第十期天鳳名人戦牌譜検討第58回

第四節二回戦卓3

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 ホンイツ本線の手は染めている色を絞られにくいように二番目に多い色の牌を切るというセオリーがあります。7sツモでチャンタ1シャンテンなら流石に9p切りそうですが、7sをツモるより先に白中をツモるかポンするケースの方がずっと多く、その時に98sとペンチャンを並べてピンズを見せなければマンズが鳴きやすいという発想です。

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 まだテンパイしてない可能性が高い序盤ならともかく、この段階でこちらの仕掛けに三元牌の3種目をあっさり切ってくる南家。もちろん相応のテンパイが入ってました。河と鳴かれなかった牌を合わせると47sは大本命。ノーテンのこの段階はもちろん、テンパイでも流局が近いなら47sは止めるまでありそうです。

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 「並びシャンポンはアガリやすい」という、理由がよく分からないにも関わらず昔から言われている格言があります。4mを使っているから3mが出やすいという説もありますが、個人的には「手変わりが弱い(3mと4pのシャンポンならリャンメン変化が4種あるが3mと4mのシャンポンは2種しかないうえに亜リャンメン止まり)から(手変わりを過大評価しがちな昔の麻雀観においても)リーチしてしまった方がアガリやすい」の意味だったのではないかと考えています。

 当時からこの格言には否定的な見解も多く、「並びシャンポンはアガリにくい」と主張されているのも見たことがあります。そちらも、「他家が234mのシュンツや34mのリャンメンを持っているだけで残り2枚しかない」という、「他家に使われやすい」ことが根拠とも考えられますが、「通常のシャンポン待ちより手変わりが少ないからアガリにくい」の意味だったのかもしれません。

 余談が長くなってしまいましたが、手変わりがさほど多くないにも関わらず南家は打3sダマ。昨今の研究で25m9pツモ程度では手変わりを待つには少ないというのは天鳳名人戦の出場者には共通見解でしょうから、「並びシャンポンはアガリにくい」という意識があったのかもしれません。

 手変わりのある手でリーチかダマかとなったら、もう1つ考えるのはテンパイ外し。今回は1sが4枚見えで3s周辺のくっつきが弱いので一見テンパイ外しはなさそうですが、外すにしてもマンズ切りではなく打1sという手があります。メンツを崩すので盲点になりますが、チートイツもあるので25m69p2sが手変わり。25mならリャンメン+平和高めイーペーコー、69p2sはチートイツドラドラ。単純なリャンメン変化なら5種でも手変わりとしては少ない部類ですが、いずれも2翻以上打点が上がることを期待できるとなれば手変わり待ちに分があるとみます。

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 西家はツモ6pで打4mのテンパイ外し。前図のダマはピンズ引きなら二段階変化も踏まえた選択でしたが、打1sならここでチートイツドラドラを東家からアガることができていました。

 東家もピンズ4連形と受けが被っているのでドラ9pを切りがちになりますが、36pでも中とのシャンポンでリーチを打てるピンズ4連形を含むくっつき1シャンテンなら、片割れの浮き牌が何であろうとアガリ率はさほど落ちないので、2m残し3mツモよりドラ9p重なりをみて打2mに分があるとみます。

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 ドラ9pで現物待ちダマ7700、安め6pも1枚だけとなればダマにするところ。東家リーチに通っている牌が少ないので、今なら他家の手牌で9pが浮いていればこぼれる公算が高いです。

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 9pをつかんだ東家から満貫出アガリ。赤5mをツモって打2mとしたところで、通っている牌がかなり増えたのでリーチ者以外からの出アガリが期待できない、9pで出アガリ跳満、すぐ9pが合わせられなかったとなるとまだ山に残っている可能性が十分あるという理由でリーチに切り替える手がなかったか気になります。

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 一通ドラドラ1シャンテンをあえて崩すことはなさそうに見えますが、打9mとした場合ツモ27mのテンパイ逃しでも手広いくっつき1シャンテンで、待ちとして残るとアガリにくいドラ表示牌待ちが残らない。タンピンと678三色があるので一通を崩しても打点が下がらない。以上の理由から打9mも考えられます。また、ソーズは4連形とはいえ、ツモ9sはタンヤオがつかないうえに7sを自分で1枚使った47s、一通を崩すだけの変化としては弱いとみて、タンヤオ三色への変化を優先して残す打5sもあります。

 今回はトップ目につきハネ満以上の打点を追うメリットは薄く、打5sよりは打6pとみますが、ドラ表示牌残りでリャンメン変化がない一通1シャンテンよりは、2シャンテンにしてでもクイタンの方がアガリやすいとみて打9mに分がある気もします。

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 3pを雀頭で固定した方がリャンメンテンパイになりやすく、678三色がつく受け入れでも勝るので雀頭固定。4m赤5m引きだけ見ていると5mより先に3pを切りがちな手牌でしたが、3p残しが活きる形になりました。

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 安牌となる8mをポンしてきた東家もテンパイの可能性が高い。西家は5m24pと払って4枚見え中を残す猶予のあった手牌なので良形率が高い。満貫テンパイでも悪形かつ両方に通ってない8pとなると引くのが無難でしょうか。すぐ36sツモを引いた場合に8pを押したのかも気になるところです。



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