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続・OOPがCbetできないフロップ、どう守ればいいの?


今回の記事は前回投稿したブログの続編です。

前回のブログのリンクを貼っておきます。是非こちらも併せてご覧ください。

前回の記事内でもサブテーマとして書いていた通り、前回の記事はPreflop Solutionを使用した非常に広いプリフロップレンジが前提の話でした。

当然「フロップを開いた時のEVが低いのは3betレンジが広すぎるからではないか?」という疑問が生まれてきます。

現実的には3betをしているOOP側のレンジはもっと強いから全く違うレンジ構成をするべきなのではないか?


これは私自信も記事を書きながらも不安な点でした。


そこで今回はSnowieの”Preflop advice"という機能を使用しました。

(スマホアプリのPreflopAdvisor推奨レンジとは異なります。)

下の画像の赤い丸線で囲ってあるやつです。

プリフロップのレンジをSnowie推奨のレンジに修正し、再計算していきます。

では、早速比較をしていきましょう。

今回はこのような流れで書いていきます。


1,前提

2,IPのBMCBについて

3,OOPのvsBMCBレンジについて

4, ターンについて

5,まとめ

おまけ1:IPのBMCBレンジの内訳

おまけ2:IPがチェックバックしたターンについて


【1,前提】(プリフロップレンジの比較)

BB 3Bet Range(vsBTNopen):14.1%

BTNcallレンジ:15%


なお、前回使用したレンジは

BB 3Bet Range(vsBTNopen):14.6%

BTN call Range(vsBB3bet):16.8%

となっておりました。

正直今回の比較において、

これ自体が最も大きな驚きであったと言っても過言ではありません。

ご覧の通り、パーセンテージ自体は大きくは変わらないのです。

(厳密にはBBは0.5%、BTNは1.8%ほどsnowieのほうがタイトになっています。)

そもそも想定しているBTNのオーブンレンジが違うため、それぞれのコールや3betなど抵抗レンジが変わるのは必然です。

しかしBBが3betする頻度やBTNがBBの3betにコールする頻度に大きな違いはありませんでした。

レンジが広いと感じていたのは実際には

頻度が高かったのではなく、

ハンドセレクションに大きな違いがあったのです。


Snowieは圧倒的に強くリニアなレンジで3betをしています。

それに対し

Preflop SolutionはSnowieと比べコールレンジを強くする代わりに3betレンジにたくさんの弱いハンドが低頻度で含まれています。

またそれに対するBTNのコールレンジはどちらもほとんど変わりません。

つまり頻度は同じくらいで、コールレンジが強いか・3betレンジが強いかという違いがあるようです。


というわけで、早速3betレンジが強くなったSnowieバージョンでの分析をしていきましょう。

※以後便宜上、この記事内ではPreflopSolutionのレンジをGTOレンジ、SnowieのレンジをSnowieレンジと表記します。これは文章をコンパクトにするためであり他意はありません。


【2,IPのBMCBについて】

念の為、本章の主題であるIPのBMCBについてお話する前に前提としてフロップのOOPのCBレンジを確認しておきましょう。

Snowieレンジのほうがプリフロップレンジがより強くなっているため、

エクイティ:47.14%→59.22%(対比125.6%)

EV:6.35→8.69(対比136.9%)

と大幅に増加しているようです。

またチェックする頻度についても

Check:98.3%→70.3%

と変わらず高い傾向にはありますがCbetレンジも30%ほど発生するようです。

内訳としてはAKと44-77で150%pot,レンジ全体(すべてのハンド)の約20%頻度で33%potベットをしているようです。

AKだけ若干割合としては低くなりますが、すべてのハンドにチェックのフリークエンシーがあるようです。



ではIPのBMCBレンジを比較していきましょう。

GTOレンジに対してはIPはフロップで約50%の頻度でBMCBを打っていましたが、Snowieレンジに対しては31.8%とBMCBの頻度が大幅に低下しています。

また、ベットサイズについてはGTOレンジでの計算時には33%potが最も使用されていましたが、Snowieレンジに対しては75%potと大きいサイズが最も使用されるようになります。

(記事の後半におまけ①としてBMCBレンジの内訳をまとめたものを記載しています。興味のある方はそちらも御覧ください。)

