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蝉時雨のタイプラプスをアップデート

久しぶりに詩を詰め合わせてみたら、夏真っ盛りに作った詩ばかりになってしまいました。季節感が…!今年の夏の暑さを暖房として、詩でちょっとでもお届けできればと思います…!

今回は言葉の添え木様のお題で作った詩4編と、オリジナルお題の詩を1編お送りいたします。



陽を見つめて

華やかな太陽のフレア

焦がれて見つめる人々を
優しく撫でるだけ

陽を見つめて目を閉じて

まぶたに転写された丸い影
夏に置いていかれた落ち葉
地上で暴れる灼熱

空に送り返そう

光線の香りに誘われて

視線で送り返そう



蝉時雨

真夜中の蝉時雨は
夏から秋への扉を開く呪文

雨で錆びゆく鉄塔に
蝉時雨が引っかかって
開け、開けと華やいで

烏龍茶と麦茶で乾杯
とろけるアイスキューブ

まだまだ朗々と延々と

真夜中の蝉時雨は



タイムラプス

光跡は夜空の年輪に
いつまで撮り続けようか
どこまで探そうか

得るものがある
見つからずとも

月の分身たちから
夏の大三角へ伝言

終わらない探索へ
幕を切るのは
君が歌うシャッター音



アップデート

見上げれば絶え間ないアップデート
雲、雨、雷雨が去った静寂

苔を月夜が照らす時
岩戸の奥の埴輪が語りだす

星のアップデートの履歴

肝心要なものほど透明な理由

君の晩夏のアップデート

更新されゆく時間にわっしょい
埴輪だった時代にわっしょい



まぶた(オリジナルお題)

まぶたは掛け布団
月が満ちて欠けて、星の風船を集めて
それは、まぶたの裏側で生きる物語

意識と無意識の狭間で
ひっそり生まれていた物語

蜜蜂の巣箱を
暖かな場所へ運ぶんだ
君が夜毎に帰る場所も
暖めるんだ

まぶたは冷える眼を隠す
閉じることができない君の物語を
必死に暖める
小さなぬくもりの幕



お気に入りいただけましたら、よろしくお願いいたします。作品で還元できるように精進いたします。