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アイデアと技術で時代を彩ったホンダの小型二輪車〜エンジン付き自転車から電動二輪車まで〜

こんにちは!Neoriders Projectアンバサダーのリッキーです!
本稿では、栃木県茂木町にあるホンダコレクションホールの展示内容を特集します。
本館はリニューアルのために12月4日から休館していますが、休館直前の12月3日に訪問し、ホンダの名車の数々を見ることができました!

今回の記事では、戦後に時代背景に沿った革新的なアイデアを打ち出して、日本人の仕事や生活を支えてきたホンダの小型二輪車(ここでは排気量が125㏄以下のバイク)を紹介していきます。
戦後の国民生活などの歴史が好きな方や、小型二輪車に少しでも興味のある方は、ぜひ最後までご覧ください!


自転車用補助エンジン 1946年

自転車が主な移動手段であった時代に、本田宗一郎氏は奥様が自転車で大変な思いをして遠くまで買い出しに行く姿を見て、自転車の補助動力を製作しました。
旧陸軍が使用していた無線機の発電用エンジンを分解整備後、自転車に取り付け、ゆたんぽや茶筒を燃料タンクとしました。
その利便性が評判となり、500機ほどのエンジンの在庫はすぐになくなりました。

補助エンジン搭載の自転車
(Neoriders Project撮影)

その後、1947年に、ホンダの名を冠した初の自社製品となる「A型」を発売し、自転車補助エンジンの市場は一気に拡大しました。「A型」には、初めて自社開発したエンジンという意味が込められています。
A型では、使用するユーザー・販売と自転車への組付けを担当する自転車店・製造を担当する工場の組立工の順に、一番製品と長く付き合う人の事を考え、取り付けや修理が簡単にできる「親切設計」が施されました。

A型搭載の自転車
(Neoriders Project撮影)

ドリームE型 1951年

当時の4ストロークエンジンではサイドバルブ方式が主流でしたが、ドリームE型では高度な工作技術が必要なOHV(オーバーヘッドバルブ)方式を実現しました。
このバイクの排気量は146㏄ですが、国産小型車で初めて、ノンストップで箱根の峠を越える偉業を達成しました。

ドリームE型
(Neoriders Project撮影)

箱根越えチャレンジの詳細については、こちらのウェブサイトにて紹介されています。

また、サイドバルブ方式とオーバーヘッドバルブ方式の違いについては、こちらのウェブサイトをご覧ください!

スーパーカブ 1958年

ホンダを代表する名車として名高いスーパーカブは、50ccのバイクでは量産が困難であった4ストロークエンジンを搭載しています。
オートバイの運転で熟練が必要とされるハンドクラッチ操作をなくして、足元のペダルだけで変速する自動遠心クラッチを搭載したことが特徴で、出前屋など働く人の需要に応えました。
また、ハンドルの根元からエンジン部分までのフレームがないステップスルーを採用し、スカート姿でも気軽に乗ることができました。

スーパーカブは、本田宗一郎氏の「手の内に入るものをつくれ」という言葉をもとに、だれでも扱いやすいサイズや機能的なデザインを徹底的に追及しています。
例えば、操縦安定性と足つきの良さを両立するために、当時メーカーにはなかった17インチのタイヤを導入しています。

スーパーカブ (中央)
(Neoriders Project撮影)

カブの歴史については、こちらのサイトに詳しくまとめられています。

モンキー 1967年

当初は子供たちにバイクを操る楽しさを伝えるために、遊園地多摩テックの遊具として開発されましたが、愛らしいスタイルが話題となり、市販化につながりました。
ハンドルやチェック柄のシートを折りたたみ式にするなどユニークなアイデアが満載の車両で、「車のトランクにバイクを積んで出かける」という新たなバイクの楽しみ方を生み出しました。

モンキー (右手前)
(Neoriders Project撮影)

ロードパル 1976年

1970年代は、軽自動車の普及や暴走族によるバイクのイメージの低下など二輪市場への不安要素が高まったことを背景に、主婦層を中心とする女性ユーザーが新たな需要として注目されました。
女性をターゲットにした、軽くて取り回しが楽な車体・定価59,800円というお手頃な価格・キックスターターではない畜力式(ゼンマイを使って簡単にエンジンがかけられる機構)のエンジン始動などの工夫がヒットし、ファミリーバイク市場を確立しました。
また、CMには、イタリアの女優ソフィア・ローレンさんを起用し、彼女が口ずさんだ「ラッ、タッ、ター」というフレーズで親しまれました。

ロードパル (右から3台目)
(Neoriders Project撮影)

タクト 1980年

タクトはホンダ初の50㏄スクーターで、スクーターブームの火付け役となりました。
両足を揃えて乗れるフラットフロア、ファッション性の高い樹脂製の外装、始動が簡単なセルスターターの搭載などで、買い物や毎日の通勤・通学の足として男女問わず人気を集めました。

タクト (右端)
(Neoriders Project撮影)

ストリーム 1981年

「100メートル先からみてわかる乗り物をつくれ」を合言葉に開発され、荷物が搭載できるフロントトランク、近未来的なデザイン、なによりコーナリングで車体の前半部だけが軽やかに傾く三輪構造などが特徴です。
デリバリー業務をはじめ多彩なシーンで愛用されています。

ストリーム (左端)
(Neoriders Project撮影)

番外編 EM1 e: 2023年

カーボンニュートラル社会の実現に向け開発された、国内パーソナル向けとしてはホンダ初の電動二輪車です。
ホンダでは、今から30年ほど前の1994年には既に「CUV-ES」という電動バイクを開発しています。
「ちょうどe: (いい) Scooter」のコンセプトのもと、買い出し・通勤等日常生活に最適になるように航続距離・出力などを定めており、4年以上乗れば内燃機関のスクーターよりもランニングコストが安くなります。

EM1 e
(ホンダ公式ウェブサイトより)

EM1 eの詳細については、こちらのウェブサイトで紹介されています!

おわりに

ホンダの小型二輪車の歴史はいかがだったでしょうか?
自転車に無線機用の発電機をつけるところからはじまり、働く人のために二輪車を普及させ、スクーターブームも引き起こすなど、業界で初の試みを続けることによって、日本ひいては世界の人々の暮らしの形態を創り続けました。
現在は、排ガス既定の観点から、原付制度を改定して排気量125㏄以下の二輪車も制限付きで原付区分に加える検討がされています。
また、パーソナル向けの電動二輪車が発売されるなど、これまで一部でしか利用されてこなかった電動二輪車が、徐々に大衆に普及していくと考えられます。
これまでに何度も小型二輪の時代を創ってきたホンダが、今後どのような小型二輪車を開発し、社会を変えていくのかが楽しみです。

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