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neri|シェフ 田中庭園インタビュー

こんにちは! neriです。前回アップした第1回のnoteは、想像以上の数の方にお読みいただきました。ありがとうございます!

さて、第2回と第3回は、neriのふたりによる相互インタビューを前後編でお届けします。わたしたちが、これまで食とどう向き合ってきたのか? neriを通してどんな体験を提供したいのか? それぞれの食への思いが滲み出るものとなっています。

前編となる今回は、シェフ田中庭園のインタビューです!

アイコン(田中)_グラデ_20200301

ーー今回のポップアップレストランが、はじめてお客さまに料理を出す機会になりますね

そうなんです。これまでは「正餐」という食事会で友人たちに料理をふるまっていましたが、今回は初対面の方が多くなります。その意味で、これまでとは違い外向きの場になりますので、緊張しています。一方で、1回につき6名のご案内なので、お客さまに丁寧に料理の説明をしたり、お話したりできそうなのは嬉しいです。初めてのチャレンジとして、ちょうどいい規模でのスタートになりそうだなと思っています。

ーー昔から料理をふるまっていたと聞いています。それは「正餐」よりも前からですか?

大学時代にも、友達を家によんで、何が食べたい? 最近体調どう? と聞きながら、色々な料理を作っていました。自分で食べるためというよりは、ひとのために料理をするのがすきでした。徹夜で仕上げた課題を提出した友人が、その足でわたしの家に来て、おかゆを食べて帰ったり。あのころから、料理のことを甘やかしだと思っています。

ーー甘やかし? というと?

あなたのことを考えているよ、あなたはここにいて大丈夫だよ、というのが伝わるといいなと思って。小さな喫茶店で注文すると、調理の音が聞こえてくるじゃないですか。今はあなたのための時間です、というのを感受するあの嬉しさ、いいよなあって。わたしのためにやってくれてる! というのを欲してるひとは多いんじゃないかと思うんですけど、なかなか受け取れる場がないので、それを渡せる人になれたらいいなあと。そういう意味での甘やかしです。

ーー食べるひとそれぞれのための料理をふるまうことが、甘やかしになっているんですね。では、それを「コース」というかたちでやるようになったのはいつからですか?

コースとして組み立てるようになったのは「正餐」を始めてからです。それまでは、定食のようなものだったり、家飲みのつまみになるような料理を数種類用意するということが多かったかな。あるとき、3人で新宿のどん底で飲んでいたらHarukaがテーマに沿った料理を作ってほしいと言いだして。あの時はたしかテーマが ”Black and Clean” で、大葉とピスタチオで蕎麦をジェノベーゼ仕立てにしたりしました。それが「正餐」の最初で、2016年だから、もう4年も前なんですね。Harukaともうひとりのメンバーは、料理から、味はもちろん、表象をも読み取るたのしみを知っている。そのどちらも喜ばせたいという気持ちで料理を考えていました。

ーーでは、今回のポップアップレストランの内容について教えてください。テーマにスモーブロを選んだのはなぜですか?

サンドイッチやオープンサンド、タコスなど、土台+具として食べる料理は色々あります。ただスモーブロに関しては、その中でもちょっと違うんじゃないかと思っていて。サンドイッチは、気軽に手で掴んで食べられるフィンガーフードですよね。スモーブロは、パンの上に具がのってはいますが、ナイフとフォークを使って食べます。スナックというより、ワンプレート料理に近いかな。今回のポップアップレストランで出すコースは、スープ、スモーブロ3種、デザートという構成になる予定なのですが、この流れの中で、スモーブロの料理性を柔軟にとらえてみたいと思っています。

ーースモーブロはデンマークの郷土料理。土台となるパンのスタンダードは黒パンですが、試作では黒パン以外も色々と試していますよね

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「パンの上に具材をのせる」というフォーマットは守りつつ、その先にできることを探しています。黒パンをブリオッシュや食パンに変えたらどうかとか、ライ麦の配合率を50%、65%にしてみたらどうなるかなど、色々なバリエーションを検討するのと同時に、パン自体の厚みを変えたり、トーストしたり、お出汁をふくませてみたり、テクスチャーも含めて試作を重ねているところです。

