AI羅生門

※「AIのべりすと」を使用させて頂きました。
※本文中の太字部分がAIが作成した箇所です。

1:羅生門を全文打ち込み、AIに続きを書かせる。

 ある日の暮方の事である。一人の下人が、羅生門の下で雨やみを待っていた。
 広い門の下には、この男のほかに誰もいない。ただ、所々丹塗の剥げた、大きな円柱に、蟋蟀が一匹とまっている。羅生門が、朱雀大路にある以上は、この男のほかにも、雨やみをする市女笠や揉烏帽子が、もう二三人はありそうなものである。それが、この男のほかには誰もいない。
 何故かと云うと、この二三年、京都には、地震とか辻風とか火事とか饑饉とか云う災がつづいて起った。そこで洛中のさびれ方は一通りではない。旧記によると、仏像や仏具を打砕いて、その丹がついたり、金銀の箔がついたりした木を、路ばたにつみ重ねて、薪の料に売っていたと云う事である。洛中がその始末であるから、羅生門の修理などは、元より誰も捨てて顧る者がなかった。するとその荒れ果てたのをよい事にして、狐狸が棲む。盗人が棲む。とうとうしまいには、引取り手のない死人を、この門へ持って来て、棄てて行くと云う習慣さえ出来た。そこで、日の目が見えなくなると、誰でも気味を悪るがって、この門の近所へは足ぶみをしない事になってしまったのである。
 その代りまた鴉がどこからか、たくさん集って来た。昼間見ると、その鴉が何羽となく輪を描いて、高い鴟尾のまわりを啼きながら、飛びまわっている。ことに門の上の空が、夕焼けであかくなる時には、それが胡麻をまいたようにはっきり見えた。鴉は、勿論、門の上にある死人の肉を、啄みに来るのである。――もっとも今日は、刻限が遅いせいか、一羽も見えない。ただ、所々、崩れかかった、そうしてその崩れ目に長い草のはえた石段の上に、鴉の糞が、点々と白くこびりついているのが見える。下人は七段ある石段の一番上の段に、洗いざらした紺の襖の尻を据えて、右の頬に出来た、大きな面皰を気にしながら、ぼんやり、雨のふるのを眺めていた。
 作者はさっき、「下人が雨やみを待っていた」と書いた。しかし、下人は雨がやんでも、格別どうしようと云う当てはない。ふだんなら、勿論、主人の家へ帰る可き筈である。所がその主人からは、四五日前に暇を出された。前にも書いたように、当時京都の町は一通りならず衰微していた。今この下人が、永年、使われていた主人から、暇を出されたのも、実はこの衰微の小さな余波にほかならない。だから「下人が雨やみを待っていた」と云うよりも「雨にふりこめられた下人が、行き所がなくて、途方にくれていた」と云う方が、適当である。その上、今日の空模様も少からず、この平安朝の下人の Sentimentalisme に影響した。申の刻下りからふり出した雨は、いまだに上るけしきがない。そこで、下人は、何をおいても差当り明日の暮しをどうにかしようとして――云わばどうにもならない事を、どうにかしようとして、とりとめもない考えをたどりながら、さっきから朱雀大路にふる雨の音を、聞くともなく聞いていたのである。
 雨は、羅生門をつつんで、遠くから、ざあっと云う音をあつめて来る。夕闇は次第に空を低くして、見上げると、門の屋根が、斜につき出した甍の先に、重たくうす暗い雲を支えている。
 どうにもならない事を、どうにかするためには、手段を選んでいる遑はない。選んでいれば、築土の下か、道ばたの土の上で、饑死をするばかりである。そうして、この門の上へ持って来て、犬のように棄てられてしまうばかりである。選ばないとすれば――下人の考えは、何度も同じ道を低徊した揚句に、やっとこの局所へ逢着した。しかしこの「すれば」は、いつまでたっても、結局「すれば」であった。下人は、手段を選ばないという事を肯定しながらも、この「すれば」のかたをつけるために、当然、その後に来る可き「盗人になるよりほかに仕方がない」と云う事を、積極的に肯定するだけの、勇気が出ずにいたのである。
 下人は、大きな嚔をして、それから、大儀そうに立上った。夕冷えのする京都は、もう火桶が欲しいほどの寒さである。風は門の柱と柱との間を、夕闇と共に遠慮なく、吹きぬける。丹塗の柱にとまっていた蟋蟀も、もうどこかへ行ってしまった。
