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第2回 猫の感染症①「猫白血病ウイルス感染症(FeLV)」

はじめに

前回お知らせしましたとおり、今回は猫の感染症についてです。
猫の感染症はいくつかあり、そのなかには命に関わる重篤なものもあります。私の家にもそうした感染症をもつ猫たちがおり、そのうち1頭は今回ご紹介する「猫白血病ウイルス感染症」にかかっていますので、まずはこの感染症についてご紹介していきます。

猫白血病ウイルス感染症(FeLV)とは

発症(顕性感染)すると、リンパ腫や白血病など造血器の腫瘍に罹患したり、免疫細胞(白血球)が腫瘍化するために免疫力が低下し、猫伝染性腹膜炎(FIP)、トキソプラズマ症、歯肉炎、肺炎などにかかりやすくなる。また骨髄抑制によって再生不良性貧血(血球がつくられない)となり、死亡する場合がある。

感染経路

主に唾液、糞尿、汗などからウイルスが排出されるため、陽性猫とのグルーミングや同じ皿からの食事、咬傷(ケンカ)、同じトイレの使用などから感染する(水平感染という)。
また陽性母猫から胎子への胎盤感染、乳汁感染も起こる(垂直感染という)。
→保護した猫が陽性の場合、母猫や兄弟猫も陽性の場合が考えられるため、できるだけ家族ごと捕獲し、陽性猫をその地域で増やさないようにする必要がある。保護した陽性猫は適切な治療と環境のもと生活させる。

ウイルスの感染力は弱いため、感染しても免疫によってウイルスを排除できる場合があるが、子猫が感染すると、持続的に感染が継続することが多い。またウイルスを保持するキャリア(発症しない不顕性)となる場合もある。

症状と経過

感染初期に発熱、リンパ節の腫れ、下痢などが起こる。この初期のタイミングで適切な治療(貧血の場合には輸血、白血球が減少している場合に抗生剤およびインターフェロンの投与など)を行うことで、多くの場合ウイルスを排除できるが、持続感染となった場合、リンパ腫や白血病といった血液の腫瘍、貧血や腎炎、日和見感染によるさまざまな感染症にかかることがある。

予防方法

事前に血液検査(FeLV/FIVコンボ)を行い、陰性の場合、ワクチン(3種混合ワクチンには含まれないため注意)を投与する。
同居猫に陽性猫がいる場合は、非感染猫との生活空間を分け、皿やトイレも分ける必要がある。
また、外出させることで他の猫との接触による感染のおそれが増すため、室内飼育を徹底する。
ウイルス自体の感染力は弱く、70%エタノール(アルコール)、せっけん、熱などによる消毒で失活する。

検査と診断

血液検査(FeLV/FIVコンボ)による検査。感染後2〜4週間で陽性となる。また、検査時に陽性であっても、その後に陰転することがあるため、再度検査することがすすめられる。

内科治療

対症療法(貧血→輸血、歯肉炎→抗生物質や抜歯)、抗腫瘍薬、ネコインターフェロン、免疫抑制剤など。

おわりに


このように、怖い、難しい病気ですが、その病気を知ることで、予防したり、治療したりすることはできます。ぜひ一人でも多くの猫のご家族に知っていただきたいです。

つらいことばかり書いてきたので、最後に猫のかわいいところを3つ挙げて終わります。

①おやつもらったときの嬉しそうな顔

大好きな焼き芋を味わう

②フレーメンの顔

どんな匂いがそこに…?

③爪を研ぐときは全力

爪とぎで狂気を垣間見せるむぎちゃん

次回も引き続き、猫の感染症について書きます。

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