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📘夜のピクニック

私にもかつて同期というものがいた。ある日の夜、トンカツ屋に来ていた。
私はカツ定食、その子は冬季限定のカキフライ定食を頼んでいた。
私と属性が似ているはずなのに、話が驚くくらいに噛み合わず(今までそんなことがなかった)、距離感がわからなかった。
以前、私がチーカマを食べたことがないと言ったら、「え、あれは大学時代に一度は必ず通る道でしょ。」らしい。今だから言えるが、お互い通っている道が違いすぎて、お互いが一般的だと思う事項が合わさることがない。そんな子だった。

その時に話したことは何1つ覚えていなかったが、ご飯を食べ終わった後に逆上がりができるかを確認しに公園に向かった。

意外に鉄棒のある公園というのは少なくて、Google map で近場の公園を次々と回り歩いた。
「夜のピクニックだね。」と唐突に呟いた。よくよく聞くと、恩田陸著の「夜のピクニック」という本があるらしい。「読んだことないし、その本のタイトルも知らないなあ」と述べたら、「あれは中学高校時代に一度は読む道だよ」と。

と、話している間に鉄棒のある公園に到着した。
その子は一発で逆上がりができたが、私はできなかったので、数時間ほど練習してついにできるようになった。
一休みして自販機で温かいミルクティーを買って飲んだ。そこからまた少し鉄棒をやって、日付を越したくらいで帰った。

その子を見かけなくなって数年後くらいに、ふとこの話を思い出して、「夜のピクニック」を読んでみた。大体予想はついていたけど、私の好みではなかった。でもあの子が好きそうな内容だった。

#散歩日記 #夜のピクニック


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