解き放たれて

とてつもなくひとりになりたくて
とてつもなくかまってほしくて
ひとりになって孤独で退屈な時間を長いこと過ごすと
孤独で退屈な虚無に慣れて
下手したらそれを愛してしまう
にせものよ
その愛はにせものよ

本当に恵まれて愛されていて
いつもいつも可愛がってもらっていて
私はなんて面倒で。
捨てたい。
私という存在すべて

私というものを捨てたら
楽になれるのか
解き放たれて
また
孤独で退屈な時間を過ごして
ふと
温もりにふれて
本物にふれて
ああにせものだったな
あたたかいな
と思って
名月の日を迎える
満ちていく

にせものだってば、それは全部つくりもの。あなたは自分の誇りのために「彼をこんなに愛しています」なんて携帯電話で公言しているんでしょう? つまりはあなただけが幸せになっている世界。液晶画面の向こうで、あなたとあなたの彼は、その加工された写真のような顔で笑っているの?

本物の時間を過ごせるひとと
クラフトビールを飲みながら
そんな話を
休日の昼に
ぽつり
とした


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?