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私を構成する42枚 Part3

最終回、残り10枚だけど長くなると思います
前回記事は↓


10.ゆらゆら帝国/3×3×3 (1998)

メジャー1枚目のアルバムで自分のゆら帝の原体験 邦楽の大名盤「空洞です」も大好きだけど轟音ギターとサイケデリックが高次元に融合したこのアルバムが1番好き 「3×3×3」の一番のすごさは、3曲目で9分超えだったり、ずっと語りの曲あったり、M6「つきぬけた」は明らかに音量が大きかったり、ぐちゃぐちゃなのにゆらゆら帝国ならではのサイケデリックな世界観が統一されているところだと思う 麻薬でトリップしている瞬間ってこのアルバムを聴いているときのような感覚なのかもしれない バンドの解散理由が「完全に出来上がってしまった」ってバンド史上一番かっこいいと思う 一度はライブ観たかったな

■特に好きな曲
 M2 昆虫ロック:これぞゆらゆら帝国って感じのサイケデリック・ロック 前曲「わかってほしい」から繋がりが超かっこいい ここまでの2曲を聴いただけでゆら帝中毒になった人はきっとたくさんいるはず
 M4 ドックンドール:このアルバムで1番好き 「トロトロのバターのようだわ」「ゼンマイのオモチャのように」「ツルツルのゼリーの」「彼の切れた回路」「最後のリボンが指を使わずほどけたの」直接的な表現が一切ないのに、人が壊れていく様がありありと目に浮かぶ なのにメロディーは美しくてキャッチー このアンバランスさが病み付きになる
 M6 つきぬけた:再生時間1分しかないけどアルバム最強のロックチューンだと思う 音量小さくて何言ってるかわからない坂本慎太郎のボーカル、でかすぎる音量のギターでつきぬける そして「け、だ、い、た、け、ぬ、き、つ」って何なんだろう

9.毛皮のマリーズ/Gloomy (2009)

4枚目のアルバム 「毛皮のマリーズ」との出会いは2010年春の頃 もともと自分は「すかんち」ってバンドが大好きで(このバンドも後で語る)、似たような音楽をネットで探してみたところ「ボニーとクライドは今夜も夢中」って曲にたどり着き、妖艶な志磨さんのボーカルと西くんのロックンロールなギター、好みすぎるグラムロック・サウンドに衝撃受けて、少ないお小遣い切り崩し当時出てたアルバム全部即買った 初めてライブで志磨さん見れたときはマジで泣いた 親にお金借りて地元から数時間かけてラストライブにも行った 2011年12月31日の解散まで、(他のバンドもいろいろ聴き漁ってたのもあるが)人生で一番濃い1年半だったと思う

アルバムの話が全然できていない、、、そんな思い入れあるマリーズ(+ドレスコーズ)の作品群の中でも「Gloomy」が一番好き 初期3作のガレージ路線とは打って変わって内省的・諦観的・宗教的な世界観 サウンド面で行くと60年代を彷彿とさせるオールドロック、というか所々モロだ 厭世的なM1「チャーチにて」からはじまって、ぶっとんでるM2「人間不信」、暴動のようなM3「愛する or die」、ビートルズライクM4「Honey Apple」、歌詞が泣けるM5「ザ・フール」、M6「人生II」を挟んでヘビーメタルM7「God Only Heavy Metal」、泣けるバラードM8「超観念生命体私」、洋楽と邦楽の融合M9「小鳥と私」、アンセムM10「恋をこえろ」、歌詞が泣けるピースフルソングM11「平和」、旅立ちの歌M12「The Heart Of Dixie」、1曲目に繋がるM13「悪魔も憐れむ歌」、どれも印象的 歌詞の世界観とオマージュはありつつも見事に志磨色に昇華させたオールドロックサウンドが融合した、2000年代後半の大名盤だと思う