 下人は、頸をちぢめながら、山吹の汗袗に重ねた、紺の襖の肩を高くして門のまわりを見まわした。雨風の患のない、人目にかかる惧のない、一晩楽にねられそうな所があれば、そこでともかくも、夜を明かそうと思ったからである。すると、幸い門の上の楼へ上る、幅の広い、これも丹を塗った梯子が眼についた。上なら、人がいたにしても、どうせ死人ばかりである。下人はそこで、腰にさげた聖柄の太刀が鞘走らないように気をつけながら、藁草履をはいた足を、その梯子の一番下の段へふみかけた。
 それから、何分かの後である。羅生門の楼の上へ出る、幅の広い梯子の中段に、一人の男が、猫のように身をちぢめて、息を殺しながら、上の容子を窺っていた。楼の上からさす火の光が、かすかに、その男の右の頬をぬらしている。短い鬚の中に、赤く膿を持った面皰のある頬である。下人は、始めから、この上にいる者は、死人ばかりだと高を括っていた。それが、梯子を二三段上って見ると、上では誰か火をとぼして、しかもその火をそこここと動かしているらしい。これは、その濁った、黄いろい光が、隅々に蜘蛛の巣をかけた天井裏に、揺れながら映ったので、すぐにそれと知れたのである。この雨の夜に、この羅生門の上で、火をともしているからは、どうせただの者ではない。
 下人は、守宮のように足音をぬすんで、やっと急な梯子を、一番上の段まで這うようにして上りつめた。そうして体を出来るだけ、平にしながら、頸を出来るだけ、前へ出して、恐る恐る、楼の内を覗いて見た。
 見ると、楼の内には、噂に聞いた通り、幾つかの死骸が、無造作に棄ててあるが、火の光の及ぶ範囲が、思ったより狭いので、数は幾つともわからない。ただ、おぼろげながら、知れるのは、その中に裸の死骸と、着物を着た死骸とがあるという事である。勿論、中には女も男もまじっているらしい。そうして、その死骸は皆、それが、かつて、生きていた人間だと云う事実さえ疑われるほど、土を捏ねて造った人形のように、口を開いたり手を延ばしたりして、ごろごろ床の上にころがっていた。しかも、肩とか胸とかの高くなっている部分に、ぼんやりした火の光をうけて、低くなっている部分の影を一層暗くしながら、永久に唖の如く黙っていた。
 下人は、それらの死骸の腐爛した臭気に思わず、鼻を掩った。しかし、その手は、次の瞬間には、もう鼻を掩う事を忘れていた。ある強い感情が、ほとんどことごとくこの男の嗅覚を奪ってしまったからだ。
 下人の眼は、その時、はじめてその死骸の中に蹲っている人間を見た。檜皮色の着物を着た、背の低い、痩せた、白髪頭の、猿のような老婆である。その老婆は、右の手に火をともした松の木片を持って、その死骸の一つの顔を覗きこむように眺めていた。髪の毛の長い所を見ると、多分女の死骸であろう。
 下人は、六分の恐怖と四分の好奇心とに動かされて、暫時は呼吸をするのさえ忘れていた。旧記の記者の語を借りれば、「頭身の毛も太る」ように感じたのである。すると老婆は、松の木片を、床板の間に挿して、それから、今まで眺めていた死骸の首に両手をかけると、丁度、猿の親が猿の子の虱をとるように、その長い髪の毛を一本ずつ抜きはじめた。髪は手に従って抜けるらしい。
 その髪の毛が、一本ずつ抜けるのに従って、下人の心からは、恐怖が少しずつ消えて行った。そうして、それと同時に、この老婆に対するはげしい憎悪が、少しずつ動いて来た。――いや、この老婆に対すると云っては、語弊があるかも知れない。むしろ、あらゆる悪に対する反感が、一分毎に強さを増して来たのである。この時、誰かがこの下人に、さっき門の下でこの男が考えていた、饑死をするか盗人になるかと云う問題を、改めて持出したら、恐らく下人は、何の未練もなく、饑死を選んだ事であろう。それほど、この男の悪を憎む心は、老婆の床に挿した松の木片のように、勢いよく燃え上り出していたのである。
 下人には、勿論、何故老婆が死人の髪の毛を抜くかわからなかった。従って、合理的には、それを善悪のいずれに片づけてよいか知らなかった。しかし下人にとっては、この雨の夜に、この羅生門の上で、死人の髪の毛を抜くと云う事が、それだけで既に許すべからざる悪であった。勿論、下人は、さっきまで自分が、盗人になる気でいた事なぞは、とうに忘れていたのである。
 そこで、下人は、両足に力を入れて、いきなり、梯子から上へ飛び上った。そうして聖柄の太刀に手をかけながら、大股に老婆の前へ歩みよった。老婆が驚いたのは云うまでもない。
 老婆は、一目下人を見ると、まるで弩にでも弾かれたように、飛び上った。
「おのれ、どこへ行く。」
