当にこれまでの全てをひっくるめて未来への前日譚としているんですよね。アヤカシシリーズは世界観が違うせいか特にオマージュっぽい描写は見られませんでしたが。あっ、本当なら元ネタも片っ端から回収していきたいところなんですけど、今回は解説記事ではないのでしません。でもこれマジで関係ないとこなんてほぼ存在しないんじゃないですか?有形名義の最強バンドサウンドと言い、マジでここまで築いてきたもの全てがカタチを成しているんだよな。最強すぎる……ありがとう……

また、曲中では“魔法を信じていた”というフレーズが計七回、音階の数だけ使われておりますが、七という数字もなかなかに所縁がありますね。そしてこのセンテンスなんですが、ささくれ氏は昔からボーカロイドの持つ科学の側面を重要視し、そこから作品の世界観を膨らませていくミュージシャンだったので……こう……文脈ですよね……いいな……科学の魔法のお話であり、初音ミクという存在そのものについての歌でもある……ささくれ楽曲でここまでミクそのものにカメラが寄ることってなかったから、それもすごい新鮮ですね。インタビューなんかも読んでもらえるとさらに面白いと思うんですけど、氏のボーカロイドとの向き合い方みたいなものがかなり読み取れて、とても興味深かったです。むしろBMS時代はモロにファンタジー畑の人間だった気もするので、またああいった世界を見たくもありますね。

あと、ライブでペンライトの振りかたが全然わかんないってコメントが散見されて笑っちゃった。そうだよな、ささくれ曲は曲調がコロコロ変わるのも魅力の一つだけど、そこはちょっと困っちゃうよな……

ってな感じで、またこんど!

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