雲職人

うさぎのクララは、雲職人。
たくさんの雲を育てています。

今日も雲たちに新鮮なお水を振りかけます。
「おはよう、ふわわ 元気かい?」
「おはようクララ、みてみて。昨日より大きくなったよ!」
「うん! とても大きくなったね。明日には外に出られるね。」
大きくなった雲たちは、煙突を通って空へと旅立ち雨を降らせます。

トントン!トントン!
誰かが訪ねてきたようです。
「やぁ ニャンタ!おはよう!どうしたんだい?」
猫のニャンタです。なにやら困った顔をしています。
「おはようクララ、お願いがあってきたんだ。
明日、友達とピクニックをする予定だから雨を降らさないで欲しいんだ」
「わかったよ!明日は、新しい雲を空に出すのはやめておくね」

トントン!トントン!
おや、また誰かが訪ねてきたようです。
「やぁベア!おはよう!どうしたんだい?」
くまのベアです。なにやら怒った顔をしています。
「ちゃんと雲を育てているのかい?ここ数日ずっと雨が降らないから、
畑の野菜たちに水が足りないよ。  明日こそは、雨を降らしておくれ」

トントン!トントン!
おや、また誰かが訪ねてきたようです。
「やぁ わんこ!おはよう!どうしたんだい?」
犬のわんこです。なにやら嬉しそうな顔をしています。
「明日ね。お父さんに遊園地に連れて行ってもらうんだ!だから明日の天気は絶対晴れにしてよね!」

トントン!トントン!
おや、また誰かが訪ねてきたようです。
「やぁぴょんた!おはよう!どうしたんだい?」
蛙のぴょんたです。なにやら悲しそうな顔をしています。
「最近雨が降らないから水溜りができなくて、水飲み場がないんだ。
明日は、雨を降らせてくれないかい。」

さて困ったクララ。明日の天気をどうしたらいいのかわかりません。
村のみんなを集めて、話し合いをすることにしました。

「明日は晴れ、明後日は雨って順番ずつにするのはどう?」
「4月は桜の花が咲くよ。雨が降るとお花が散っちゃうから、晴れの日を続けて欲しいな」
「5月はピクニックをたくさんするから晴れの日を多くしてよ」
「それなら、6月は雨を多くしてね。雨が降らないとお水が足りなくなっちゃうよ」
「7月は海に行くから晴れがいいな」「8月は花火大会もあるよ!!」
「9月は雨だね。読書の秋、芸術の秋、食欲の秋!全部、雨でもお家でできるよ!」
「10月は運動会があるからたくさん練習したいんだ!晴れの日を多めによろしくね。」・・・・・・

こうして、みんなで決めた約束通りに、うさぎのクララは雲を育てて、雨を降らすことになりました。

だから、この村には雨が多い時期と、晴れが多い時期があるんだって。

ありがとうございます。感謝いたします。