■特に好きな曲
 M6 人生II:めちゃくちゃかっこいいストレートなガレージ・ロック メロディラインも超綺麗 尾崎豊みたいな世間に対する反抗を綴る歌詞も影響受けまくった
 M8 超観念生命体私:ピアノから始まる美しすぎるメロディー、何回泣いたかわからない 純粋で一途でどこか悲しい歌詞も大好き 特に冒頭の歌詞「いつか出会った人が、皆僕を嫌ってたっていいのだ 君がいるなら」はやばすぎる
 M12 The Heart Of Dixie:実はアルバムで一番好き 自分はバイクで色んな所旅するのが好きなんだけど、いつも旅立ち前にこの曲を聴いて気持ち奮い立たせてる 洋画のワンシーンを切り取ったような歌詞も大好き

■Gloomyの影響元(と個人的に考えている)一覧
 M1 チャーチにて:ベルベット「candy says」
 M2 人間不信:ビートルズ「Birthday」(いうほど似てないかも)
 M3 愛する or die:ベイシティローラーズ「Saturday night」
 M4 Honey Apple:ビートルズ「Get Back」
 M7 God Only Heavy Metal:ビートルズ「Helter Skelter」、「I am the Walrus」
 M8 超観念生命体私:ビートルズ「Cry Baby Cry」
 M9 小鳥と私:ビートルズ「And Your Bird Can Sing」
 M10 恋をこえろ:ビートルズ「A Hard Day's Night」(最後だけ)
 M11 平和:ビートルズ「Strawberry Fields Forever」、「In My Life」
 M12 The Heart of Dixie:ビートルズ「Lady Madonna」、「I Want To Tell You」
 自分がわからないだけで他にも絶対あるはずなんで、フォロワー、教えてください

8.andymori/andymori(2009)

衝撃のファーストアルバム 前述のマリーズと並んで自分に多大な影響を与えてくれた大好きなバンド andymoriとの出会いは、「ファンファーレと熱狂」が2010年のCDショップ大賞に選ばれてて、当時の音楽オタク界隈で話題になってて興味持ったのがきっかけ その後YouTubeで「CITY LIGHT」を聴いてみたら衝撃受けて、少ないお小遣い切り崩して当時出てたアルバム全部即買った(前述のマリーズと全く同じパターン) 「ファンファーレと熱狂」も2枚CD持ってるくらい大好きなんだけど、1番好きなのはやっぱりファーストアルバム まずM1「FOLLOW ME」の衝撃的なイントロからやばすぎる そしてM12「すごい速さ」まで計32分間メロディー・サウンドともに突き抜けた最高傑作だと思う 発売当時は全然売れなかったのが信じられない(さっきWikiで調べたら162位だった、ありえない)アルバムの中だとM2「everything is my guitar」、M8「ベンガルトラとウィスキー」、M12「すごい速さ」あたりが特に人気ありそうだけど、自分は比較的ミディアム・静かなM4「青い空」、M5「ハッピーエンド」、M11「Life Is Party」あたりが大好き andymori再結成望む声もいまだに多いし、自分ももう一度だけライブ観に行きたいけど、壮平さんソロも同じくらい良いし本人も充実してそうなので、いつか気が向いたら・タイミングがあったら活動してほしいな

■特に好きな曲
 M3 モンゴロイドブルース:不穏なイントロの語りからはじまるミディアム・ロックチューン 「アンチドリアンは全く得意げにバニラシェイクを注文」「島国の王は大陸直系の優しい顔でまたかき混ぜるアイスコーヒー」ってフレーズから、黒人差別の歌だと思うけどどうなんだろう?
 M5 ハッピーエンド:アルバムで一番好き この曲に何度泣かされたか・励まされたかわからない イントロのキーボードの音色・美しいサビ・達観しつつも「それでいいよ」と包み込んでくれる優しい歌詞が大好き
 M11 Life Is Party:人生はパーティー、というタイトルから暗いサウンドに「楽園なんてあるわけない」「10年たったら旅に出よう」と厭世的な歌詞が綴られる そしてこの曲の一番の聴きどころはアウトロだと思う 今でもソロのライブで度々やってくれるけどその世界観に毎度圧倒される

7.サニーデイ・サービス/東京 (1996)

