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【医用画像関連】放射線の検査① 〜減弱係数とグレースケールに着目〜

ども、ねこのてです!

前回は放射線の性質の一つである「透過力」と、通り抜けにくさの指標となる「減弱係数」について話をしていました!

そして、通り抜けやすさを白〜黒のグラデーションで表現した(前回読んでくれた方は「減弱係数をグレースケールで表現した」って言えるはず!)ものが画像の基本でした。

今日はそんな「目」を持ちながら、実際のレントゲン写真を見てみましょう。

まずは胸部の単純写真。

健康診断とかでもおなじみ。

 今回はせっかくなので、「透過力」と「組織(よければ前回を参照)による放射線の通り抜けにくさ」に着目してこの画像をじっと見てみてください。

放射線が通り抜けにくいものほど、白くうつります。逆に、放射線が通り抜けやすいものは、黒くうつります。つまり、画像上では、白〜黒の順に放射線がスイスイ通過してるってことです。

、、、、、、、、。


はい!それでは、そろそろ一緒に見ていきましょう!


ざっくり、透過力の違いごとに色分けしました!

ピンクの陰影は主に、青線の陰影は軟部組織(筋肉、血管)、オレンジの陰影は空気といった感じです。人体の組織による放射線の透過力に違いは重要なので、記憶が曖昧な方は前回を参照してしてください。


 もう少し詳しく見ると、骨成分(ピンク)は鎖骨や肩甲骨、肋骨、下部頚椎〜下部胸椎が含まれます。(肋骨をピンクにすると流石にごちゃごちゃしたので、省略してます!)
空気(オレンジ)の成分は気管、肺です。画像の右下にも空気があると思いますが、これは胃の内部の空気で、胃泡(いほう)と呼ばれます。病気ではありません。

筋肉などの軟部組織(青)は主にそれ以外の部分です。肺の間になる軟部組織影は「縦隔(じゅうかく)」といって心臓や血管などが含まれます。

 病気のときは、正常に比べて臓器の形態が変化したり、陰影として本来あるはずのないものがあったり、逆にあるべきものがなかったり。こういった変化が画像に現れます。

一般撮影では、そういう目をもって撮影、確認されています。(カテ先の確認など、例外もありますよ)

ただ、
やっぱりこの一般撮影は、診療放射線技師が一番最初に覚える仕事と言っても過言ではないです。

ぶっちゃけてしまうと、どんどん他の仕事も覚えなきゃ!って環境の下で覚える仕事なので、ひとたび撮影が出来る様になると、「まぁ、撮れるしいいか」ってなって甘く見られがち。
「撮れる」ことに慣れすぎてしまっていて、実は画像上で何が異常かはさておき、、ってパターンは少なくありません。
 そのうち医療職向けに、「胸部レントゲン画像を15秒でチェック!!」ってな感じの資料を作成して公開したいと思います。新人放射線技師さんはもとより、画像から情報を得たい!と考えている他職種の方にも有益な画像の見方を、噛み砕いて説明できればと考えています。お楽しみに〜!!

 さて、少し脱線しました。ぼちぼちラストなんですが、肺の下部の青線から下は、腹部です。この中で、胃とか肝臓の一部がうつってるんですが、境界はわかりますか?

難しいですよね。そもそも境界ははっきり見えてなさそうですしね。
なんで見えないんでしょうか?

 思い出してほしいのは、この画像はあくまで「減弱係数」の分布図みたいなもんだってこと。
臓器も筋肉も軟部組織なので、放射線からすると、通り抜けやすさにそこまで大差がないんです。だから似たような減弱係数をもっている組織が近いと、濃度差となって画像上に表現ができません。

このような状態をみんな「コントラスト」がわるいとか低いとか言ったりしてます。
まぁ、隣り合った構造物があったとき、それを画像上で濃度の差として表現できないって意味です。

・・・。困りましたね、、
だって、もし臓器の近くに似たような組織構造の悪性腫瘍があったら、画像にはうつってるはずなのに、認識ができないかも?ってことになるんですから。

それを回避するには少し工夫が必要そうです。次回はその工夫の鍵の一つである「コントラスト」を見ていこうと思います!

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