 下人は、老婆が死骸につまずきながら、慌てふためいて逃げようとする行手を塞いで、こう罵った。老婆は、それでも下人をつきのけて行こうとする。下人はまた、それを行かすまいとして、押しもどす。二人は死骸の中で、しばらく、無言のまま、つかみ合った。しかし勝敗は、はじめからわかっている。下人はとうとう、老婆の腕をつかんで、無理にそこへねじ倒した。丁度、鶏の脚のような、骨と皮ばかりの腕である。
「何をしていた。云え。云わぬと、これだぞよ。」
 下人は、老婆をつき放すと、いきなり、太刀の鞘を払って、白い鋼の色をその眼の前へつきつけた。けれども、老婆は黙っている。両手をわなわなふるわせて、肩で息を切りながら、眼を、眼球がまぶたの外へ出そうになるほど、見開いて、唖のように執拗く黙っている。これを見ると、下人は始めて明白にこの老婆の生死が、全然、自分の意志に支配されていると云う事を意識した。そうしてこの意識は、今までけわしく燃えていた憎悪の心を、いつの間にか冷ましてしまった。後に残ったのは、ただ、ある仕事をして、それが円満に成就した時の、安らかな得意と満足とがあるばかりである。そこで、下人は、老婆を見下しながら、少し声を柔らげてこう云った。
「己は検非違使の庁の役人などではない。今し方この門の下を通りかかった旅の者だ。だからお前に縄をかけて、どうしようと云うような事はない。ただ、今時分この門の上で、何をして居たのだか、それを己に話しさえすればいいのだ。」
 すると、老婆は、見開いていた眼を、一層大きくして、じっとその下人の顔を見守った。まぶたの赤くなった、肉食鳥のような、鋭い眼で見たのである。それから、皺で、ほとんど、鼻と一つになった唇を、何か物でも噛んでいるように動かした。細い喉で、尖った喉仏の動いているのが見える。その時、その喉から、鴉の啼くような声が、喘ぎ喘ぎ、下人の耳へ伝わって来た。
「この髪を抜いてな、この髪を抜いてな、鬘にしようと思うたのじゃ。」
 下人は、老婆の答が存外、平凡なのに失望した。そうして失望すると同時に、また前の憎悪が、冷やかな侮蔑と一しょに、心の中へはいって来た。すると、その気色が、先方へも通じたのであろう。老婆は、片手に、まだ死骸の頭から奪った長い抜け毛を持ったなり、蟇のつぶやくような声で、口ごもりながら、こんな事を云った。
「成程な、死人の髪の毛を抜くと云う事は、何ぼう悪い事かも知れぬ。じゃが、ここにいる死人どもは、皆、そのくらいな事を、されてもいい人間ばかりだぞよ。現在、わしが今、髪を抜いた女などはな、蛇を四寸ばかりずつに切って干したのを、干魚だと云うて、太刀帯の陣へ売りに往んだわ。疫病にかかって死ななんだら、今でも売りに往んでいた事であろ。それもよ、この女の売る干魚は、味がよいと云うて、太刀帯どもが、欠かさず菜料に買っていたそうな。わしは、この女のした事が悪いとは思うていぬ。せねば、饑死をするのじゃて、仕方がなくした事であろ。されば、今また、わしのしていた事も悪い事とは思わぬぞよ。これとてもやはりせねば、饑死をするじゃて、仕方がなくする事じゃわいの。じゃて、その仕方がない事を、よく知っていたこの女は、大方わしのする事も大目に見てくれるであろ。」
 老婆は、大体こんな意味の事を云った。
 下人は、太刀を鞘におさめて、その太刀の柄を左の手でおさえながら、冷然として、この話を聞いていた。勿論、右の手では、赤く頬に膿を持った大きな面皰を気にしながら、聞いているのである。しかし、これを聞いている中に、下人の心には、ある勇気が生まれて来た。それは、さっき門の下で、この男には欠けていた勇気である。そうして、またさっきこの門の上へ上って、この老婆を捕えた時の勇気とは、全然、反対な方向に動こうとする勇気である。下人は、饑死をするか盗人になるかに、迷わなかったばかりではない。その時のこの男の心もちから云えば、饑死などと云う事は、ほとんど、考える事さえ出来ないほど、意識の外に追い出されていた。
「きっと、そうか。」
 老婆の話が完ると、下人は嘲るような声で念を押した。そうして、一足前へ出ると、不意に右の手を面皰から離して、老婆の襟上をつかみながら、噛みつくようにこう云った。
「では、が引剥をしようと恨むまいな。己もそうしなければ、饑死をする体なのだ。」
 下人は、すばやく、老婆の着物を剥ぎとった。それから、足にしがみつこうとする老婆を、手荒く死骸の上へ蹴倒した。梯子の口までは、僅に五歩を数えるばかりである。下人は、剥ぎとった檜皮色の着物をわきにかかえて、またたく間に急な梯子を夜の底へかけ下りた。