2枚目のアルバム 特に10枚目の「DANCE TO YOU」以降、傑作を産み続けてライブパフォーマンスでも最高を更新し続けるサニーデイ・サービスの大名盤 音で選ぶなら最近の「いいね!」「DOKI DOKI」のが正直好みなのだけど、「構成する」という観点なら絶対これ サニーデイは20歳くらいのとき「東京」を聴き始めて、このアルバムの叙情的・感傷的・多幸的な歌詞とサウンドに心打ちぬかれてそこから大学卒業くらいまでの3年間、心の拠り所になってくれた(大学4年間で1番聴いたアルバムだと思う) M1「東京」からもう桜満開の風景が目に浮かんでくる そこから大名曲M2「恋におちたら」の繋ぎも美しすぎる ハッピーなM3「会いたかった少女」、朴農的なM4「もういいかい」、美しいイントロM5「あじさい」、大名曲M6「青春狂走曲」など特に前半の流れはすごすぎる もちろん後半のアコースティックな曲が並ぶ構成も好き 夏と冬の曲もいくつかあるけど、「サニーデイ・サービス」は春の季語だと思う

■特に好きな曲
 M2 恋におちたら:イントロのウッドベースから名曲の予感 静かな曲展開から爆発するサビの曲構成で心全部持ってかれる 恋人との情景を綴った歌詞はもう文学の域だと思う
 M6 青春狂走曲:個人的にも一般的にもサニーデイ・サービスといえばこの曲 早口なボーカルで若者の焦りややりきれなさを歌う ライブでもほぼ毎回演奏してくれるけど、好きすぎて手拍子しながら涙目になる
 M8 真赤な太陽:アルバムで一番好きな曲 ハーモニカとアコギとピアノの絡みが美しすぎる 彼女とうまくいってる感あるけど「二人はからからから回りするんだ」らしい、、「歩き疲れたらそこのコーヒー屋で休むふりしてほかの女の子を見るんだ」、男なら誰しもやるよね

6.くるり/図鑑 (2000)

2枚目のアルバム 「くるり」はフォークロック、エレクトロニカ、和ロック、UKロック、クラシック、、アルバムごとにテーマが変わるので掴みどころがなくて、バンドについて語るのがめちゃくちゃ難しい 「図鑑」は初期くるりならではの、イライラや焦燥感を見事に曲に昇華させた大傑作だと思う サウンドもいろんな要素のごった煮で、M1「イントロ」からカオスな雰囲気、そこからM2「マーチ」・M3「青い空」で疾走、前衛的なM4「ミレニアム」・M5「惑星づくり」、不穏なM6「窓」、イライラしたオルタナティブM7「チアノーゼ」、きれいなバラードだけど歌詞がやばいM8「ピアノガール」、環境音楽のようなM9「ABULA」、きれいなフォークソングM10「屏風浦、歌い出しから衝撃的なM11「街」、キチ●イとしか思えないM12「ロシアのルーレット」、明るいのに無常観あふれるM13「ホームラン」、長尺エレクトロニカM14「ガロン」、アルバムの良心M15「宿はなし」 超バラエティ豊かなのに不思議と統一感がある 

■特に好きな曲
 M3 青い空:疾走するイントロから冒頭の歌詞「とぼけるなよ」で身震いする タイトルとは裏腹に焦り・虚無感・イライラ感が見事に表現された大名曲
 M8 ピアノガール:きれいなバラードなのにしょっぱなから「彼は悪魔に血を売ったんだ 歌姫にそそのかされて」と歌う おかしくなった男を見守る女の子の歌
 M11 街:昭和歌謡的なメロディーなんだけどサウンドは感情爆発してる この曲に影響されて夕暮れのスーパーマーケットの前でよくタバコ吸ってた


ここからの5枚はさらに別格で好きなので、全曲語ります

5.スピッツ/名前をつけてやる (1991)

