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太陽と雄牛

 太陽と雄牛は競合している。互いに何かを試し合っている。そのことに僕が気づいたのはつい最近のことで、それまではそんなこととは無縁の生活を送っていた。

 気づいてしまってからは気づいてしまったという日常が反復される。太陽と雄牛の競合。僕は気づいてしまった。

 特段、雄牛を意識的に見やったことはない。ヘミングウェイの小説にその記述を見たことはあれど、それ以上に何かしらの思いを抱いたことはなかった。

 太陽を直視したことはある。何度も。その度に僕は死んで、そうして生き返っているような気もする。

 太陽と雄牛が競合している。そのために僕らは投げやりで怠惰な毎日を過ごさせられ続けている。奴らは試し合っている。僕らは投げやりで退屈だ。

 太陽と雄牛の唄。僕らがかろうじて歌える唄。せめてもの反抗と、この感じの繰り返しの中の抵抗。受容。大人になるということ。

 太陽と雄牛。彼らは競合している。

(2022.12.27)

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