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特定のフロップの分析・比較①(Ac5cKd)

今回は、特定のフロップについての分析をしていきます。

またお互いのレンジが変わることで、GTO戦略にどのような変化が起こるのかを比較してみたいと思います。

本文の見出しは下記の通りです。

1,前提

2,UTG open VS BB call (Single raised pot)の場合

3,BTN open VS BB call (Single raised pot)の場合

4,まとめ

5,補足:プリフロップのレンジ詳細



【1,前提】

対象とするフロップ: Ac5cKd

比較対象①UTG open VS BB call (Single raised pot)

比較対象②BTN open VS BB call (Single raised pot)

※ESはどちらも100bb。

※プリフロップの各レンジに関しては下部に詳細を掲載しておきます。ここらへんが「5~50nlzくらいの割と中心値っぽい数字だろう」というレンジを個人的に予想して設定しています。この設定が変わることでGTO戦略にも影響するのであしからず。

※この記事の反省点でもあるのですが、プリフロップの想定が非常に甘いような気がしています。今後はプリフロップソリューションなども活用しながらより精度の高い記事にしていきたいなと思います。

【2,UTG open VS BB call(SRP)の場合】

2-0,プリフロップのレンジについて

今回は下記の設定で計算をしました。「文字じゃわかりずらい!」という人のために本記事の最下部に画像を載せています。

【UTG open range】

AA-66,AKs-ATs,A5s-A2s,KQs-KTs,QJs-QTs,JTs,AKo-AJo

(146combo,11%)

【BB call range vs UTG open】

TT-22,AJs-A6s,A4s-A2s,KJs-K9s,QJs-Q9s,JTs-J9s,T9s-T8s,98s-97s,87s-86s,76s-75s,65s-64s,54s-53s,AQo-ATo,KQo-KTo,QJo,[75.0]A5s,KQs[/75.0],[50.0]JJ,AKo[/50.0]

(269combo,20.3%)

2-1,IPのCbetについて

このフロップでは、IP側はレンジ全体の88.4%でポットの75%のCbetを打ちます。

これは大きな理由の一つとして、IP側だけにAAやKKなどのナッツがあり、かつAKやA5の2ペアもIP側に多くナッツアドバンテージがIP側にあることが考えられます。

(※プリフロップの段階でBB側がAKsとA5sを一部3betしていることを想定しているため、BB側のコールレンジにAKやA5のフリークエンシーは少ないものとなっています。詳細は下部。)

またトップペアであるAヒットについてはIP側のほうが比率が高いだけでなくIP側のほうが強いキッカーの比率が高くなっています。

なお、IP側はウィークAやQQ-、フラッシュドローのないKxなどSDBのあるハンドの一部を低頻度のフリークエンシーでチェックバックしています。

2-2,OOPのvsCbetについて

それに対しOOPはレンジ全体の57.8%をフォールドし、残りの多くをx/cでディフェンスします。

フォールドする57.8%の内訳にはフラッシュドローのないKxやバックドアのないQJ-JTなどのガットショット、JJ-のミドルポケット、フラッシュドローのないミドルコネクターが含まれています。

反対にコールするレンジのほとんどはAxとフラッシュドローです。これにはKxccのワンヒットナッツフラッシュドローも含まれています。また、55と45ddなどのバックドアもコールレンジに残すことでレンジ全体のエクイティをバランスしています。

ここでの重要なポイントとしては、OOP側はクラブが1枚もないKQoはエクイティ自体は51%もありますがフォールドしています。同様にクラブが1枚もないAToについても61%のエクイティがありながら35%のフリークエンシーでフォールドします。反対にすべてのフラッシュドローにフォールドのフリークエンシーはありません。

チェックレイズについては55を80%、その他はAxやK9cc,QJccやJTccなどのガットフラドロ、35ddや45ddを中心に極小のフリークエンシーでバランスしています。これらをすべてコールにまわしてもEVlossは少なそうですね。


