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必要なのはバックパック一つの荷物だけ / 部屋に不審者


鍵が壊れた、いや壊された。
部屋でくつろいでいると、誰かが部屋の前に来た。

宅配便なんてないし、誰かと会う予定もない。

向かい側の部屋の人かな


なんて思っていると、鍵を入れ開けようとする音が聞こえてきた。
私の部屋のドアじゃん…

部屋の鍵をもっているのは私だけなので、見知らぬ人の鍵で開くはずがない。

部屋を間違えているのか…?
なら早くそれに気が付いて立ち去ってほしい

しかし彼は鍵を開けようと奮闘していた。
鍵を鍵穴に入れたり、出したり、ドアをがちゃがちゃしたり…


いい加減怖くなってきた。
ドアを開けて文句を言おうか…
でも部屋に押し入られたりしたら逃げ場がない。
私は部屋の中でそっと身をひそめながら、彼が諦めるのを待っていた。
ドアが壊れるか私がドアを開けるか、彼が諦めるか…


長い長い25分が過ぎた。
彼は諦めたようだ。
立てこもり事件の人質の気持ちが少しわかった気がする。

ほっとしたのもつかの間、鍵が壊れて外からロックできなくなってしまった。


今日は金曜日、care taker に連絡しても来てくれるのは月曜日以降。

困ったのは食材が何もないこと。
食料を買いに行きたい、でも部屋の鍵をかけずに行くのは怖い…


格闘した結果、生きるのに最低限必要なものだけ持って出かけることにした。
残りは盗まれようが燃やされようが後悔はない。


私がバックパックに詰めたのは、
・スマホ
・スマホ充電器
・パソコン
・パスポート
・海外保険や銀行の書類
・財布


これだけ守れれば大丈夫。

本当に必要なものって、案外少ない。

・連絡手段用のスマホやパソコン
・お金
・留学・海外滞在のために必要な書類


これだけ。

もともと持ち物は少ない。
一時間後に引っ越しすると急に言われても荷物をまとめられる自信があるし、全て一人で運べる量だ。

持ち物が少ないと、何がどこにあるか全て把握できるし、一つ一つにより愛着が持てる。
また今回のドアがちゃがちゃ事件の時のようにいざというときに自分に必要な最低限のものがぱっとわかる。


たくさんの物に囲まれた、宝箱のようなおじいちゃんとおばあちゃんの部屋にいるとわくわくするが、私自身はシンプルに暮らすことが向いているのかもしれない。


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