「幸福度調査1位」コロンビア。犯罪や経済格差で有名なこの国が一体なぜ?様々なデータや社会制度から紐解いていく




はじめに


国際世論調査において、世間の注目を集めるものの一つに、幸福度調査というものがある。

幸福度調査は、大きく二種類に分類される。

その一つが、政治の透明さや社会福祉、健康寿命などといった様々な指標を計算式に当てはめて数値を算出する客観的幸福度調査。

そしてもう一つが、主観的な幸福度の算出を試みるものである。

後者の主観的幸福度調査の中でも知名度の高い「End of the Year Survey」の2015年版(調査対象国68ヵ国)において、南米のコロンビア共和国は1位を獲得した。それ以外の年も、1位や2位を取り続けている。

南米のコロンビアと言えば、麻薬王や半世紀以上続いた内戦、世界屈指の経済格差、世界屈指危険都市ランキングにもいくつかの都市がランクインするなど、「幸福」のイメージとは遠い要素が有名である。

本記事では、コロンビアに留学中の学生である私が、先の調査などを例として取り上げ、調査において幸福度を左右した要因などについて様々なデータをもとに分析・考察し、独自の社会制度などにも着目しながら、仮説を立てていく。



目次


第1章 問題意識


第2章 主観的幸福度調査

2.1 主観的幸福度調査の概要
2.2 客観的幸福度調査
2.3 収入レベルが回答に与える影響
2.4 教育レベルが回答に与える影響
2.5 調査に表れる日本の特徴
2.6 第二章のまとめ


第3章 主観的幸福度の要因仮説

3.1 コロンビアの住宅事情
3.2 相対的剥奪
3.3 他の要因の仮説


第4章 結論~主観的幸福度調査から見えるもの


参考文献




第1章 問題意識


 日本は、世界有数の経済規模や優れた治安など、他国に目標とされるような”豊かさ”を有している。

それにも関わらず、日本人の幸福度は低いと言われており、先進国における自殺者の割合はトップレベルであるという。

一方で、経済発達度合いや治安面で日本より遙かに劣るラテンアメリカ諸国は、幸福度が高い傾向にあると言われている。

「End of the Year Survey」において日本を始めG7の殆どの国の幸福度は平均を割っているが、ラテンアメリカ諸国の幸福度は押し並べて高く、上位10ヵ国の半数がラテンアメリカ諸国で占められた。

人生において、個々人が最も優先するものは、当人の幸福感であり、人類について考える上で大きなテーマの一つであると考えた私は、ラテンアメリカ諸国の主観的幸福度の高さに注目し、特に2015年の調査において対象国68ヵ国の中で1位となり、且つ渡航経験があり現在留学中であるコロンビア共和国に主に焦点を当て、なぜそのようなデータが表れたのか、要因を分析・考察することに意義を見出し、調べてみることにした。




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