2-3,ターン以降の展開

フロップはIP側に非常に有利であり、ほとんどのハンドでCbetし、OOPはAxやフラッシュドローなどでディフェンスしていました。

では、ターン以降はどのような展開になるのでしょうか。

下の画像はターンのIP側のEVです。

OOP側は前述の通りAとフラッシュドローがコールレンジの多くを占めています。そのため、K以外のクラブはナッツアドバンテージがOOP側に移動することもあり最もOOP側に有利なカードとなります。

またここはもしかすると感覚値と違うところかもしれませんが、AやKがリピートするケースもOOP側にとって良いターン展開になります。

Aがリピートしている場合はIP側のAのコンボが減っており、Kがリピートしている場合はKでディフェンスしていたOOP側のエクイティが向上します。

また、IPはクラブ以外のターンカードが落ちた場合はほとんど150%ベットかチェックの2択戦略を取ります。クラブが落ちた場合は75%,33%,チェックの混合戦略を取ります。

いずれの場合もターOOPはターンチェックレイズの選択はほぼなく、コールorフォールドで対抗しています。

ターンチェックチェックで回った場合のリバーについて、詳細に分析はできていませんが、かなり多くの展開でOOPは高頻度にベットをします。

・ターンにAでチェックチェック、リバーラグの場合はレンジの90~100%

・ターンにKでチェックチェック、リバーラグの場合はレンジの60%

・ターンにクラブでチェックチェック、リバーラグの場合はレンジの40%

でベットサイズを混ぜながらOOPはリードベットするようです。

【3,BTN  open VS BB call (SRP)の場合】

3-0,プリフロップのレンジについて

【BTN open range】

AA-22,AKs-A2s,KQs-K2s,QJs-Q7s,JTs-J7s,T9s-T7s,98s-96s,87s-85s,76s-74s,65s-64s,54s,43s,AKo-A2o,KQo-K9o,QJo-Q9o,JTo-J9o,T9o

(534combo,40.3%)

【BB call range vsBTN open】

44-22,A8s-A6s,K9s-K2s,Q9s-Q6s,J9s-J7s,T9s-T7s,98s-96s,86s-85s,75s-74s,64s,A9o,A5o,KTo,QJo-QTo,JTo,[90.0]ATo,KJo[/90.0],[85.0]55[/85.0],[75.0]66,A9s,A3s-A2s,KTs,JTs,87s,76s,65s,54s,AJo,KQo[/75.0],[55.0]77[/55.0],[50.0]A5s-A4s,QJs-QTs[/50.0],[45.0]88[/45.0],[28.0]99[/28.0],[25.0]AJs-ATs,KJs[/25.0],[15.0]KQs[/15.0],[10.0]TT,AQo[/10.0]

(303combo,22.9%)

3-1,IPのCbetについて

これまでUTGvsBBのSRPでのAc5cKdというボードでのお互いの戦略についての分析をしてきましたが、ここからはポジション(レンジ)を変更して、BTNvsBBのSRPを想定して分析をしていきます。

UTGvsBBの場合、UTG(IP)はレンジの90%近くでCbetをしていましたが、BTNvsBBの場合のBTN(IP)は40%ほどしかベットしません。

これはナッツアドバンテージがIP側にあることに違いはないのですが、お互いのレンジがワイドになっている分、IP側にもAの比率が下がっていることが主な理由であると考えられます。

基本的には、全てのレンジでチェックと150%ベット、75%ベットの混合戦略を取ります。

混合戦略の特徴は下記の通りです。

・基本的にはレンジ全体をフリークエンシーでベットサイズを打ち分ける。

・とはいえバリューベットは強いAや2ペア・セット、ブラフベットはフラッシュドローが主体になり、ウィークAやKx、ミドルポケットなどSDBのあるハンドはチェックの比率が非常に高い。

・KK・55・AK・A5・K5/54s・65s・75s・85sにはチェックのフリークエンシーは(ほぼ)ない。

・AAとA2~A4、66-QQなどのポケット、クラブではないKxなどのショーダウンバリューのあるメイドハンド、クラブ以外のQxに150%ベットのフリークエンシーはない。


