泣き方がわからない
死を身近に感じるときに
よく見ていた夢があった
小学校の教室の私の机に
「お前はだめだ」
という付箋が
机の木目が見えなくなるほど
いくつも貼ってあった
ああそうかだめなんだな
と思って
両手で顔を覆って泣いているのは
二十代の今の私で
十歳の私がこちらを見ているのだ
ねえ
泣かないで
あなたはいくつ夢をかなえたの
両手で数えきれないほどの夢をかなえたのは
あなた自身でしょう?
そう言って今の私の頭を撫でている十歳の私の手が
いつしか恋人の手に変わり
泣かないで
あいしているよ
と
私の頬に口づけをしてくれた
そこで目が覚めて
やっと私は歩き出せる
十歳の頃の私は
今の私よりも偉大なんだと
改めて、思う
泣き虫なのは
やっぱり変わっていなかった
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