2枚目のアルバム スピッツは15年以上聴き続けてて、ファンクラブ入るくらい好きなバンドなので1枚だけ選ぶのは難しかった  死生観あふれる「スピッツ」、オルタナティブな「惑星のかけら」、ポップで明るい「Crispy!」、ポップスとロックの融合「空の飛び方」、世紀の名盤「ハチミツ」、スピッツで初めて聴いたアルバム「インディゴ地平線」、冬の終わりと春のはじまりに聴きたい「フェイクファー」、ロックバンドの矜持が表現された「ハヤブサ」、オルタナ路線の大名盤「三日月ロック」、ハイファイな「スーベニア」、キラキラした夏に似合う「さざなみCD」、シングル曲に名曲多数の「とげまる」、儚くて繊細な「小さな生き物」、新境地の最新三部作「醒めない」「見っけ」「ひみつスタジオ」、スタジオアルバム17枚すべてが私を構成するけど1枚選ぶならこれ

まず「名前をつけてやる」は決して派手なアルバムではない(一般的な有名曲も入っていない) このアルバムの凄さは全11曲の統一感だと思う いらない曲なんて1曲もないし、もしどれか1曲をスキップしたらこのアルバムの魅力は半減する 突き抜けて好きな曲はないけど、どの曲も同じくらい好きな、トータルアルバムとしてものすごい完成度だと思う 比較的地味な作品なので、これからスピッツ聴こうと思ってる人にこのアルバムはあまり勧めたくない(ハチミツかさざなみから入ってほしい)

■全曲感想
 M1 ウサギのバイク:繊細なアルペジオとスキャットから「名前をつけてやる」のおとぎ話がはじまる 綺麗なサウンドだけどどこか破滅のムード漂う
 M2 日曜日:おもちゃの戦車に人形が乗っているような軽快なロックチューン 2番までは希望に溢れた歌詞だけど、これも大サビから急に破滅的になる
 M3 名前をつけてやる:ちょっとシューゲイザーっぽい ファンキーなAメロから求心力のあるサビに到達する構成が好き これは処女喪失を歌った曲であってるのかな
 M4 鈴虫を飼う:ギターのテツヤ作曲 秋口に聴きたいきれいな曲 「油で黒ずんだ舗道にへばりついたガムのように」っていう比喩表現はすごすぎる
 M5 ミーコとギター:疾走するパンクロック、めちゃくちゃかっこいい ただ歌詞がよくわからない(というかわかる人いるのか?)、「パパとミーコのようなギター」って何なんだ
 M6 プール:水面に反射する夏の日差しとプールの冷たさが表現されたサウンドワークが天才的 メロディーもめちゃくちゃ美しいです (でも多分性行為の歌だよね)
 M7 胸に咲いた黄色い花:この曲も「プール」と双璧を成す美メロで、ファンからも人気あるイメージ でもこれも実はものすごいやばい歌詞だと思う、、
 M8 待ちあわせ:イントロのノイズからすでにかっこよぎる 「ミーコとギター」と同じく疾走するパンクロック 激しいのにサビ含めてメロディが綺麗
 M9 あわ:前曲「待ちあわせ」からの繋ぎの上手さに毎回鳥肌立つ シャボン玉(もしくはお風呂の泡)があちらこちらに浮かんでいる様子が見事に表現されていると思う 最後のアウトロで割れる様まで目に浮かぶ、地味なほうかもだけどものすごくいい曲
 M10 恋のうた:ストレートなラブソング かなり直接的な歌詞なんだけど、一節一節が力強くて心に響く インディーズの頃から歌い継がれてきた名曲
 M11 魔女旅に出る:ラストを飾るバラード もし「このアルバムで1番好きな曲なに」って聞かれたらこれ選ぶかな かの藤井聡太も名曲って言ってたね スタジオ版もいいけどこの曲の真骨頂はジャンボリー1のライブバージョン、これ聴いて感情揺さぶられない人は多分いない(下動画の4:50くらいから見れます)


4.BLANKEY JET CITY/BANG! (1992)

