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知らない空と葉脈と、聞こえないフリ

絶え間ない熱波にもう半分、溶けております。固形でいるのは読んでいる時と書いている時だけかもしれません……!どうか、ちょっとでも涼しくなりますように……!

今回は言葉の添え木様のお題で作った詩4編と、オリジナルお題の詩1編をお送りいたします。



知らない空

知らない空があることを
恥じることはないよ


そっと耳打ちしてくれた
見知らぬ曇り空


どこまで歩こうとも
知らない空に覆われている


知り尽くそうか

雲と月を追いかけて

ぼうっとしようか

知らない夜空を見上げて



聞こえないフリ

誰かが呼んでいる

グラスの底で聞こえないフリ


七月になりかけている光が

水を通りゃんせ、乱反射

鳥肌が立つほどの荘厳


もう一度、息がしたくて

もうずっと、沈んでいたくて


まだ聞こえないフリ

また誰かが呼んでいる



ビヨンド

龍の君と散歩

長いリードがうねってる


リードがビヨヨン、曇空をビヨンド

君は宙まで昇っては

必ず戻ってきてくれる


ビヨヨーン、ビヨンド

僕も龍になれたなら

お空をビヨンド、おさらばさ


ビヨンド、ビヨン

だけどやっぱり

君と雨模様を見たいんだ



トンネル

重苦しいトンネルの暗闇は

友達でなく敵でもなく

問いかけてきた
風鈴の声色で


「君は何者?誰だったかな?」


私、こういう者だったみたいです

これから、よろしくお願いします


トンネルのゴールに響く声は光

金継ぎした感情と共に

夏の道を泣いて歩いて



葉脈(オリジナルお題)

葉脈に沿って流れていくのは、かつての言葉

昨日のいさかい

まだ言葉がなかった頃の言葉

一昨日のいたわり


栞だった枯れ葉の葉脈にも

本を構成する細胞が流れて

プラズマになって

言葉にならない気持ちに還っていく


あなたにも流れていく

そしてまた明日へ流れていく

葉脈との繋がり

まだまだ拙い私の言葉

明後日のよろこび



お気に入りいただけましたら、よろしくお願いいたします。作品で還元できるように精進いたします。