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気まぐれポエマー

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誰に向けるわけでもない、内省的な気まぐれポエム
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人心事故

人心事故

#人身事故 #ポエム  
駅のアナウンスが
電車が止まったことを伝える

属性も伝えられず
淡々と処理される
青いビニールの聖骸布

人々は電話やメール越しに
遅延を伝えながら
証明の紙切れをもらっていく

死にたかったのか
本当は生きたかったのか

そこに想いを馳せることなく
日々の生活リズムが
狂わされた事象を呪う

それは群衆の人心に
もう一つの大きな事故をもたらした

終着駅

終着駅

#詩 #ポエム

進むことを拒絶する鉄色の平行線
頼るはずなかったのに
スマホを握りしめる右手

およそ似つかわしくない
カラフルなコンビニで
行くあてのない恵方巻きが
束になってこちらに存在を訴えかける

そんなことを望んだんじゃない
歯抜けのバスの時刻表の前で
垂れ下がったリュックがそう囁いた

一瞬目を閉じると
さっきの箱の住人の白いビニール袋が
巣穴から顔を出して
僕の郷愁に一本だけ割

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節分

節分

#ポエム #詩
澄んだ空気を求め
枯れ木たちが青空に根を張る

冬の太陽は
背中をじんわりと暖める

煙草に火をつけようとして
ベンチに置いたカバンの中に戻す

だって枯れ木に失礼じゃないか

優しい雨

優しい雨

静かな雨滴のささやきの中で

改札を抜けるとあちこちで咲きはじめる
色とりどりの花たちの開く音
タイヤを伝って漆黒の道路にしみこんでいく
バスやバイクたちのうなり声
その向こう側でしっとりと規則的に響く
少しだけ早足の赤いハイヒール

さっきまでもっと強い雨脚だったのだろう
黄色いポンチョのかわいらしい摩擦音は
みずたまりをジグザグに侵略していき
水しぶきの高鳴りは大人たちを童心へ誘う

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卒業

卒業

#ポエム #詩 #卒業

春を告げる白木蓮の花が
皆を祝福するかのように
真っ白な花弁を天に向ける

永遠に続くのかと思っていた
友との何気ない日常

気がつけば別々の道へ
まだ知らない未来を互いに想像して
ちょっとだけ淋しくなる

この駅でいったんお別れだね
次会うときはどんな顔してるかな
その日までどうか元気で

補助輪

補助輪

#ポエム #詩 #育児

上手になったなぁ
感慨深くふたつの背中を見つめる

ふと先週の練習風景に想いを馳せる
肩肘の張ったふたつの操り人形たちは
重たい鉄のヘルメットを被っているがごとく
右へ左へせわしなくハンドルを揺らす

ところがどうだろう
今はふたり並んで笑顔で風を切っている
君たちの補助輪は
もはや取り返す必要のない忘れ物だ

父は応援するぞ
いつか人生の補助輪を自らの手で外

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靴べら

靴べら

#ポエム #詩

いつも同じ場所で待っている
いつ逢えるのかもはっきりとわからない

不意に身が軽くなるのを感じる
あの人の身体
綺麗に磨かれた真っ黒な革靴
その狭間にわたしはそっと身を割りこませる

ほんの一瞬かもしれないけど
一枚の布越しに伝わるあなたのぬくもりと
窮屈さゆえに全身を貫く安堵感

そして満足げに思い切り深呼吸をするの
「でもやっぱクサっ!」

朝

#詩 #ポエム #朝

建ち並ぶ公団住宅の上半分が
赤みがかった金色に照らし出されている
一羽のカラスが裏側の冷たい影に溶け込み
何らかの自己主張を一帯に反響させている

青いポリバケツに止まるその使者に
道行く女性がふと冷たい一瞥を投げている
バケツの中は彼が求める何かが存在するのか
それとも空虚で満ちているだけなのか

答えも出ないまま駅へ向かう流れに交わる
一点に収束する各人のひとときの

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本能

本能

#ポエム #詩

花は静謐さを周囲にたずさえたまま
微かなまどろみを見せた

蜂は放たれる甘美な芳香に怯んだ
私は迎えられている?
それとも捉えられる運命にある?

ひとすじの風によりわずかにずらされるふたつの重心
煌めきをまといながら舞う金色の微粒子
白日の下に展開する宇宙

その刹那
DNAの塩基配列が記憶する
抗えない高揚が彼の脳幹に何かを囁いた

そもそも一介の虫に

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公衆電話

公衆電話

今日も誰からも話しかけられなかった
若い頃は活気に満ちた生活を送っていたものだ

かつてはいろんな人から必要とされていた
たくさんの人をつなげて助けた

仲間はずいぶんリタイアしてしまい
今は道行く人を静かに眺めている

それでも必要とする人がいる限りは
ここで見守っていこう
スタンバイし続けよう

そしてとびっきりの仕事をした日は
自分で自分をほめるんだ

至福の螺旋

至福の螺旋

#ポエム #詩

固まってゆく思考
こびりついた先入観

回す回す
甘い香りとともにミルが砕く

迫り来るストレス
ちっぽけなこだわり

回る回る
ドリッパーに注がれ消えてゆく

そして透きとおった琥珀色が
僕に清明と平穏をもたらす

リセットの夢

リセットの夢

#ポエム #詩

みんななで肩になった

全ての服がナイロンになった

あらゆる荷物が床にすべり落ちた

全員新しく生まれ変わった

無意識

無意識

#ポエム #詩

何気ないことで笑った
その人が傷ついた

何気ないことで傷ついた
あの人が笑ってた

楽しいことで笑った
みんなも笑ってる

悲しいことで傷ついた
みんながいたわってくれた

真夜中の回廊

真夜中の回廊

#ポエム #詩

漆黒の帰り道
自身の顔を照らし出す3インチの液晶画面

スマートフォンの向こう側にいるあの人は何をしてるんだろう
心が繋がっているのか、幾ばくの対価がもたらす互恵関係のふたりなのか

誰がその関係を決める
彼女かもしれない
でも最後は自らの知覚が認識するのだ

だから同じ時間を共有するひと時、心から存在を愛するんだ
心にしっかりと寄り添いたいんだ
満月はそれが人生だよと微笑ん

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