伝説のロックバンドの2枚目のアルバム まずアルバムジャケットからただならぬ雰囲気、リーゼント・タバコ・タトゥーと不良のアイコンのそろい踏み(歌詞カードは赤ちゃんが全身タトゥーまでやってる) 曲作りは骨の髄までロックンロールなんだけど、そこらの不良バンドとは違ってベンジーの少年のようなボーカルがブランキーの圧倒的な世界観を構築してる 歌詞もものすごい 人の本性をえぐりとったM10「ディズニーランドへ」、昔の洋画をワンシーンを切り取ったようなM1「RAIN DOG」、M5「絶望という名の地下鉄」、非日常だけど情景が目に浮かぶM3「SOON CRAZY」、、ベンジーにしか書けない歌詞もこのアルバムの良さを引き立ててる このアルバム全編に漂う鋭いナイフのような鋭利かつ繊細で純粋なサウンドがたまらない 浅井健一の作品はブランキー、SHERBETS、JUDE、AJICO、PONTIACS、ソロまで全部アルバム持ってるけど一番好きなのはこれ ブランキーはサブスクにないから敷居高いかもだけど一度は聴いてほしい

■全曲感想
 M1 RAIN DOG:ただごとじゃないイントロから爆走するロックチューン 2番のサビ終わりからのギターソロが超かっこいい
 M2 冬のセーター:シングル曲 終始鳴り響く印象的なギターリフは一度聴いたら忘れない 歌詞は多分戦争批判
 M3 SOON CRAZY:気が狂っていく男を綴った歌詞なんだけどサウンドの熱気とテンションの高さが異常、かっこよぎる スタジオ版もいいけど、ライブアルバム「LAST DANCE」のSOON CRAZYはより凄い
 M4 ヘッドライトのわくのとれかたがいかしてる車:前曲3曲が異常なテンションだったのでここで箸休め が気怠いわけじゃなくて、3人の演奏力の高さが際立つシリアスなミディアムロック
 M5 絶望という名の地下鉄:不良の日常と矜持が直接的に表現されたロックンロール 6分あるけど異常なハイテンションと歌メロの良さで何回聴いても飽きない
 M6 とけちまいたいのさ:レコードだとこれがA面最後の曲 「BANG!」の中だと捨て曲扱いされがちだけど、ゆるい絶望を表現した世界観が好き
 M7 ★★★★★★★:アルバムで1番好きな曲 この曲はとにかく好きすぎる&やばすぎる 「BANG!」で一番殺傷力のある曲だと思う タイトルは伏せ字になっているけど「人殺しの気持ち」らしい
 M8 クリスマスと黒いブーツ:少年が純粋さを失う様をシリアスな曲展開にのせて歌う、聴いてて切なくなる
 M9 BANG!:珍しく二拍子の曲 アコースティックかつTHE ロックンロールなサウンド 歌詞でつづられてる「俺」の恋愛観がかっこいい
 M10 ディズニーランドへ:この曲は凄すぎる 「ディズニーランドへ」と楽しそうなタイトルだけどイントロのかき鳴らされるアコギからすでに雰囲気がおかしい ノイローゼになってしまった友達にディズニーランドに一緒に行こうと誘われ、約束するけど「一緒にいるのがとても恥ずかしくてたまらないから」とその約束を破る曲 純粋な心を持ち続けようとする「友達」と心が汚れてしまった「僕」の対比に心が締め付けられる
 M11 2人の旅:希望を歌った歌詞なのにどこか不安な雰囲気が漂う 7分ある曲で後半はひたすらギターソロ、かっこよすぎるからずっと聴いていたい
 M12 小麦色の斜面:ラスト曲で初めて明るくて軽快なロックンロール 「目を潰すだけさ」とベンジーが叫んで終幕する、かっこよすぎる幕切れ

3.筋肉少女帯/月光蟲 (1990)

5枚目のアルバム 筋少の出会いは親の影響で、中1くらいから聴き始めたんだけど、オーケンの歌詞と本にかなり人生観に影響を与えてくれたしサブカルチャーに傾倒したのもオーケンがきっかけ 大槻ケンヂ関連(筋肉少女帯、特撮、電車、ソロ、空手バカボン)だけで50枚近くオリジナルアルバムあるので1枚選ぶのが難しかったけど、「月光蟲」が一番よく聴いていると思う 「月光蟲」はほぼ全曲「月」のことを歌ったコンセプトアルバムで、筋少らしい怪しくて奇怪で猟奇的な雰囲気漂う大傑作 全10曲すべてストーリー性があるので、短編小説を読んでるような充実感も味わえる 代表曲・人気曲も何曲か入っているので、筋少ファンの中でも「レティクル座妄想」と並んで人気あると思う 