北欧ではやらないようなアプローチになっている、という意味では、今回のスモーブロは、寿司に対するカリフォリルニアロールのポジションかもしれません。カリフォルニアロールは、伝統的な寿司の捉え方ではきっと生まれなかったと思うんです。でも、もともとのフォーマットを軸にしながら自由な発想を盛り込むことで、本来もっていた文化圏の外にまで届くものになるんじゃないかと思っています。

ーースモーブロはまだまだ日本では馴染みが薄い上、今回のアプローチは、オーソドックスな北欧のスタイルとも異なっている。その意味では、世界中でここでしか食べられないスモーブロになりそうですね。

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ーー今回のポップアップレストランでは、テイクアウト用のおべんとうも用意することになっています。どのようなものになるか教えてください

コースで出すスモーブロのうち、2つをおべんとう用にアレンジする予定です。ランチボックスの中に、具とパンを分けて入れて、すきなように盛り付けてもらおうかなと。一応、完成図がわかる紙もお入れしますが、ご自分で組み立てていく楽しみも味わっていただきたいんです。たねやの最中は、食べる直前にあんこを皮ではさみますよね。あのようなイメージです。具とパンを分けておいたほうが水っぽくなるのを防げるというメリットもありますしね。
また、おべんとうにあわせて、オリジナルのカクテルとモクテルもご用意します。

ーーコースの料理もおべんとうも、まだ試作の途中ですが、予約をいただけていますね

友人だけでなく、ネット経由で、これまで一度もお話ししたことのない方からもご予約をいただきました。すでにコースの方は満席で、キャンセル待ちを受け付けています。友人以外からの評価を受けるのは初めてですので、たのしみでもあり、怖くもあります。

これまでやってきた「正餐」では、参加者のあいだで最初からテーマが共有されていました。わたしはテーマへの回答として料理を出すので、ストーリーを説明しながら食べてもらうことができ、表現したいことが伝わりやすかったんです。でも今回は「スモーブロ」という料理名しか事前にお伝えしていません。わたしの中では、春の祝祭感をちりばめることをテーマにメニューを練っていますが、まっさらな状態で召し上がった方はどんなふうに受け取るんだろう。今回のコースやおべんとうを食べて何を感じたか、ぜひ聞かせてほしいです。

ーーそうですね。特に初回となる今回は、やってみて初めてわかることばかりだと思うので、ぜひフィードバックをいただけたら嬉しいです。色んなチャレンジを重ねていくなかで、自分たちの輪郭をはっきりさせ、次のステージへ向かっていきたいですね。(次回につづく)

neri ポップアップレストラン wave 1
- 開催日:2020.4.5 (Sun)
- 場所:awai(吉祥寺駅 徒歩10分)
- コース
スープ、スモーブロ3種、デザート/ 4,500 (exc. tax)
ペアリング(アルコール or ノンアルコール 3杯)/2,500(exc. tax)
11:00/ 13:30/ 18:00 の3回、入替制
- テイクアウト(数量限定)
スモーブロ2種のおべんとう/1,000(exc. tax)
ドリンク各種 /~700(exc. tax)
11:30~18:00のうち、ご予約時間に合わせてお渡し
- ご予約方法
4/3(Fri)までに、neriの2人へのご連絡、またはこちらのメールアドレス(neri.restaurans@gmail.com)までお願いします。

*大変ありがたいことに、コースにつきましては仮予約で満席となっております。キャンセル待ちの受付もさせていただきますので、ご希望の方はご連絡をいただけますと幸いです。
*今回キャンセル待ちをいただきながら、お席がご用意できなかった場合には、次回開催時に先行予約のご案内をさせていただきます。

-お支払い
代金は、ご予約確定時に事前決済(PayPay使用)とさせていただきます。

-キャンセルポリシー
4/1(Wed), 4/2(Thu)のキャンセル 50%
4/3(Fri), 4/4(Sat)のキャンセル 70%
4/5(Sun, 当日)のキャンセル 100%

-コロナウィルスの対応について
上記いずれの日程でも、発熱・風邪症状が見られる場合のキャンセルには全額返金の対応をいたします。無理をせず、ご連絡くださいませ。
また、昨今の状況を鑑み、ポップアップレストランの開催自体が中止となる可能性がございます。その場合にも、全額返金とさせていただきます。

text/ Haruka, 田中庭園 illustration, logo/ 田中庭園


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