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【メックウォリアーRPG シナリオ】「国境の工場」


作:ねこパン 2024.02.24


PDF版がほしいひとはこちらからダウンロードしてください。
https://nekopa.booth.pm/items/5540306


【概要】
PL人数:4人 セッション時間:30分~1時間程度(オフライン)
短い一本道シナリオです。どこでも使用できるよう国家設定はありません。(味方国・敵国)という分け方にしてあるので、GMが設定してください。ラストバトルについても設定はないので、本シナリオを最後まで進めたら、バトルテックのルールで戦って決着してください。
 

【導入】
国境線近くの辺境基地、周辺には味方の小さい街がある。
 
国境線を超えると、対称になるように敵国の街と敵国の基地がある。敵の街は味方の街より大きい。味方の街は、街というよりちょっとした住宅街くらいの規模感だ。
 
この辺りは、もともと国境線はなかったエリアだが、戦況に翻弄され国境は変動し、あちらの街が味方国側にいたり、逆にこちらの街が敵国側の国境の向こう側になってしまっていた時期もあった。
 
現在は落ち着いた様子で、国境線はやや固定化されつつあるといったような状況だ。
同じ国だった時代があったこともあり、味方街と敵街の間の交流はそれなりに盛んな状態である。
そのため味方国はここの戦力を減らし、浮いた兵力をより激戦地に移動。ここには傭兵である君たちを派兵した。
 
国境線近くとは思えないような弛緩した雰囲気に包まれている辺境基地に、その状況を一変させるような報告が入った。
 
「敵国街にとある噂が広まっている。“街の近くに工場のような建物がある”という」
 
その工場は、メック修理工場なのか、あるいはメック生産工場なのか詳細はまだ分からない。
いずれにせよどちらの場合でも、戦略的に重要であることはたしかだ。
 
これを手に入れることで、一挙に戦況が優位になる。修理工場でも、壊れたメックを修理して継続的に運用し続けられるし、もし生産工場だったら、ここで生産したメックを激戦地に送ることが出来るようになる。
 
メック生産工場というものは、現在はかなり数が少ない。
 
【工場】
500年くらい前の失われた技術によりメックというものは生産されており、完全自動化工場で勝手に生まれてくる。
メック生産工場はこの長く続く戦争で多くが破壊されてしまったり、地層に埋もれてしまっており、かなり数が少なくなってきている。
 
味方国(味方基地)の司令としては、状況が分からないままうかつに動いては危険だと判断、
まずは敵国街での情報収集命令を君たちに下した。
そもそも工場の位置もよく分かっていないし、最初に基地に連絡を入れてきた情報屋から「敵国街に、工場のウワサが広まっている」という本当なのかウソなのか真偽すら怪しいような情報をもとに君たちは動き出すのだ。
 
仮にその工場が本当にあったとして、敵国がその工場をすでに支配してしまっていた場合、そこにノコノコ出掛けていっては味方国のメック全滅の危険性が高い。
 
まずは敵国がその工場のウワサを認識しているかどうか、そしてウワサは本当で工場が実在するのか、すでにそこを占領するために準備しているかどうかを知りたい。
 
【調査開始】
PCたちには、工作費として600コムスタービルが支給される。(1コムスタービル=$5=現在のレートで750円程度。600コムスタービルは45万円程度だ)
 
敵国街の近くまでメックで行き、メックを隠せそうな場所でカモフラージュをして置いておき、敵国街に入る。
 
PCたちが敵国街に潜り込んでいる味方の情報屋と接触したところ、情報屋もまだ分かっていることが全然少ない。というか情報屋といっても、敵側の街の単なる住人のうちの1人に過ぎない。味方国にちょっとした情報を流すとお金がもらえるので小遣い稼ぎ程度の軽い気持ちでスパイ行為をしているという訳だ。本格的に味方国側について、敵国と戦う気持ちなど毛頭ないのだ。だから、あからさまに君たちに協力して敵国街の中でバレそうになってしまうことも警戒している。こういうスパイはこいつ一人だけでなく、何人も飼われていると思っていい。
そこから来た情報の真偽を確かめる役目として君たちが来た形、つまり調べるのは君たちの手でやってねということなのだ。
 
【情報屋の知っていること】
情報屋はマイクと名乗る、30歳くらいの男だ。(実名はリタ・ペンプルトン)
「当然だが、俺は工場なんて見たことがないし場所も知らない。ウワサで聞いただけだ」
「工場は、味方国街より、敵国街に近いエリアにあるとか」
「俺がウワサを聞いたのは酒場だ」
 
情報屋は民間人の服装・敵国軍人の軍服どちらかを調達してPCたちに渡すことが出来る。
(PLが希望したものを必要数支給。民間服でも軍服でも1着25コムスタービルとする)
 
 
【酒場】
情報収集のために敵国の街の酒場に足を運んだ。暗い灯りが吊り下げられた部屋は、タバコの煙と不穏なざわめきに包まれている。軍人たちが、自分の仕事や戦闘の興奮話に耳を傾けている。酔っ払った戦傷者たちがバックテーブルで咆哮し、以前の戦闘で負ったケガの話に花を咲かせている。
 
プレイヤーキャラクターは、バーカウンターに座り、バーテンダーに向かって頷く。バーテンダーは無言のまま、力強くビールのジョッキを差し出します。プレイヤーキャラクターは一口飲みながら、酒場の雰囲気に馴染んでいくことを感じる。(ドリンクは1杯1~2コムスタービル)
 
