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#05 気がつけば冬。


始まった。ついに今年最後の一か月が始まった。
師走という字を見ると何だか妙に焦ってしまうような気持ちで落ち着かなくなる。

いつもなら12月が来ると嬉しくて
あーこの大変だった1年がやっと終わるぞー!
と言う気分になり、

別に自分の生活の何かが大きく変わる訳では
無いけれど、最後のひと踏ん張り!と
謎のパワーで頑張れたりする。

そしてクリスマスの装いをまとった街や空気が、
みんながそわそわしているようなそんな12月が、
とっても大好き。

ただやはり今年は、そのいつもの景色に
一人足りない。

その現実がじわじわと突き刺さり
苦しさや悲しさでヒリヒリと心が痛む。


大晦日の大掃除で毎年
お風呂場を念入りに掃除していた父。

気づけば外にいて車をピカピカにしている父。

父は一通り自分の持ち場としているところを
掃除し終えると、母に何を手伝う?と声をかける。

あっという間に紅白歌合戦が始まるような
時間に変わり

街も閑散としている、もう今年も終わるぞ、、
そんな少し胸がそわそわする時間に
年越しそばの買い物に行くのが恒例だった。

父と足早に食品売り場を駆け回り
これから数日の間、家から出なくていい様に
お菓子もお酒もジュースも
とにかく今日は特別サービス

好きなものいっぱい入れちゃえ!の
お買い物タイムが幕を開ける

これはお母さんのすきなもの。
これは私、これは妹に、これはお父さんに。
かごいっぱいに詰め込んで、

ほんとにそれ全部食べれるの?というような
たくさんのみんなの好きなものでかごを
いっぱいにして、そそくさとうちに帰る。

その時間が本当に大好きだった。

みんなの大好きなものを両手に抱えて
大遅刻のサンタクロースみたいな父との時間が
私にとって大晦日のとても大切な時間だった。


それからみんなのために年越しそばを作り
買ってきたエビの天ぷらは当たり前のように
大きいほうを私や妹に入れてくれる、
うちの父は家族思いの本当に素晴らしい人だった。


そんな大切な思い出の年末が今年もやってくる。
きっとあっという間に。

今年は私が父の代わりにお風呂掃除から始めるつもりだ。

生活のあちらこちらに残る
父の面影を追いかけて。

今日もねむいね、

良い夢を☽⋰

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