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天気のきもち

青い空、白い雲。
まぶしく光る海の水面に似合うような。みずみずしい西瓜の赤色が映えるような。
そんな気持ちの良い夏空を、今年はまだまともに拝めていない。

最近の関東の空といえば、どんよりと曇り空が広がり、雨が降ってくることさえ珍しくない。

空気だけがじめじめと重くまとわりついてくる。これではこちらの気分まで湿気ってしまう。

7月よ。君は夏ではなかったのか。なぜ本気を出してこない。何を遠慮しているのか。

考えてみれば、去年の梅雨は恐ろしく短かった。そして、異常なまでに暑い夏だった。猛暑、酷暑という言葉たちが日本中で踊っていたのを思い出す。

さては、とわたしは考える。

想像するに、梅雨と夏は師弟関係にある。

去年、師である梅雨は弟子の夏に、そろそろひとり立ちして日本の空を好きに操ってみよ、と言った。

厳しい修行の末、やっと認めてもらえたと舞い上がった夏は、力の加減を知らないままに大暴れしてしまった。

これを咎めた梅雨が、今年はお前の好きなようにはさせない、と言って去年の分まで雨を降らせているのではないだろうか。

そんなことを考えてみると、この気だるい天気も許せる気がする。

………。

…うそです、やっぱり早く青空が似合う夏、早く来てください。頼む。


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