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1−9 救い

1-9 救い

入社して7ヶ月は経っただろうか
相変わらず状況は変わっていなかった
今だったらすぐに辞めて違う職場を探していただろう
それが正解だと思う

でもこの時は
なぜかこのまま辞めるのも違うなって思ってた
でも楽しくないままずっと我慢をしていた時期だった

そんな時
他の店から幹部の人が移動してくることになった

名前はK 太さん

この7ヶ月で他の店の人とも接する機会はあったが
とりあえず強面の人が多く異様に坊主率が高かった

そしてK太さんは
俺がこの会社入って出会った中で一番体がデカくて坊主で
一見強面だった

本人には言えないが

こんな感じの人だ
とてもよく似ている

K太さんは

俺がこの会社で出会って別れた人の中で

また会いたい人ベスト3に入る

とても好きな上司だった

今でもこの人よりガタイの良い人と出会った記憶がないくらい
デカかったと思う

いや存在感が大きかったからより大きく感じたのかもしれない

【これよりもっと後の話】
にはなるが、このK太さんが他の店で店長になる際
俺もその店でお世話になることになる

もう少し先の話だけど

初めて会った時のK太さんの印象は
陽気で明るくて冗談ばかり言って何より後輩を守ってくれる上司だった

NAさんより役職は下だったが
省かれている俺を見て
いつも気遣ってくれたり、時には身を挺して守ってくれたりした

そして最初の方の口癖は俺に
【Kくん、いつかお前はいい漢になるよ】
それをよく言ってくれた。

お店にはBOSSを除くと幹部が
NAさん、K太さん、O木さんの3人で
派閥とまでは言わないが
O木さんはNAさんの直属の部下って感じなので
NAさん派とK太さん派に何となく分かれていたが
俺はK太さんと一緒に時間を過ごすことがとても多かった

ご飯もよく連れて行ってもらった

年齢は俺の3つ上でBOSSと同い年
昔ながらの不良みたいな空気の人で
義を大事にする人だった

そう

とっても男らしい人だった

仕事で何か秀でてるわけではないのはわかったが
俺は
こういう上司の為だったら
いくらでも無理ができた

俺は媚を売るような事は今でもできない
それはきっとこの人の背中を見てきたからだと思う

当時のK太さんの年齢をもう俺は越しているが
今でも当時のこの人の格好良さには敵わないな

今の方が
事件も事故も起きないし
仕事をできる人が多い

今の方が
女の子を泣かせていない
女の子を大切に扱っている

でも何ていうか
昔の方が不器用で無鉄砲で哀愁がある
そんな空気を感じる男が

多かった気がする

勝ち組と負け組で例えたら
負け組かもしれないけど

K太さんはかっこいい男に変わりはなかった

先の見えないこの職場で
少しだけ
気持ちが楽になれた



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