睡眠と私。ナルコレプシーという病のこと ~vol.5 受診②覚醒
前回まで
睡眠に関わるトラブルの発生要因は様々なので、もし悩んでおられる方はたとえ遠くても総合的に判断できる専門医にかかってほしい。
私が訪ねたのはここ。
10年前のことなので記憶も朧だが、1泊2日の検査入院を3万円位で受けた。検査は2つで、①夜寝るときにヘルメットのようなセンサーを付け、どんな脳波?が出ているか、消灯から何分で入眠するか ②日中静かな部屋に横になった場合何分で入眠するか を計測した。
センサーのコードがどれだけ邪魔だろうが、ヘルメットが煩わしかろうが、そこに人がいようが、分単位どころか秒単位で眠れる私に下された診断は「ナルコレプシー」だった。初めて聞く単語だったけれど、その妙にリズミカルなサウンドが気に入った。私は自分が病気であるという事実に、すなわち、自分がただのなまけものではなかったのだということに、強烈な安堵を覚えた。
病名が分かったので、薬を処方してもらえることに。
モディオダール。希望の薬。これを飲めば起きていられた。あれほど難しくてチンプンカンプンで毎朝の読み合わせが地獄に思えた日経新聞がサクサク分かる。3ページ以上読み進めることができなかった東野圭吾もぐいぐい読める。薬って凄い。魔法みたい。
15歳からずっと靄がかかっていた脳内がパッと晴れるあの感覚は感動的だった。私はなまけものじゃなかったし、バカでもなかったんだ・・・!
保険適用でも1粒100円のモディオダールを1日3錠飲みながら、私はそれまで寝て無駄にしてしまった時間を必死で埋めるように本を読み漁り、映画やドラマを見つづけた。学生時代には寝落ちしてしまって見れなかった SEX and the Cityも一気見した。あんな面白いものを寝落ちするだなんて本当にどうかしている。
起きていられることが嬉しかった。1日は24時間以上に思えた。
病院に行けと言ってくれた上司に心から感謝した。人生を取り戻した。
・・・が!
続きはまたそのうち。