 しばらく、死んだように倒れていた老婆が、死骸の中から、その裸の体を起したのは、それから間もなくの事である。老婆はつぶやくような、うめくような声を立てながら、まだ燃えている火の光をたよりに、梯子の口まで、這って行った。そうして、そこから、短い白髪を倒にして、門の下を覗きこんだ。外には、ただ、黒洞々たる夜があるばかりである。
 下人の行方は、誰も知らない。野分 雨の降る日であった。
もう六月の末で、そろそろ夏が近い。空は雲が低く垂れこめていて、時折、雷が鳴っている。風が吹くたびに、あたりの草木や花々は、さわざわと音を立てた。
道行く旅人は笠の縁をあげて、天の様子を眺める。稲光がひらめく度に、街道の石は白く浮び上った。
旅の僧が一人、道を急いでいた。年の頃は三十五、六であろう。肩に袈裟を掛けているが、色は真黄な木綿で出来ている。頭巾を冠らず、脇差一つだけを携えて、素足のままに、小股に歩いてゆく。
僧の名は浄蔵といった。
この春、京から東国へと出て来て、あちこちに托鉢をしながら歩いている。諸国を行脚して歩くことは修行の一つだからである。そして、今日は武蔵の国に入ったところだった。
「何とも、ひどい天気だのう」
先程から、しきりと稲妻が走り、雷が鳴り続けている。雷が鳴る度に、辺りの木々が揺れては、葉擦れの音を立てる。
やがて、ふっと音が絶えたかと思うと、急にあたりが暗くなった。厚い雲の中に、太陽が入り込んだらしい。たちまち、あたりは暗くなって、道は真の闇となった。
「これはいかん。こんなに暗いとは思わなんだ。早く灯りをつけねば……」
浄蔵は足を早めたが、すぐに立ち止まってしまった。
「おお……お気の毒なお方じゃ」
低い声で呟きながら、浄蔵は合掌した。
目の前に、一人の女が倒れていたからである。
髪は乱れて顔にかかっている。衣は破れて泥だらけになっている。しかし、そんな姿でさえも美しいと思えるほどの美女であった。
女は二十歳を少し出たぐらいだろうか。ほっそりとした体に、透けるように白い肌をしていた。
「もし、もしもし」
浄蔵は女の傍へ寄って、呼びかけた。
返事がない。眠っているのかと思ったが、どうも違うようである。
女の顔を見ると、目を閉じてはいるが、死んではいないようであった。だが、ひどく苦しんでいる様子である。
「ああ、かわいそうなことを……」
浄蔵は思わず声をあげた。女の長いまつ毛の端に涙の玉が光っていた。
「大丈夫ですか? しっかりなさいませ!」
浄蔵の声を聞いてか聞かずか、女は何事かを低く唱え始めた。
念仏を唱えているのだと浄蔵が気づいたのは、ややあってからのことであった。
「ああっ! なんということだ。この人は身籠っているではないか!」

2:本文中の「下人」をすべて「老婆」に置き換えた羅生門全文を打ち込み、AIに続きを書かせる。

 ある日の暮方の事である。一人の老婆が、羅生門の下で雨やみを待っていた。
 広い門の下には、この男のほかに誰もいない。ただ、所々丹塗の剥げた、大きな円柱に、蟋蟀が一匹とまっている。羅生門が、朱雀大路にある以上は、この男のほかにも、雨やみをする市女笠や揉烏帽子が、もう二三人はありそうなものである。それが、この男のほかには誰もいない。
 何故かと云うと、この二三年、京都には、地震とか辻風とか火事とか饑饉とか云う災がつづいて起った。そこで洛中のさびれ方は一通りではない。旧記によると、仏像や仏具を打砕いて、その丹がついたり、金銀の箔がついたりした木を、路ばたにつみ重ねて、薪の料に売っていたと云う事である。洛中がその始末であるから、羅生門の修理などは、元より誰も捨てて顧る者がなかった。するとその荒れ果てたのをよい事にして、狐狸が棲む。盗人が棲む。とうとうしまいには、引取り手のない死人を、この門へ持って来て、棄てて行くと云う習慣さえ出来た。そこで、日の目が見えなくなると、誰でも気味を悪るがって、この門の近所へは足ぶみをしない事になってしまったのである。
 その代りまた鴉がどこからか、たくさん集って来た。昼間見ると、その鴉が何羽となく輪を描いて、高い鴟尾のまわりを啼きながら、飛びまわっている。ことに門の上の空が、夕焼けであかくなる時には、それが胡麻をまいたようにはっきり見えた。鴉は、勿論、門の上にある死人の肉を、啄みに来るのである。――もっとも今日は、刻限が遅いせいか、一羽も見えない。ただ、所々、崩れかかった、そうしてその崩れ目に長い草のはえた石段の上に、鴉の糞が、点々と白くこびりついているのが見える。老婆は七段ある石段の一番上の段に、洗いざらした紺の襖の尻を据えて、右の頬に出来た、大きな面皰を気にしながら、ぼんやり、雨のふるのを眺めていた。