この戦略を簡易化すると、「強いA+セット/2ペア」と「フラッシュドロー+バックドアフラッシュドロー」にポラライズさせて大きめのベットをし、SDBのあるポケットペアやウィークAとそれ以外はチェックする、という形にすることができると思います。(それによるEVlossは未調査です、すみません。)

3-2,OOPのvsCbetについて

レンジ(ポジション)が変わることでIPのCbet戦略に変化があったことはわかりましたが、OOPのディフェンス戦略についてはどのような変化があるのでしょうか。

UTGの75%Cbet、BTNの75%/150%CBetのいずれに対してもレンジの約7%前後だけをチェックレイズし、基本的にはコールorフォールドでディフェンスする基本戦略に変化はありません。

コールするレンジに関してもKQやATといったフォールドするフリークエンシーが無くなりその他のKxもフォールドするフリークエンシーが下がる以外、ほとんど変化はありません。

変わらずOOPはAxやKx、フラッシュドローでディフェンスをしていきます。

強いていえば、プリフロップでKxを含めより広くディフェンスしている分Kとフラッシュドローのコンボ数が若干増えています。

3-3,ターン以降の展開(フロップ75%ベットにOOPがコールした場合)

フロップでは、IP側はUTGvsBBのときと比べてBTNvsBBのほうがベットの頻度が下がり、ポラライズされたレンジでベットしてきており、OOP側のディフェンスレンジに大きな変化はないということがわかりました。

下の画像は75%ベットにOOPがコールしたときのターンカード別のEVです。


当然ですがクラブが落ちることでナッツアドバンテージがOOP側に移動し、OOPのEVが向上する傾向はvsUTGのときと同様です。

大きな変化といえば「Aがリピートした場合にIPのEVが向上すること」ではないでしょうか。

いくらUTGはレンジ全体、BTNはメイドハンドとドローハンドのポラライズレンジでベットしているとはいえ、CbetレンジのうちUTGは約40%、BTNは約30%の確率でAを持っており、Aの比率はUTGのほうが高いのになぜでしょう。

これは、フロップのBBコールレンジのうちミドルペア(Kx)の比率がvsUTGでは14/87(16%)、vsBTN時では27/109(25%)とvsBTN時のほうがKxでコールしている比率が約1.5倍ほど高いことが原因であると考えられます。

つまり

UTGvsBB時にはレンジ全体でCbetしていたIPはターンでAがリピートした場合SDVのあるハンドを守るためにAを混ぜてチェックバックしていたが、

BTNvsBB時にはフロップでポラライズレンジでCbetしているため、ターンでAがリピートした場合には(そもそもフロップでSDVのあるポケットやウィークAはチェックで守っているため)ターンも続けてベットしやすくなった

ということが言えるのではないでしょうか。

実際に、ターンでAがリピートした場合UTGはかなり多くのAをチェックします(2ペア以外はAQの一部のみ)が、BTNはすべてのAにベットするフリークエンシーが存在します。

具体的には2ペア以外のAは40%程度の割合で33%potベット、5~20%程度150%potベット、残りをチェックしています。

またフロップの75%potベットにコールしてターンでラグが落ちた場合、vsUTG時にはEVはIP側のほうが大きかったですが、vsBTN時にはOOP側とほとんど同等になります。

3-4,ターン以降の展開(フロップでIPがチェックバックした場合)

3-1の後半でも述べている通りIP側はフロップCbet頻度が下がるということはAを含めたレンジでチェックレンジをバランスしています。

つまり60%はフロップチェックアラウンドでターンカードが開かれることになりますが、その場合の展開はどのようになるのでしょうか。

IPのチェックレンジにフラッシュドローの割合が若干低いため、クラブが落ちた場合はベットが入っている場合と同様にOOPがやや有利になります。

ではターンでクラブが落ちてOOPのフラッシュが完成した場合、どの程度の割合でベットするのがGTOなのでしょうか。

すべてのクラブで計算したわけではありませんがおよそ70%の割合で75%potベットをしています。

ブラフレンジには5xやJT、QJ、ミドルコネクター系のターンでついたガットショットが含まれているようです。ターンのリードベットのバリューレンジには2ペアも含まれているため、レンジ全体でいえば(ターンでクラブが落ちた場合は)40%ほどを75%と33%に分けてベットする戦略となります。