■全曲感想
 M1 風車男ルリヲ:不穏なアコギの弾き語りから「月光蟲」がはじまる ただ音像がはっきりしないし謎の足音も聞こえる 大槻ケンヂの歌声がうめき声になるところで毎回鳥肌が立つ 
 M2 少年、グリグリメガネを拾う:メロディーの立った軽快なハードロック なんでも中身が透けて見えるメガネを拾った少年が、見てはいけない物を見てしまった歌  中でも「あの娘の中が見えるよ ひしめきあってるそいつは無数の目玉さ その目玉が涙に濡れ君を一斉に見た」という歌詞にゾクゾクする
 M3 デコイとクレーター:幻想的で月面を旅しているような、静かな夜に聴きたい綺麗な曲 ただ例によって歌詞はかなり不穏、「君」は囮になってこの世から消えてしまう、、
 M4 サボテンとバントライン:シングル曲 全10曲のそれぞれの物語のなかでも一段とスリリングな歌詞 サウンドはブラスの効いた軽快なポップ・ロック、好きな人多そう
 M5 夜歩くプラネタリウム人間:この曲めちゃくちゃいいと思う オーケンと女性ボーカルのデュエットが神秘的な雰囲気を助長させてる サビの「人間!」っていうコーラスが超かっこいい、満点の星空の下で聴きたい
 M6 僕の宗教へようこそ:ペテン師が「僕の宗教に入れよ!」って勧誘する曲 歌詞のほとんどが誘い文句なんだけど怪しくて絶対関わっちゃいけない感満載 サウンドはポップなんだけど、大サビでオペラ歌ったりで一筋縄ではいかない
 M7 悲しきダメ人間:アコースティックで可愛い曲 ダメ人間同士のカップルを歌った歌詞が物悲しい
 M8 少女の王国:アルバムで一番好きな曲、この曲はすごすぎる QUEENみたいなバラードロックで、破滅的な歌詞と合わさって感情刺激する 満月見ながら聴くと泣きそうになる
 M9 イワンのばか:筋少の代表曲でライブの定番曲 情熱的なヘビーメタルにイワンの人生を歌う 2番終わりのギターバトルも超かっこいい、ライブで聴くとヘドバンしすぎて首もげそうになる
 M10 少女王国の崩壊:インスト曲 音だけで8曲目で作り上げた「少女の王国」が崩壊していく やりきれない感情で「月光蟲」が終わる、虚無

2.すかんち/OPERA (1993)

4枚目のアルバム 「私を構成する42枚」の上段10枚の中で聴いたことない人が最も多そうなのが「すかんち」なんじゃないかな だけど好きなアーティストベスト3に入るくらいすかんち(ROLLY)が好き(他はヒロトマーシーと大槻ケンヂ) 出会いは「さよなら絶望先生」っていうアニメのED「マリオネット」だった この曲のポップなんだけどどこか怪しい世界観が好きで、ROLLYのソロと「すかんち」のCD何枚か買ったら見事ドハマりした そんなROLLYの傑作群でも最高傑作がこの「OPERA」だと思う まず「OPERA」の世界観を完璧に表現したジャケットが超かっこいい 好きなアルバムジャケット何?って聞かれたらこのアルバムを挙げるくらい好き サウンドはQUEEN/レッドツェッペリン/ラズベリーズなどの70年代ロックをオマージュしつつ、ROLLYの天才的な作曲センスで圧倒的な個性を確立してると思う 歌詞もストーリー性ある歌詞が多く聴いててワクワクする この後書く「私を構成する42枚」の1位はずっと不動だけど、この「OPERA」も同じく不動の2位です