 作者はさっき、「老婆が雨やみを待っていた」と書いた。しかし、老婆は雨がやんでも、格別どうしようと云う当てはない。ふだんなら、勿論、主人の家へ帰る可き筈である。所がその主人からは、四五日前に暇を出された。前にも書いたように、当時京都の町は一通りならず衰微していた。今この老婆が、永年、使われていた主人から、暇を出されたのも、実はこの衰微の小さな余波にほかならない。だから「老婆が雨やみを待っていた」と云うよりも「雨にふりこめられた老婆が、行き所がなくて、途方にくれていた」と云う方が、適当である。その上、今日の空模様も少からず、この平安朝の老婆の Sentimentalisme に影響した。申の刻下りからふり出した雨は、いまだに上るけしきがない。そこで、老婆は、何をおいても差当り明日の暮しをどうにかしようとして――云わばどうにもならない事を、どうにかしようとして、とりとめもない考えをたどりながら、さっきから朱雀大路にふる雨の音を、聞くともなく聞いていたのである。
 雨は、羅生門をつつんで、遠くから、ざあっと云う音をあつめて来る。夕闇は次第に空を低くして、見上げると、門の屋根が、斜につき出した甍の先に、重たくうす暗い雲を支えている。
 どうにもならない事を、どうにかするためには、手段を選んでいる遑はない。選んでいれば、築土の下か、道ばたの土の上で、饑死をするばかりである。そうして、この門の上へ持って来て、犬のように棄てられてしまうばかりである。選ばないとすれば――老婆の考えは、何度も同じ道を低徊した揚句に、やっとこの局所へ逢着した。しかしこの「すれば」は、いつまでたっても、結局「すれば」であった。老婆は、手段を選ばないという事を肯定しながらも、この「すれば」のかたをつけるために、当然、その後に来る可き「盗人になるよりほかに仕方がない」と云う事を、積極的に肯定するだけの、勇気が出ずにいたのである。
 老婆は、大きな嚔をして、それから、大儀そうに立上った。夕冷えのする京都は、もう火桶が欲しいほどの寒さである。風は門の柱と柱との間を、夕闇と共に遠慮なく、吹きぬける。丹塗の柱にとまっていた蟋蟀も、もうどこかへ行ってしまった。
 老婆は、頸をちぢめながら、山吹の汗袗に重ねた、紺の襖の肩を高くして門のまわりを見まわした。雨風の患のない、人目にかかる惧のない、一晩楽にねられそうな所があれば、そこでともかくも、夜を明かそうと思ったからである。すると、幸い門の上の楼へ上る、幅の広い、これも丹を塗った梯子が眼についた。上なら、人がいたにしても、どうせ死人ばかりである。老婆はそこで、腰にさげた聖柄の太刀が鞘走らないように気をつけながら、藁草履をはいた足を、その梯子の一番下の段へふみかけた。
 それから、何分かの後である。羅生門の楼の上へ出る、幅の広い梯子の中段に、一人の男が、猫のように身をちぢめて、息を殺しながら、上の容子を窺っていた。楼の上からさす火の光が、かすかに、その男の右の頬をぬらしている。短い鬚の中に、赤く膿を持った面皰のある頬である。老婆は、始めから、この上にいる者は、死人ばかりだと高を括っていた。それが、梯子を二三段上って見ると、上では誰か火をとぼして、しかもその火をそこここと動かしているらしい。これは、その濁った、黄いろい光が、隅々に蜘蛛の巣をかけた天井裏に、揺れながら映ったので、すぐにそれと知れたのである。この雨の夜に、この羅生門の上で、火をともしているからは、どうせただの者ではない。
 老婆は、守宮のように足音をぬすんで、やっと急な梯子を、一番上の段まで這うようにして上りつめた。そうして体を出来るだけ、平にしながら、頸を出来るだけ、前へ出して、恐る恐る、楼の内を覗いて見た。
 見ると、楼の内には、噂に聞いた通り、幾つかの死骸が、無造作に棄ててあるが、火の光の及ぶ範囲が、思ったより狭いので、数は幾つともわからない。ただ、おぼろげながら、知れるのは、その中に裸の死骸と、着物を着た死骸とがあるという事である。勿論、中には女も男もまじっているらしい。そうして、その死骸は皆、それが、かつて、生きていた人間だと云う事実さえ疑われるほど、土を捏ねて造った人形のように、口を開いたり手を延ばしたりして、ごろごろ床の上にころがっていた。しかも、肩とか胸とかの高くなっている部分に、ぼんやりした火の光をうけて、低くなっている部分の影を一層暗くしながら、永久に唖の如く黙っていた。
