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【読書メモ】ミライのつくり方2020-2045

こんにちは、田畑(@nerd0geek1)です。

先月からOculus Goアプリを大量に買って記事書いたり、Unityで自分のOculus Goアプリを作ったりとOculus Go漬けの日々を送っていますが、そんな中、OculusエヴァンジェリストのGOROmanさんの新著が出てかなりの人気だったので、Amazonで入荷待ちして買ってみました。

各章の感想書いていきますが、第4章、第5章の「未来予想 with VR」が示唆に富んでいて特に面白かったです。

第1章 こうして僕はGOROmanになった

生まれてから大学生までの話。

何をしてもいい部屋でテレビやいろんなものを分解して遊んだ話、マイコンにBASIC打ち込んで遊んだ話、パソコン通信の話、シェアウェア開発した話などなど。

テレビを分解する話は、小さい頃に好奇心のままに物の仕組みを探求できてうらやましい限りですし、マイコンにBASIC打ち込む話は、仕組みが未成熟な頃に色々試行錯誤できた話としてホント羨ましかったです。(うちの実家にPCが初めて来たのはWindow 95だったので)。

シェアウェア開発のくだりは、お金のない小学生の頃にgooダウンロードからフリーウェアのゲーム(ファーレントゥーガとかプリンキピアとか)をダウンロードして遊んでいた自分としては懐かしい話でした。

第2章 日本にVRを!

大学を辞めてゲームエンジニアになり、Oculusに出会って惚れ込んで、エヴァンジェリストになるまでの話。

ゲームエンジニアをある程度経験→デスマ化→なんでこんなに苦しいんだ!→プロジェクトマネジメントの本を読み漁る、の流れはめっちゃ共感できました(自分の場合は設計の本でしたが)。

あと、すごい技術を伝える方法という章で「アメリカの研究者がWiiリモコンをハックしてポジショントラッキングを作ったけど中身がシンプルすぎてあまり話題にならず、表示される内容を初音ミクにして体裁を整えてコンテンツ化してニコニコにアップロードしたところ、それなりにバズった」という話は色々考えさせられました。

受け手が発信された内容を補完して理解する素養がある場合は、アメリカの研究者がアップしたような概念実証レベルの発信でも問題ないですが、そうでない場合、それぞれのバックグラウンドやコンテキストに依存せずに伝えたいことを伝え、人を巻き込んでいくためにコンテンツ化することは必須なんだなーと。

Oculusに出会ってから惚れ込んでエヴァンジェリストになるまでの流れは、興奮が伝わってくるようでめっちゃ楽しかったですし、Oculus Japanの井口さんやModern Archery VRをリリースしてる桜花一門さんは初期の初期、この頃から動いてる方々ということも知れて楽しかったです。

第3章 すべてを支配する「キモズム」理論

GOROmanさんが独自に提唱する「キモズム」の話。

キモズム = キャズムのもじりで、キャズム超えのためには、多くの人に「キモい」と感じられなくなること、「キモい...」よりも「便利!」や「かわいい!」の感情が勝るようになることが必要という話でした。

第4章 VRで生活はこう変わる

第4章、第5章ではQ&A形式で生活や社会がどう変化していくかについて。
気になったQ&Aを見ていきます。

Q. VRが一般的になる流れは?
A. まずはVRよりARが伸びる。VRはその後。
これはその通りだなと思ってます。以前よりティム・クックは「ARは社会に大きな影響を与える」と述べてますし、

今回のWWDCでも複数ユーザーの利用を可能としたARKit 2が発表されています。

また、一部のiPhoneでしか動かせないとはいえ3億8000万台の端末で動かせます

こういった状況を見ると、ARは先行するだろうなと。

Q. OSがVR対応すると、どんな変化が?
A. 「ペーパーパラダイム」の時代が終わり、「空間パラダイム」の時代に。
ペーパーパラダイム = 紙ベース、ディスプレイなどの平面ベースのパラダイム
空間パラダイム = VR空間のように空間全てを使えるパラダイム
という意味だそうです。

仕事で図を描きながら設計を考えるような時があるんですが、そういうタイミングだと、5億年ボタンやPAINT VRのように、無限のホワイトボードを使いたいタイミングがあるので、けっこう同意できます。

あとは、いつも15inchのMacbook Proと27inchの4Kディスプレイで作業してますが、それがVR空間上で制約なく展開できるのであれば、どこでもデュアルディスプレイで作業できて便利だなーとか。

Q. 仕事以外にはどんな影響が?
A. レジャーやエンタメ、特に「劇場」のありかたが大きく変わる
ここで語られている「VR席」というアイディアがかなり衝撃的でした笑
コンサートやライブの会場にいくつかVR席を用意しておき、ユーザーの課金額に応じて良い席に移動していく、というアイディアです。
収益構造が大きく変わりうる、かなり面白いアイディアだと思います。
昔、『FREE』という本で、ユーザーに提供する価値の形が「CD」という物から「ライブ」という体験に移行した、という話がありましたが、VR席は更にその先を行き、席数などの制約が取り払われた状態ですね。

ここに書いた以外にも、「バーチャルYoutuberがモーションキャプチャーを使って操作されるがゆえにCGと比較して動きが圧倒的に生々しい」など、色々と興味深い話が多かったです。

第5章 VRは社会をこう変える

第4章が個々人の体験がどう変わるか、という話であったとするなら第5章は社会がどう変わるか、という話。

全体的な方向性としては以下の3つかなと思います。
・人々はより移動しなくなり、現実世界よりVR空間上にお金を使うようになる
・VR空間のパーソナライズが進み、ユーザーに応じて動的にコンテンツが変化
 するようになる。キャラクターさえ動的に変更される。
・広告はVR空間内のプロダクトプレイスメントで行われる。

コンテンツの動的変更は、どの程度まで行けるんだろうか(キャラであったり、物の形状が異なる場合にどの程度、違和感なく差し替えられるのか)という疑問はありますが、今のメディアや広告で行われてるレコメンデーションが普通に進歩すればそうなるよね、という感想です。

最後のほうのVR空間上の国家の話は、今の自分の知識の先を行き過ぎてたので、あんまりしっくり来ませんでしたが。。。

全体的に面白かったです。

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