■全曲感想
 M1 Grave Digger:ZEP的なギターサウンドとロバートプラントを意識したボーカルのハードロック 歌詞は退廃した世界の終わりで僕だけ生き残る、とヤバめな雰囲気
 M2 仏壇返しにはかなわない:前曲「Grave Digger」から引き続きギターリフが印象的なロックンロール ライブの定番曲、これはまじでかっこいい
 M3 恋するマリールー:すかんちの代表曲の1つ、No1モデルの元恋人のことを思うパワーポップ ハードなギターワークとキャッチーなメロディーが超気持ちいい、絶対もっと売れても良かった
 M4 恋人はアンドロイド:キーボードのドクター田中作詞作曲 キャッチーな歌メロにドクターの高音ボーカルがばっちりはまってる ファンにも人気ある曲
 M5 LOVE LOVE HOLIDAY ~ふたりはアイドル~:ベースのシマちゃん作詞作曲 イントロのキーボードリフが大好き ROLLYとシマちゃんのデュエットも聴いててワクワクする
 M6 Thank You:ドラムの小畑ポンプ作詞作曲 この曲めちゃくちゃいいと思う 恋人との別れを歌った曲で、直接的な歌詞の表現がより胸を締め付ける QUEENの某曲に似てる感あるけどそんなことはどうでもいい
 M7 顔の無い眼:2分弱の箸休め曲 次曲への繋ぎだけど、壮大な前振りになっているのでスキップしちゃいけない
 M8 仮面の接吻:「OPERA」の超重要曲 すかんちだけじゃなくて人生で好きな曲ベスト5に絶対入る、好き過ぎる お人形遊びしているような不気味なイントロからもうやばい そこからタンゴビートに乗って仮面の男の猟奇的な犯行を情念的に歌う さらに2番のサビ終わりからのイントロの再現→ピアノ→キーボードソロ→女声スキャット→ギターソロの怒涛の展開はやばすぎる 8分あるけど全く長さを感じさせない 1曲目から聴かずにこの曲だけ聴いてもよくわからないと思う、この位置にあるから「仮面の接吻」の凄さが際出つ
 M9 Mr.タンブリンマン:濃すぎる8曲目から一転、爽やかで軽快なロックチューン 古い西洋ファンタジー映画を観ているような世界観 この曲は誰が聴いてもいい曲だと感じるはず
 M10 涙の選択科目:キーボードのドクター田中作詞作曲 切ない恋心を歌ったパワーポップ なんかのアニメのEDテーマだったらしい(詳しく知らない)
 M11 ママの自慢のロックンロールスター:横ノリのサウンドにギターが弾けない男の子のことを歌う この曲もメロディめちゃくちゃいい
 M12 さよならの贈りもの:涙なしでは聴けない傑作バラード 不治の病にかかった子供をコールドスリープする物語 母親の永遠の愛情を歌った歌詞に鳥肌立つ
 M13 ROLLY HORROR SHOW:ゴキゲン(死語)で楽しいロックンロール 自分の解釈だけど、前曲で「OPERA」の演劇は終わって、この曲はエンドロール的な立ち位置なんだと思う

1.↑THE HIGH-LOWS↓/バームクーヘン (1999)

4枚目のアルバム 自分の家には1500枚以上のCDがあるし、親が持ってたアルバムやサブスク・レンタルで聴いたアルバムも含めるとたぶん3000枚近くの作品を聴いてきたけど、その中で一番好きなアルバムがこの「バームクーヘン」です 音楽聴き始めたきっかけが小学生の頃に聴いたブルーハーツで、その後すぐにハイロウズに出会い、それから現在までヒロトとマーシーをずっと追っかけ続けてきた ヒロト・マーシーが組んだ33枚のアルバム(ブルーハーツ8枚、ハイロウズ8枚、クロマニヨンズ17枚)はどれも人生に多大な影響を与えた宝物だけど、その中で1枚選ぶならこのアルバムしかない