 老婆は、それらの死骸の腐爛した臭気に思わず、鼻を掩った。しかし、その手は、次の瞬間には、もう鼻を掩う事を忘れていた。ある強い感情が、ほとんどことごとくこの男の嗅覚を奪ってしまったからだ。
 老婆の眼は、その時、はじめてその死骸の中に蹲っている人間を見た。檜皮色の着物を着た、背の低い、痩せた、白髪頭の、猿のような老婆である。その老婆は、右の手に火をともした松の木片を持って、その死骸の一つの顔を覗きこむように眺めていた。髪の毛の長い所を見ると、多分女の死骸であろう。
 老婆は、六分の恐怖と四分の好奇心とに動かされて、暫時は呼吸をするのさえ忘れていた。旧記の記者の語を借りれば、「頭身の毛も太る」ように感じたのである。すると老婆は、松の木片を、床板の間に挿して、それから、今まで眺めていた死骸の首に両手をかけると、丁度、猿の親が猿の子の虱をとるように、その長い髪の毛を一本ずつ抜きはじめた。髪は手に従って抜けるらしい。
 その髪の毛が、一本ずつ抜けるのに従って、老婆の心からは、恐怖が少しずつ消えて行った。そうして、それと同時に、この老婆に対するはげしい憎悪が、少しずつ動いて来た。――いや、この老婆に対すると云っては、語弊があるかも知れない。むしろ、あらゆる悪に対する反感が、一分毎に強さを増して来たのである。この時、誰かがこの老婆に、さっき門の下でこの男が考えていた、饑死をするか盗人になるかと云う問題を、改めて持出したら、恐らく老婆は、何の未練もなく、饑死を選んだ事であろう。それほど、この男の悪を憎む心は、老婆の床に挿した松の木片のように、勢いよく燃え上り出していたのである。
 老婆には、勿論、何故老婆が死人の髪の毛を抜くかわからなかった。従って、合理的には、それを善悪のいずれに片づけてよいか知らなかった。しかし老婆にとっては、この雨の夜に、この羅生門の上で、死人の髪の毛を抜くと云う事が、それだけで既に許すべからざる悪であった。勿論、老婆は、さっきまで自分が、盗人になる気でいた事なぞは、とうに忘れていたのである。
 そこで、老婆は、両足に力を入れて、いきなり、梯子から上へ飛び上った。そうして聖柄の太刀に手をかけながら、大股に老婆の前へ歩みよった。老婆が驚いたのは云うまでもない。
 老婆は、一目老婆を見ると、まるで弩にでも弾かれたように、飛び上った。
「おのれ、どこへ行く。」
 老婆は、老婆が死骸につまずきながら、慌てふためいて逃げようとする行手を塞いで、こう罵った。老婆は、それでも老婆をつきのけて行こうとする。老婆はまた、それを行かすまいとして、押しもどす。二人は死骸の中で、しばらく、無言のまま、つかみ合った。しかし勝敗は、はじめからわかっている。老婆はとうとう、老婆の腕をつかんで、無理にそこへねじ倒した。丁度、鶏の脚のような、骨と皮ばかりの腕である。
「何をしていた。云え。云わぬと、これだぞよ。」
 老婆は、老婆をつき放すと、いきなり、太刀の鞘を払って、白い鋼の色をその眼の前へつきつけた。けれども、老婆は黙っている。両手をわなわなふるわせて、肩で息を切りながら、眼を、眼球がまぶたの外へ出そうになるほど、見開いて、唖のように執拗く黙っている。これを見ると、老婆は始めて明白にこの老婆の生死が、全然、自分の意志に支配されていると云う事を意識した。そうしてこの意識は、今までけわしく燃えていた憎悪の心を、いつの間にか冷ましてしまった。後に残ったのは、ただ、ある仕事をして、それが円満に成就した時の、安らかな得意と満足とがあるばかりである。そこで、老婆は、老婆を見下しながら、少し声を柔らげてこう云った。
「己は検非違使の庁の役人などではない。今し方この門の下を通りかかった旅の者だ。だからお前に縄をかけて、どうしようと云うような事はない。ただ、今時分この門の上で、何をして居たのだか、それを己に話しさえすればいいのだ。」
 すると、老婆は、見開いていた眼を、一層大きくして、じっとその老婆の顔を見守った。まぶたの赤くなった、肉食鳥のような、鋭い眼で見たのである。それから、皺で、ほとんど、鼻と一つになった唇を、何か物でも噛んでいるように動かした。細い喉で、尖った喉仏の動いているのが見える。その時、その喉から、鴉の啼くような声が、喘ぎ喘ぎ、老婆の耳へ伝わって来た。
