アームカバーが防寒具

最近雨が多く、朝は肌寒いので、長袖を着て気温が上がったら半袖に着替えたりしている。

私の父80歳は生来の面倒くさがりのため、着替えることをしない。半袖シャツの上に長袖を着て、暑くなったら脱いでいた。しかし今年は違う。

どこで誰に教わったか知らないが、アームカバーをしている。それも女性が使う手のひらまであるやつ。半袖を着てアームカバーをした父と朝食を一緒に食べると気が狂いそうになる私。

普通は、外で日焼けしないために使うのではないか?車運転する時とか、庭いじりする時とか。そういう本来の使用目的を知らずにいる。

やんなっちゃうよ。ももひき姿やパンツ一丁も小言を我慢して、見ないふりをしているのに、朝からアホなファッション見せつけられて。正論が通じない相手には、言うだけ無駄だから黙っているけれど、他人はどう思うのだろう。

80で日焼けはお肌に悪いと気付いて、使い始めたわけでは決してない。寒がりなくせに暑がりで、下半身が冷えるのでいまだにタイツ状のももひきを履いてむれて、かゆくなっている。

白い綿のももひきがあったが、服をインするのでゴムがすぐ伸びる。ゴムを交換してくれと言われたことがあるが、どうせすぐまた伸びるから新しいの買ってと言った。

おしゃれとは、無縁の着たきり雀で、座椅子にそっくり返ったまま飲食をするから、こぼして服はシミだらけ。だらしない、昔から。

私も会社員だった頃は、朝から晩まで父の行動を見ることはなかったから今ほど嫌いではなかった。しかし、家事専業になり三食ともにするようになりダメな部分が目につきすぎ、同じ部屋にいるとイライラするので距離を置くようにした。

だが、リビングにいる父が湯呑をテーブルに置く音がうるさく、狭い家じゅう響く。テレビのボリュームも大きくしないと聞こえない。いい所は外面だけで、家の中では汚すだけの人。

でも、歩けなくなって、杖をついて、車の運転もできなくなったら、もっと悲惨になる。まだ、ましだと思って日々耐えている。