Snowieレンジの場合はIPがBMCBを打つ頻度が下がったことにより、

フロップはチェックチェックで回るケースが最も頻出となります。

とは言え、今回は比較のためOOPのvsBMCBについて検証をしていきます。



【3,OOPのvsBMCBレンジについて】

OOPの3betレンジが強くなったことによりOOPのEVやエクイティは大幅に改善されたことがわかりました。

しかしながら

このフロップではアグレッサーであるOOPがチェックする頻度が高く、

かつIPのBMCBに対してはOOPのEVが低くなる

という構図自体は変わらないようです。

これは前回の記事でも記載した通り、

AAだけは3betをしているOOP側にのみあるが、

45・33・22・A3・A2といったトップレンジは3betにコールしているIP側に多いから(ナッツアドバンテージがIP側にある)

ということが大きな原因であると言えるのではないでしょうか。


では、IPがBMCBを打った場合のIPのディフェンスレンジを確認していきましょう。

IP 75%potbetの場合

IP 33%potbetの場合

75%potbetに対してはレンジ全体の53.5%(44.8%Call/8.67%Raise)を

33%potbetに対してはレンジ全体の74.3%(66.8%call/7.52%Raise)を

ディフェンスしているようです。

またEVやエクイティについては

75potbetに対するOOPのEVは3.35 EQは51.4%

75potbetに対するOOPのEVは4.19 EQは51.84%

とフロップを開いた時点から大幅に低下していることがわかります。

むしろこのケースに限ってはフロップで100%チェックしていた前回記事のケースよりも更にOOPのEVは低くなっています。

もちろんフロップでOOPがCbetしたり、OOPがチェックバックする頻度が上がっており、その部分についてのEVは大幅に改善されているため全体のEVは向上しています。

記事後半におまけ②としてチェックチェックで回ったターンについて記載しますので、興味のある方はそちらも合わせて御覧ください。


では前回記事からのメインテーマである、「OOPのディフェンス方法」を具体的に検証していきましょう。

上の画像の通りIPの75%potベットに対してOOPはAxのハートやクラブのバックドアがないものやポケットペアを一定のフリークエンシーでフォールドします。

Axはダイヤのバックドアやガットショットがあれば必ずコールしますが、AJ~A7はキッカーの強さに合わせて10~35%フォールドすることになります。

KK-のようなポケットペアはスペード(バックドアフラッシュドロー)があればコールしていますが、そうでばければフォールドしています。

ただし99以下の場合はエクイティ自体も低いため、スペードを持っていてもダイヤも持ってしまっている場合、相手のブラフレンジをブロックしてしまっている為フォールドしています。

※豆情報ですが、A7sとA5sを比較した場合、

A7s:EV0.51

A5s:EV6.65

とEVには大幅に差があります。これはガットショットのドローがあるかないかだけでなく、

67sのような相手のブラフレンジをブロックしているA7s

45sのような相手のバリューレンジをブロックしているA5s

の違いでもあるのではないでしょうか。

33%potベットに対してはAxと99+は全てコールします。66-88についてはスペードがあればコール、なければフォールドしています。

また、どちらのベットサイズに対してもフラッシュドローはほぼ100%コールで抵抗しています。レイズもフォールドもほとんどありません。

GTOレンジではフラッシュドローを25%程度チェックレイズしていましたが、それ以外の構図は同様のようです。

【4, ターンについて】

前回の記事では、

「OOPはチェックコールレンジをバランスすることでターンではほとんどのカードでEVが改善する」

という結論が出ました。

今回もフロップでBMCBをされた場合にOOPのEVが著しく下がることやチェックコールレンジをバランスしていることに変わりはありませんが、

前回同様ターンでOOPのEVは改善するのでしょうか?