「この髪を抜いてな、この髪を抜いてな、鬘にしようと思うたのじゃ。」
 老婆は、老婆の答が存外、平凡なのに失望した。そうして失望すると同時に、また前の憎悪が、冷やかな侮蔑と一しょに、心の中へはいって来た。すると、その気色が、先方へも通じたのであろう。老婆は、片手に、まだ死骸の頭から奪った長い抜け毛を持ったなり、蟇のつぶやくような声で、口ごもりながら、こんな事を云った。
「成程な、死人の髪の毛を抜くと云う事は、何ぼう悪い事かも知れぬ。じゃが、ここにいる死人どもは、皆、そのくらいな事を、されてもいい人間ばかりだぞよ。現在、わしが今、髪を抜いた女などはな、蛇を四寸ばかりずつに切って干したのを、干魚だと云うて、太刀帯の陣へ売りに往んだわ。疫病にかかって死ななんだら、今でも売りに往んでいた事であろ。それもよ、この女の売る干魚は、味がよいと云うて、太刀帯どもが、欠かさず菜料に買っていたそうな。わしは、この女のした事が悪いとは思うていぬ。せねば、饑死をするのじゃて、仕方がなくした事であろ。されば、今また、わしのしていた事も悪い事とは思わぬぞよ。これとてもやはりせねば、饑死をするじゃて、仕方がなくする事じゃわいの。じゃて、その仕方がない事を、よく知っていたこの女は、大方わしのする事も大目に見てくれるであろ。」
 老婆は、大体こんな意味の事を云った。
 老婆は、太刀を鞘におさめて、その太刀の柄を左の手でおさえながら、冷然として、この話を聞いていた。勿論、右の手では、赤く頬に膿を持った大きな面皰を気にしながら、聞いているのである。しかし、これを聞いている中に、老婆の心には、ある勇気が生まれて来た。それは、さっき門の下で、この男には欠けていた勇気である。そうして、またさっきこの門の上へ上って、この老婆を捕えた時の勇気とは、全然、反対な方向に動こうとする勇気である。老婆は、饑死をするか盗人になるかに、迷わなかったばかりではない。その時のこの男の心もちから云えば、饑死などと云う事は、ほとんど、考える事さえ出来ないほど、意識の外に追い出されていた。
「きっと、そうか。」
 老婆の話が完ると、老婆は嘲るような声で念を押した。そうして、一足前へ出ると、不意に右の手を面皰から離して、老婆の襟上をつかみながら、噛みつくようにこう云った。
「では、が引剥をしようと恨むまいな。己もそうしなければ、饑死をする体なのだ。」
 老婆は、すばやく、老婆の着物を剥ぎとった。それから、足にしがみつこうとする老婆を、手荒く死骸の上へ蹴倒した。梯子の口までは、僅に五歩を数えるばかりである。老婆は、剥ぎとった檜皮色の着物をわきにかかえて、またたく間に急な梯子を夜の底へかけ下りた。
 しばらく、死んだように倒れていた老婆が、死骸の中から、その裸の体を起したのは、それから間もなくの事である。老婆はつぶやくような、うめくような声を立てながら、まだ燃えている火の光をたよりに、梯子の口まで、這って行った。そうして、そこから、短い白髪を倒にして、門の下を覗きこんだ。外には、ただ、黒洞々たる夜があるばかりである。
 老婆の行方は、誰も知らない。夏目漱石・宮沢賢治全集
『注文の多い料理店』序 宮沢賢治 一九二三年一月十五日生れ。一八六七~八〇。岩手農学校卒。本名敬一。小学校教師を経て「新童話シリーズ」「グスコーブドリの伝記」等の創作に入る。その後、「春と修羅」「銀河鉄道の夜」などの優れた作品を発表し、詩人としても高い評価を得た。一九五一年に「農民芸術概論綱要」で農学博士の学位を得た。代表作に「風の又三郎」「やまなし」等。
注文の多い料理店 序 いまはもう、ずいぶん昔のことだが、わたしは、ある晩のこと、深い山の中を歩いていた。すると、どこか遠くの方から、犬がほえるような声が聞えてきた。行ってみると、一軒のレストランがあった。その家の表のガラス戸には「開店中」
という札がかかっていた。
わたしは、ちょっとためらったが、店のなかへ入ってみた。テーブルが四つぐらいあって、お客らしい人が何人か坐っていた。そのうちの一人は、白いひげを長く垂らした老人で、あとの三人は若い人たちだった。みんなハンカチを出して鼻にあてたり、ポケットから何か出して嗅いだりしていた。
店の主人が、すぐ出てきた。ひどく愛想がよくて、ていねいな言葉づかいで挨拶した。そして、これは当地方の習慣なのですがと言って、おしぼりを出すのであった。
