MOKKE- インタビュー#2


Q. 根尾に移住する前の話を聞かせてください。

京都の左京区の自然豊かな岩倉というところで古い家を借り、市内で小商いを営んでいました。小商いを始めたきっかけは大学時代に徳島県の上勝町をゼミの研究で訪れ「これからのコミュニティ」や「働き方」に興味を持っていたこともあります。起業家精神や自分の自由を獲得するという強いモチベーションで始めたのではなく、ネクタイを締めてビルの中で仕事をし、誰かの作った会社の大義のために生きることは無理だなと思ったからです。巨大なシステムの中で、細分化された仕事を行い、自分のやっていることが誰の役に立っているのか、意味をつかめないことをやらなくてはならないのではないかという、世間知らずの妄想の考え方ではあったと思います。とにかく身体的な拒否がありましたので仕方なく「小商い」を始めました。

組織の中で働くことの諦めというか自分には無理だなという「弱さ」から小商いという生き方が始まりました。この生活はとても自分にはあっていました。自分の中で納得のいく形で、目の前の人との関係を築きビジネスができるようになったら嬉しいなと思い、毎日お店に出ていました。大儲けはできませんが、なんとなく必要なものは手にはいる小さな働き方だったとは思いますし、自分なりの幸せがありました。京都の個人経営のお店の人達と仲良くなりそのご縁でイベントでのケータリングなどで出店し京都でお店をやるということに誇りも持っていました。小さなお店を回す中で経済の感覚が身体的に実感できたということもお店をやってみて良かったところです。お店に来てくださった方によって自分は生きており、支えられているという感覚を持てたことは自分の人生にとってとても良かったことだなと思います。

Q.根尾に来る前に期待したこと・不満なことは?

特に期待はしていませんでしたので不満もあんまりないですね。期待することよりも引越し、仕事が始まる、新しいコミュニティと慣れていくことに大変だった気がします。

Q.本人が感じる根尾と都市の違いは?

自分の数寄を把握しそれを表現したり、体験していたりする人々が京都には多かったので多様性の心地よさがありました。人との距離感の取り方が根尾の人は違うなと思います。言葉ではなかなか表現できませんが、京都では一定の距離感を保ち内と外を分けるのに対し、根尾では内と外との境界が明確で、内に入ると家族のように迎え「距離感」というものも根尾に来てから楽しんでいます。

Q.移住して根尾についての感想は?

水がうまいし、静かな風が気持ちがいいですね。温泉が近くにある。地域おこし協力隊として一般社団法人GIDSと連携し根尾で活動をしています。役割としては「キュレーター」を担っています。GIDS3期生のギン・イギョンさんと根尾弁当をつくり、弁当を「メディア」とみたて弁当に関係する人、コト、根尾の情報をまとめたマップを作りました。GIDS4期生の舞踏家である小林さんと今月から新しいプロジェクトが始まります。彼女とは根尾の「音」を集め一つの作品にするワークショップや舞踏の作品作りのサポートをしていく予定です。

Q.根尾で良い思い出を教えてください。

根尾にある行きつけのお店「双葉」で繰り広げられる夜のお店の雰囲気を楽しんでいます。都会とは違った人との距離感、お店から広がる根尾の方々との輪に感謝しています。

「鮎漁」へ連れて行っていただいたことが一番印象に残っています。夜の川に入り真っ暗な水の中二時間ほど鮎を追いかけ。顔をあげると月の光が美しかった夜が一番幸せを感じ、根尾に引越してよかったなと思いました。

「感覚」の部分、音、風、雨、季節の変わり目がはっきりしているのでそのような変化を感覚として楽しんでいます。

Q.幸福感を感じる要素ってなんだと思いますか?

「足から」朝を始める

京都の田舎でワークショップしていました。土塀作り、ツリーハウス、田んぼや山の中でライブなど幸せとは身体から始まるのではないかと思います。都会にいるときは「頭」から朝を始めており毎日忙しく日々が過ぎて行きました。根尾に引っ越してから「足」から朝を始めることにしました。朝起きて散歩する季節を感じる根尾の風、音、温度を感じることによって頭に支配されていた感覚から身体ベースの感覚へ移行できているような気がします。

詩の存在

生を豊かにしていくには「詩」の存在が必要なのではないかと思っています。詩の存在とはわかりにくものですが「世界がありのままに語りかけてくるような瞬間」そのような身体に流れてくる詩的な何かが起こりる生活をすることが人間の幸福に繋がると思っています。

Q.今から根尾での計画とかあるんですか?

外部の人や、アーティスト、作家さんが滞在しやすいようにシェアハウス、ゲストハウスなどをつくっていきたいと思っています。




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