早速見ていきましょう。


75%potbetにチェックコールした場合のOOPのEV

33%potbetにチェックコールした場合のOOPのEV

そもそもフロップでAKと一部のブラフレンジをCbetしているため、前回ほど大幅な改善にはなりませんでしたが、かなり大幅にOOP側のEVは改善したと言えそうです。

特に75%potベットに対してのEVのほうが、Axの一部やポケットペアをフォールドしているためか大きく改善されているようです。

【5,まとめ】

今回はGTOレンジとSnowieレンジで同じフロップを検証する、という形で分析を進めてきました。

その結果、

As2d3sというフロップにおいて

・OOPはAを多くチェックレンジに残す(GTOレンジの場合は全て、Snowieレンジの場合はAKとA3を中心に20%くらいベットして残りを全てチェックする)

かつIPのBMCBに対して、

・安ければAxの全てと99+のポケットペアと66+のバックドアをコールする

・高ければバックドアのないAxの一部とバックドアのないポケットペアをフォールドする

・いずれの場合もフラッシュドローはコールする(GTOレンジの場合は25%程度チェックレイズする)

というようにディフェンスするのがGTO解のようです。


またOOPは

・Snowieレンジの場合3betレンジが強いためEVが高い

・Snowieレンジの場合3betレンジが強いためCbetレンジが発生する

・どちらの場合もチェックの頻度が高く、かつBMCBに対してはEVが低い

・しかしどちらのレンジもチェックコールレンジをバランスすることでターン以降のEVを改善できる

ということが言え、

IPは

・Snowieレンジの場合BMCB頻度が低くなる

・Snowieレンジの場合33%の頻度かつBMCBサイズは2:1の割合で75%と33%を打つ

・GTOレンジの場合46%の頻度かつBMCBサイズは全て33%で打つ


ということがわかりました。


毎度私の文章力や理解力の問題で冗長な文章となってしまっておりますが、ここまでお読み頂きありがとうございました。

今回はテーマに合わせてvsBMCBに主軸をおいて検証を進めてきましたのが、snowieレンジの場合にもっとも頻出となるチェックチェックで回るターンについても下記におまけとして記載しています。

是非興味のある方はもう少し続いてしまいますがお読みいただければと思います。

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【おまけ1:IPのBMCBレンジの内訳】

IPのBMCBレンジについてです。

33%potベットのレンジと75%potベットのレンジの違いについてですが、

22,33のセットとA3sのトップ2ペアは75%potベットを100%の頻度でしており、下記のハンドを5割チェック、4割75%potbet、1割33%potbetくらいの頻度にする傾向にあります。

バリューレンジ:AQs,AQo,

ブラフレンジ:57s,56sの全て、67s/86s,87sのスペードorダイヤ、KQss,KQoのスペード持ち

また、それ以外のハンドについてはすべて8割チェック・1割33%pot・1割75%potといったバランスです。


【おまけ2:ターンについて】

フロップでIPにチェックバックされた時のターンカード別のOOPのEV・EQとCheckの頻度を掲載します。

Check頻度は低ければ低いほど裏返しでベットの頻度が高いということになります

(左からEV→EQ→チェック頻度の順で並べてあります。)

基本的にはEQとEVはほぼ正比例・この2つとCheckの頻度は反比例する傾向にあるようです。

「自分に有利なカードが落ちればベットするし、不利なカードが落ちればチェックする」

シンプルにこういうことだと思いますので、当然といえば当然ですね。

ざっくりとまとめると下記のようなことが言えると思います。

①Aがリピートした場合は66-88を除くほぼ全てのレンジで33%potベット(Aがダイヤでダブルフラドロボードの場合は75%potも混ぜる)

②反対にフラッシュ完成目であるスペードが落ちた場合は再びほとんど全てのレンジをチェックで守る

③それ以外については「T~Kが落ちた場合」>「2or3がリピートした場合」>「6~9が落ちた場合」の順でベット頻度が高くなる(後述)

という傾向があるようです。

②について今回のようなフロップのAともう1枚を使ったフラッシュドローの場合、3betをしている側はフラッシュドローのコンボが非常に少なくなります。そのため、基本的にターン以降フラッシュ完成柄が落ちた場合は3betコール側が有利になると考えられます。

③についてはもう少し踏み込んで言えば、KやQのような高頻度でベットできるターンカードが落ちた場合についても全てベットするのではなくセットやトップペア・ミドルペアなども3割くらいはチェックしてバランスしています。あくまでIP有利なフロップであるため、チェックレンジが弱くなりすぎないようバランスを意識することが重要ということかもしれません。


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