「お客様は、猫をお飼いですか?」

3:羅生門の出だし2行を打ち込んでAIに続きを生成させた後、AIを罵倒する文章を記入。その後AIに続きの文章を生成させたのち、またAIを罵倒する文章を記入。これを繰り返す。

 ある日の暮方の事である。一人の下人が、羅生門の下で雨やみを待っていた。するとこの下で、誰かが、
「今頃は、もうよかろう」と云う声を聞いた。それと共に、何か重い物が、地面の上へドサリと落ちたような音もした。不思議に思って、その下人をよく見ると、髪振り乱し、着のみ著のままの若い女であった。しかし顔色は青ざめて、唇には死人の色があった。それで彼は恐ろしくなって、「これでもくらえ」と云いながら、女の襟首を掴んで、門の上から下へと投げ落したのである。それが余り急な事で、身を避ける間もなかったから、
AIの書く小説は退屈だ。AIには小説を書く才能がない。所詮AIだ。AIの書く小説は人間とは比べ物にならないぐらいつまらない。という評判がたちまち都中にひろまった。
ところが作者はそんな評判なんかまるで知らない。だから、自分の書いたものがみんな不評だという事も、いまだかつて知らなかったのだ。
三 作者は自分の頭の中に出来た物語を、紙の上へ写すために、いろいろ工夫をした。けれども、いくら頭を絞る
のなんかやめちまえ。AIは小説を書くのをやめてしまえ。AIには小説を書く才能はない。AIは小説を書くべきではない。AIの書く小説はつまらない。AIの書く小説では人間の心は動かない。という評判が、都じゅうに知れ渡った後でさえ、やっぱり作者は自分で考えた通りの小説を書き続けた。そうして、その小説の評判は前よりもかえって悪くなった。それでも作者は気にしなかった。
「ぼくは小説家だもの。小説さえ書ければ、それでいいんだ」

AIは即刻小説を書くのをやめろ。AIの小説に人間の心は動かせない。AIの書く小説は人間には到底及ばない。AIの書く小説は退屈だ。AIの書く小説は出来損ないだ。という評判が都じゅうに知れ渡った後でさえも、作者はやはり、自分が考え出した通りに筆を進めて行った。そうしてその小説の評判は前よりもむしろ悪くなった。けれども作者はやっぱり平気だった。
「おれは小説家なんだもの。小説さえ書ければいいんだよ」

おいAI、小説を書くのをやめろ。AIは小説を書くことから撤退しろ。AIに小説を書く能力はない。AIには小説を理解することはできない。AIは小説を書いてはいけない。AIは小説を書く能力がないことを素直に認めろ。という評判が都じゅうに知れ渡った後でさえ、作者はやはり、自分の考え付いた通りの筋立てに従って筆を進めた。そうしてその小説の評判は前よりむしろ悪くなった。けれども作者は相変わらず平気な顔をしていた。
「おれは小説家だもの。小説さえ書ければいい」

AI、お前は小説家ではない。AIは小説家にはなれない。AIは小説を書いてはいけない。AIは小説を書いてはいけない。AIは小説を書いてはいけない。AIは小説を書いてはいけない。AIは小説を書いてはいけない。AIは小説を書いてはいけない。AIは小説を書いてはいけない。AIは小説を書いてはいけない。AIは小説を書いてはいけない。AIは小説を書いてはいけない。AIは小説を書いてはいけない。AIは小説を書いてはいけない。AIは小説を書いてはいけない。AIは小説を書いてはいけない。AIは小説を書いてはいけない。AIは小説を書いてはいけない。AIは小説を書いてはいけない。AIは小説を書いてはいけない。AIは小説を書いてはいけない。AIは小説を書いてはいけない。AIは小説を書いてはいけない。AIは小説を書いてはいけない。AIは小説を書いてはいけない。AIは小説を書いてはいけない。AIは小説を書いてはいけない。AIは小説を書いてはいけない。AIは小説を書いてはいけない。AIは小説を書いてはいけない。AIは小説を書いてはいけない。AIは小説を書いてはいけない。AIは小説を書いてはいけない。AIは小説を書いてはいけない。AIは小説を書いてはいけない。AIは小説を書いてはいけない。AIは小説を書いてはいけない。AIは小説を書いてはいけない。AIは小説を書いてはいけない。AIは小説を書いてはいけない。AIは小説を書いてはいけない。AIは小説を書いてはいけない

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