家庭で始めるKPT

こんにちは、田畑(@nerd0geek1)です。

ここ最近、ブログで「家事をエンジニアリングで省力化した話」を書いたり、子育てエンジニアが集う勉強会で『家庭をプロジェクトと捉えなおして運営した話』というタイトルで登壇したりしているのですが、こういった「家庭」+「別の領域の知識」といった内容にそれなりに需要がありそうで、自分も個人的にこういった内容を考えることが好きなので、日頃考えていることを共有していこうと思います。

今回は、
・家庭の運営に関する自分の考え
・家庭運営にエンジニアリングの技法を取り入れるべき理由
・家庭で始める改善活動と振り返り(KPT)
について書きたいと思います。

家庭の運営はどうあるべきか

個人的には、夫婦間で反対意見がないのであれば、徹底的に合理化・自動化・省力化してしまっていいのではないかと考えています。
今週、とある歌が炎上していましたが、家事をする上で大事なことは、我慢することでも頑張ることでもなく、家族が不自由なく過ごせるよう結果を出すことなので、
今より少ない労力・時間で、一定水準以上のアウトプットが担保できるのであれば、どんどんやるべきかと。
「情緒がない」「普通じゃない」といった考えもあると思いますが、そもそも普通といったものが、過去のある時点において最適だった行動様式が慣習化しただけという可能性が高いので、今の環境に合っていないのであれば、それに縛られる必要はないかなと考えています。
他にも色々反論ありそうですが、まあ、やりたい人だけやればいいのではないかと。

家庭でエンジニアリングの技法を取り入れるべき理由

家庭運営を徹底的に効率化・合理化すべきという立場に立った場合、なぜエンジニアリングの技法を取り入れたほうが良いのでしょうか?
少なくとも2つの理由があると考えています。

家庭より仕事のほうが競争原理が働きやすい
家庭は、人格的な結びつきによって成立するため、各個人が提供する機能(ex:家事)によって乗り換えが発生することは発生しないと思います。
「隣の奥さんのほうが家事や料理が上手いから、今の奥さんと別れて隣の奥さんと結婚しよう」とは誰も思いませんよね?
一方、企業は機能とコストによる乗り換えは一般的です。
「今はA社と取引してるけどB社のほうが同じ品質で安いので、B社に切り替える」というのはどこにでもある話です。
つまり、機能とコストで比較されうる企業のほうが競争に晒されやすく、効率化のインセンティブが働きやすいため、家庭より企業のほうが効率化のノウハウが蓄積されやすい状況にあります。
したがって、家庭で楽をするために企業内で使っている効率化のノウハウを流用することは、効率化を進める観点からは正しいと言えるでしょう。

エンジニアリングの技法は、ソフトウェア開発以外にも使える場合が多い
エンジニアリング・プロジェクトマネジメントの技法は、ソフトウェア開発以外にも使えるものがほとんどです。
例えば、要件定義は「クライアントの要望、前提条件を明らかにし、何をすべきか明文化する作業」と定義できますが、これは「ある主体の要望を整理し、するべきことを明文化する作業」と言い換えることができ、その際に使う技術は「要望の整理、タスクを洗い出すための方法論」ということができます。
このように考えると、要件定義の技術を用いて「ある主体(=妻)の(家事に関する)要望を整理し、するべきこと(家事の自動化・省力化)を明文化する作業」を自宅でも行うことができるのではないでしょうか。

家庭で始める改善活動と振り返り

では、実際に家庭においてどのようなエンジニアリングの技法を取り入れることができるのでしょうか。
今回は、エンジニアリング・チームビルディングの技術のうち、家庭でも簡単に始められるKPTを紹介したいと思います。

KPTって何?
KPTとは、エンジニアリングの現場でよく使われている振り返り・改善のための手法です。
KPTは、Keep/Problem/Tryの頭文字をとったもので、
Keep : やっていて良かったこと、今後も続けていきたいこと
Problem : 問題だなと感じていること
Try : Problemを解決するために挑戦したいこと
の3つを意味し、これらを定期的に洗い出すことで、
現状、何が良い感じに回ってて(=Keep)、
何が問題で(= Problem)、
それを解決するためには何をすべきか(=Try)
という振り返りと改善活動ができるようになります。

我が家では、気付いた時にiPhoneのメモ帳に書いておき、それを月に1回の振り返りで共有するという流れにしています。
以下は、我が家の実際のKPTの履歴です。

家庭でKPTをすべき理由
では、なぜ家庭でKPTをしたほうがいいのでしょうか?
家庭でKPTをすることで以下のようなメリットがあると考えています。
・家事が楽になる
・家庭での喧嘩が減る
・お互いの理想を言語化してすり合わせができる
継続的な改善を行うので家事が楽になるのは当然ですが、それ以外について1つずつ見ていきましょう。

家庭での喧嘩が減る
KPTを家庭に導入すると、何かイライラすることやモヤッとすることがあった場合に
→すぐに相手に言う
ではなく
→Problemとしてメモ帳にメモしておく
→月に1回のMTGで取り上げる
という手順を踏むので、イライラしたタイミングから話し合いまでの間に時間が空きやすく、頭に血が登った状態で話を始め喧嘩になる、ということを避けることができます。
またKPTを導入すると「あなたが...というタスクをやっていない」という人vs人の見方から「...というタスクが行われないことが常態化しているが、これをどう解決すべきか」といった人vs問題の見方になるので、その点でも喧嘩を減らすことができます。

お互いの理想を言語化してすり合わせができる
イライラする、モヤッとすることがある、ということは現実が自分の理想に沿っていない時に発生します。
その自分のイライラ、モヤモヤをKPTに書くためには、自分と理想と現実の乖離を自分の中で言語化し、他人に説明可能な形にする必要があります。
KPTを導入することで、お互いが抱える理想を言語化し、すり合わせしやすい形にすることができるので、こういった点でもKPTを導入するメリットはあるでしょう。

今回は、KPTを利用した夫婦生活の合理化について紹介させていただきました。
家族の幸福度を向上させるためにこのような活動を取り入れてみてはいかがでしょうか。


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