反対にクラブが落ちていない場合は、ここからフラッシュドローを抜いた分ガットショットなどのブラフレンジも減らし、レンジ全体の20%程度でリードベットしています。

IPについてはクラブが落ちても落ちなくても、フロップチェックチェック、ターンもOOPチェックで回った場合、レンジ全体をチェック60%、33%potベットを25%、75%ポットベットを15%程度にバランスして混合戦略を取ります。ただしクラブが落ちていない場合、チェックレンジに2ペアやセット、トリップスは残りません。ただしAがリピートした場合のAだけはターンもチェックバックレンジに残ります。

【4,まとめ】

Ac5cKdというフロップでは

・UTGvsBB時、UTGはレンジ全体で75%potCbetを打つ

・BTNvsBB時、BTNはポラライズレンジで75%potのCbetを打つ

・Cbetの頻度はUTGは88.4%と高頻度、BTNは40%と中頻度。

ターンは

・Aがリピートした場合、vsBTNよりもvsUTGのほうが有利。

・Aがリピートした場合、フロップでレンジがポラライズされているBTNは継続してベットしやすい。UTGはレンジ全体を守るためしずらい。

・クラブ(フラッシュ完成カード)はIPのフロップのアクションにかかわらずEVが下がる。

・ラグが落ちた場合 vsUTG時にはIP側が有利 vsBTN時にはお互いが拮抗する


以上でまとめを終わりたいと思います。

本当は厳密に言えばターンで6~9が落ちた場合と2~5が落ちた場合のEVがvsUTGとvsBTNでは大きな違いがあるのですが、今回は割愛してしまいました。いつかの機会にここについても分析できたらいいなぁと思っています。

また、前提でも少し触れていますが、プリフロップの想定はあくまで個人的な想定に過ぎません。最近プリフロップソリューションを購入しましたが、やはりGTOとは部分的に乖離がありました。今後はプリフロップソリューションや皆さんのご意見を取り入れながらより精度の高い計算ができるよう調整していきたいと思います。


非常に長文でしたが、ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

このブログに関する質問やご意見は

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までお願いいたします。どんな内容でも構いませんのでご意見いただけると幸いでございます。

【5,補足:プリフロップのレンジ詳細】

プリフロップのレンジは下記の通りに設定し計算をしました。

①UTG open VS BB call (Single raised pot)

【UTG open range】

AA-66,AKs-ATs,A5s-A2s,KQs-KTs,QJs-QTs,JTs,AKo-AJo

【BB call range vs UTG open】

TT-22,AJs-A6s,A4s-A2s,KJs-K9s,QJs-Q9s,JTs-J9s,T9s-T8s,98s-97s,87s-86s,76s-75s,65s-64s,54s-53s,AQo-ATo,KQo-KTo,QJo,[75.0]A5s,KQs[/75.0],[50.0]JJ,AKo[/50.0]


比較対象②BTN open VS BB call (Single raised pot)

【BTN open range】

AA-22,AKs-A2s,KQs-K2s,QJs-Q7s,JTs-J7s,T9s-T7s,98s-96s,87s-85s,76s-74s,65s-64s,54s,43s,AKo-A2o,KQo-K9o,QJo-Q9o,JTo-J9o,T9o

【BB call range vsBTN open】

44-22,A8s-A6s,K9s-K2s,Q9s-Q6s,J9s-J7s,T9s-T7s,98s-96s,86s-85s,75s-74s,64s,A9o,A5o,KTo,QJo-QTo,JTo,[90.0]ATo,KJo[/90.0],[85.0]55[/85.0],[75.0]66,A9s,A3s-A2s,KTs,JTs,87s,76s,65s,54s,AJo,KQo[/75.0],[55.0]77[/55.0],[50.0]A5s-A4s,QJs-QTs[/50.0],[45.0]88[/45.0],[28.0]99[/28.0],[25.0]AJs-ATs,KJs[/25.0],[15.0]KQs[/15.0],[10.0]TT,AQo[/10.0]


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