<敵国軍服を着ている場合>
プレイヤーキャラクターは、巧みに周囲の雰囲気に紛れながら、酒場の一角で密かな情報を手に入れることができるだろう。
交渉・外交技能等に成功したりうまくロールプレイをすると、隣に座る不気味な見知らぬ軍人が、ウワサを耳打ちしてくる。彼が指差すソファのコーナーでは、地元の軍の技術者(技術者は違う制服を着ている)がグループで密談しているようだ。彼らは新しい工場のウワサ話に興味津々の様子だ。
 
「おい、聞いたか?」
「なんでも近くで工場が新たに見つかったって話だぜ」
「詳しいことは俺も知らないんだがな!」
 
技術者たちの話している内容をキャッチすることができたら(聞き耳に成功したら)以下の内容が聞こえてくる。
「古売屋に行ったら、いつもはあまり見かけないパーツが置いてあったんだ」
「あんなしょぼくれた古売屋にメックの部品が置いてあるのはおかしいんだよな。なにかあるぜ」
 
【古売屋】(トシオ・カワイ 日系)
古売屋では、さすがにメック本体は売っていないものの、修理機材や簡単な武装などを売っていることがある。仕入れ次第なのでいつ何が売っているかはその時々による。
 
味方の街の子供たちが工場に潜入して、拾ってきたクズパーツを敵国の街の古売屋で売った。古売屋は特に何も考えずに買い取ってしまったが、
「よく考えてみたら子供たちがメックのパーツを持ち込んでくるのは今回が初めてだったな」
 
【真相】
子供たちからメックパーツを買い取った数日後、偶然敵国軍人が店に来た。普段の古売屋なら売っていないパーツを売っていることを不審に思った敵国軍人が聞いたところ、トシオは子供たちからパーツを買い取ったということを話した。
 
敵国側でも、いままで古売屋に無かったパーツの存在は不審に思ったし、なぜ子供たちがそんなパーツを持ち込めたのかは不思議だと思っているが、明確に工場の存在までを認識している訳ではなさそうだ。とりあえず敵国軍人はメックのパーツを全部買い、持ち帰った。
 
古売屋のカワイに、子供たちが普段どこにいるかを聞くと、子供たちはストリートキッズのように街じゅうをふらふらしていて、中には盗みやひったくりをするものもいるようだ。たぶんどこかにバレないようにアジトのようなたまり場を持っているようだが、大人たちにバレないようにしていると思われ、古売屋もアジトの場所は分からない。
 
【倉庫街】
何らかの手段で子供たちのアジトである倉庫街を突き止めること。方法の例は以下。基本的に盗賊技術。サブ技能があるものはそれを使用(忍び足、潜伏、変装等)
・子供のうち一人を尾行。(変装する)
・わざとひったくられ、後を追う。
・盗みそうなものにセンサーを付けておき、わざと盗ませてセンサーでアジトを探知。
など。
 
アジトで子供たちのリーダー(ドミニク・ホームワース)に話を聞くと、最初は何も教えてくれないが、今後もパーツを工場から持っていっていい、などと約束して信頼を得る(交渉・外交技能に成功したりロールプレイするなど)ことができれば、工場の具体的な場所(座標)を教えてくれる。
 
その瞬間、後ろの方から「ガタン!」と物音がする(聞き耳)。誰かに話を聞かれたようだ。
追いつくことに成功(運動・軽技・走行etc.技能に成功)すると、その正体が分かる。なんと君たちが最初にこの敵国の街で話を聞いた情報屋のマイクだ。
 
追いかけることに失敗すると、
「キャキャキャキャーッ!」とクルマのスキール音が聞こえ、自動車が走り去っていくのが見える。(諜報失敗)
 
【会話】
マイク「へへッ、バレちまってはしょうがねぇ。だが言わせてもらえば、あんたたちが始めた戦争じゃねえか。俺たちは生きるために仕方なくこうしてるのさ」
「おっと、いいのかい。民間人に銃を向けてさ。アレス条約ってのがあるんじゃあないのかい?」
「なにか言いたそうだな。なにか言いたいんだったら、その前に今すぐこの戦争を終わらせて見せろよ!」
 
子供リーダー ドミニク「お前たち大人はいつもこうやって汚いことをする!」
「何なんだいったい!」
「もうたくさんだ!」
 
【その後】
<マイクを捕らえることに成功>
敵国には、電信で工場の座標までは報告されてしまっている。だがおそらくPCたち味方国が動き出しているという情報までは伝わっておらず、フル戦力で工場を奪いには来ないはずだ。敵国の準備が整う前に、工場の座標に向けて出撃!
 
<マイクを捕らえることに失敗>
PCたちが、敵国の街での諜報活動の立ち回りに失敗した場合、敵国側は十分な準備をする時間があり、必要にして十分な戦力を工場に送り込んでくる。
 
①    PCたちが情報収集活動に成功&グズグズせずすぐ出発 ⇒ 敵戦力をPCたちのメック部隊とほぼ同等あるいはやや軽めの総トン数にする。隊長機を1機設定する。別機種で隊員機よりやや重い機体にするとよい。
 
②    PCたちが情報収集に失敗 or 諜報に時間をかけ過ぎた or マイク逃亡 ⇒ 敵戦力をPCメック部隊より重いトン数にする。具体的にどれくらい増やすかはPC側の力量をGMが見極め判断すること。同様に隊長機を1機設定する。別機種で隊員機よりやや重い機体にするとよい。
 
【ラストバトル】
使用するマップと広さはGMが自由に設定すること。
 
【勝利条件】
隊長機が破壊・動作停止などした場合、敵メック部隊は降伏してくる。
隊員機を総数の半分(4機の隊の場合2機)破壊されたり動作停止した場合も、敵メック部隊は降伏する。
 
PC側が勝利した場合、工場の支配権を得たこととする。工場はメック修理工場だった。製造工場でなかったのは残念だが、それでも自機の修理に役立つことだろう!


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