「バームクーヘン」は無敵でハイテンションなロックナンバーと、圧倒的な感性で綴る叙情的な曲のバランスが奇跡的だと思う レコーディング・ミックスは全部自分たちでやっていて、かつ一発録り、生々しい純度の高いロックンロールを聴かせてくれる(曲終わりにノイズ聞こえたり、音のバランスが一定だったりするけどそんな細かいことはどうでもいい) バームクーヘン以外もいいアルバムたくさんあるので、ヒロトマーシーの33枚のアルバムについてもいつかnoteで感想書いてみたいな

■全曲感想
 M1 罪と罰:最高傑作の幕開けに相応しい強烈な爆音イントロで幕開け このイントロはめちゃくちゃかっこいい 歌詞はかなり深くて、直接的ではないけど「行動しなよ」とヒロトが力強く背中を押してくれる
 M2 チェンジングマン:1曲目終わりから間髪入れず超かっこいいギターリフからスタートする、マーシーらしいマイナー調のツービート、マーシーのコーラスもかっこいい
 M3 二匹のマシンガン:アルバムで1番好き この曲はやばい、イントロのギターから心全部持ってかれる そしてどんどん加速していく曲展開で涙出る サビ終わりのギターソロ・ピアノソロも胸熱 「二匹のマシンガン」は自分たちのことなのか、それとも違う意味なのかな、、ってずっと気になってる
 M4 モンシロチョウ:これも印象的なギターリフからはじまる クールなサウンドなのに熱烈なロックンロール、環境問題を批判した歌詞も良すぎる
 M5 ハスキー(欲望という名の戦車):ハイロウズの代表曲で、バームクーヘンのハイライトだと思う 1曲目~5曲目の流れで気分が高揚しないロックファンは存在しない メロディもアルバムで1番いいと思う 歌詞はマーシーに向けた歌なのかな?そうであってほしい
 M6 ダセー:ここで一休憩、ローテーションなロックンロール、けど見逃せない名曲 これもギターリフがクールでブルージーなピアノとの組み合わせが最高
 M7 見送り:マーシー作の感傷が爆発した超名曲 空港まで友達(恋人?)を見送りに行く時の心情を歌った曲なんだけど、「ただの風景」「言葉は歯の裏で溶けた」と比喩表現する感性が凄すぎる
 M8 死人:ここからB面 「生きる」ことを全面的に肯定するかっこいいロックンロール、おそらく宗教否定も入っていると思う
 M9 彼女はパンク:この曲地味かもしれないけど大好き ラモーンズ風の軽快なパンク・ロックで、AメロもBメロも全部サビかと思うくらい歌メロが良い  「壊れてみたいだけ、粉々に」とパンク生き方をしたい女の子を歌う
 M10 ガンスリンガー:ガンマンを歌ったロックンロール サビのタイトルコールのヒロトの歌い方が癖になる 何も考えず楽しめる元気になるので好き
 M11 21世紀のフランケンシュタイン:ハイロウズの演奏力の高さが全面に発揮されたロックンロール、歌詞はタイトルの通りなんだけど終盤に向けて加速・疾走していく展開は激熱
 M12 ガタガタゴー:久々のマーシーボーカル イントロのピアノソロからアウトロのハーモニカまでTHE マーシーって感じのブルース・ロック 歌詞が薬物の名称が入っているのでピー音で伏せられている(ライブアルバムでは大麻・シャブって歌ってた) よく平日の仕事始まりに聴いて気合入れてる
 M13 笑ってあげる:マーシーの人生観が前面に出た歌詞は涙無しには聴けない ラストのコーラスも毎回鳥肌立つ 自分の心の支えにしてる大切な曲
 M14 バームクーヘン:歌詞は一見「?」って思うかもしれないけど、人間賛歌だと思う 「翼を持って生まれるよりも 僕はこの両手が好き」って歌詞が大好き 「NHKみんなのうた」に採用されてもおかしくない、生涯で一番大切なアルバムを締めくくる大名曲


10枚しか語ってないのに12600文字も書いてしまった、疲れた
自分がなんでこのアルバムを好きなのか振り返るいい機会になった
改めて「私を構成する42枚」っていい企画だと思いました
いつかほかのアルバムでも書いてみたい
最後まで読んでくれてありがとうございました

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