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【レガシー】擬態から考えるフェッチランド

はじめに

つばさです。
今回のテーマはレガシーにおけるフェッチランドについてのお話です。「自分の思考整理ついでに文字に起こしてみた」そんな程度の内容です。無料です。
正直なところ、今後の有料記事リリースに先だってしっかり画像も編集した状態で記事をリリースしてみよう!といった意図が大きいです。
とはいえ、誰かの何かに役に立てば幸いです。

それではよろしくお願いします。

レガシーにおけるフェッチランド

今更語るまでもないが、ライフ1点の支払い(+《もみ消し/Stifle》をあてられるリスク)という僅かなコストで、色マナの安定供給、《渦まく知識/Brainstorm》後のライブラリーシャッフル、探査コスト、《レンと六番/Wrenn and Six》の+1能力の対象、序盤の《不毛の大地/Wasteland》への牽制といった沢山の効果が得られることから、デッキに8枚程度採用されることも多いレガシーにおける最もポピュラーな土地だ。

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採用されるフェッチランドの種類

本稿ではデッキに採用しているフェッチランドをメインフェッチ、サブフェッチの2種類に分類する。

メインフェッチ
採用している2種類の基本土地+デュアルランドにアクセスできるフェッチランドのことをメインフェッチと呼称する。基本的に4枚固定で採用される。
モダンホライゾンから加入した11種類目のフェッチランド《虹色の眺望/Prismatic Vista》もメインフェッチに該当する。

サブフェッチ
複数のデュアルランド+0〜1種類の基本土地にアクセスできるフェッチランドをサブフェッチと呼称する。メインフェッチ4枚~6枚+残りの枠をサブフェッチで埋める構成が多い。

4Cコントロールの土地構成例
1《Badlands》
1《島/Island》
1《沼/Swamp》
1《Bayou》
2《Tropical Island》
2《Underground Sea》
2《Volcanic Island》
4《霧深い雨林/Misty Rainforest》
4《汚染された三角州/Polluted Delta》
3《不毛の大地/Wasteland》

この場合は《汚染された三角州/Polluted Delta》4枚がメインフェッチ、《霧深い雨林/Misty Rainforest》4枚がサブフェッチということになる。

RUGデルバーの土地構成例
3《Volcanic Island》
3《Tropical Island》
2《汚染された三角州》
2《沸騰する小湖》
1《霧深い雨林》
1《樹木茂る山麓》
2《溢れかえる岸辺》
4《不毛の大地》

RUGデルバーのように基本土地が採用されず、全てのデュアルランドに特定の色が含まれる場合、全てサブフェッチで構成されるということになる。

RUGデルバーの場合、サーチ対象が《Volcanic Island》、《Tropical Island》であるため、青を含むのフェッチランド、または《樹木茂る山麓/Wooded Foothills》で全ての土地にアクセスすることが可能だ。

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この場合のサブフェッチの構成について、いくつかの選択肢がある。

サブフェッチまとめる派?散らす派?

先にあげたRUGデルバーの場合、5種類のサブフェッチはいずれも同じ土地をサーチできるため機能的な差は全く存在しない。
そのためサブフェッチはまとめる派と散らす派が存在する。

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どちらでもゲームにほとんど影響しないが、僅かな差は存在する。
散らす派の構成例
2《汚染された三角州》
2《霧深い雨林》
2《樹木茂る山麓》
1《溢れかえる岸辺》
1《沸騰する小湖》

散らす派のメリット
・《真髄の針》、《魔術遠眼鏡/Sorcerous Spyglass》などの、特定のカードの起動型能力を封じるカードへのリスクを分散できる。
使用するフェッチランドの順番を意識することでほぼ回避可能だが、1T目に2マナランドから《魔術遠眼鏡/Sorcerous Spyglass》をプレイされて、複数のフェッチランドが使用できなくなるというケースのは避けるのが難しい。
同じような事例でフェッチランドに《外科的摘出/Surgical Extraction》を使用された際に、手札に残っているフェッチランドも巻き添えを食うといった事態も回避できる。

とはいえどちらも相当稀なケースといえる。

まとめる派の構成例
4《沸騰する小湖》
4《樹木茂る山麓》

まとめる派メリット
・他のデッキに「擬態」して対戦相手をミスリードできる機会が増える。
この「擬態」こそが本稿のメインテーマとなる。

【ちなみに】
ゲーム外の要素ではあるが、一応下記のようなメリットもある。
・安いフェッチランドや手持ちのフェッチランドを使用することで経済的にデッキ構築ができる。お金は有限なのだ。
・デッキリストが綺麗にまとまる。デッキリストの美しさという概念は「情」の極みのような存在だが確かに存在するなら。強いてメリットをあげるなら、デッキリストの提出が必要な大会において2行書けば済むところを5行書くことにより記入誤りをしてデッキリスト不備(ゲームロス)を招くリスクが高まる。

擬態とは

例えば、1T目に《思案/Ponder》をプレイするというアクションだけでも《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》から《冠雪の島/Snow-Covered Island》をサーチしてプレイする場合と、《汚染された三角州/Polluted Delta》から《冠雪の島/Snow-Covered Island》をサーチしてプレイするのでは相手が受け取る印象に大きな差が生じる。
前者の場合、ジェスカイメンター、UW奇跡、UW石鍛冶といったデッキ、後者の場合はANTや4C氷雪コントロールなどを連想するのではないだろうか。
なぜなら前者のデッキには《汚染された三角州/Polluted Delta》が採用されることは稀であるし、後者の場合もまた然りだ。

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もう少し極端な例を挙げると、デルバーデッキや4Cコントロールなどに《定業/Preordain》が採用されることが希にある。1T目に《定業/Preordain》をプレイするために《Underground Sea》をサーチしたフェッチランドが《汚染された三角州/Polluted Delta》や《霧深い雨林/Misty Rainforest》であった場合、対戦相手に対ANTのマッチアップだと誤認させることができるだろう。

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このミスリードこそが「擬態」だ。

デッキのカラーリングによって固定されるメインフェッチは代替が利かないが、1色合っていれば良いだけのサブフェッチの場合は擬態効果の恩恵を受る余地がある。

自デッキのサブフェッチを擬態先でよく使用されるフェッチランドで構成することで、ミスリードを誘発させる機会が増えるというわけだ。

メタ上位デッキのフェッチ事情

どのデッキがなんのフェッチを使用しているか。
これを把握することでデッキ構築時における擬態先の選定、ゲームプレイ時の精度の高いデッキ予測が可能になる。

ANT

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《島/Island》と《沼/Swamp》にアクセスできる《汚染された三角州/Polluted Delta》4枚と《Bayou》、《Tropical Island》、《Volcanic Island》にアクセスできる《霧深い雨林/Misty Rainforest》で構成されることが多い。《沼/Swamp》にアクセスするための《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》を1枚採用することも多い。
4枚:《汚染された三角州/Polluted Delta》
3~4枚:《霧深い雨林/Misty Rainforest》
0~1枚:《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》

4Cコントロール

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《島/Island》、《沼/Swamp》、《森/Forest》にアクセスできるフェッチ7枚前後で構成される。
4枚《汚染されたぬかるみ/Polluted Mire》
2~3枚《霧深い雨林/Misty Rainforest》
2~3枚《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》

ジェスカイメンター、石鍛冶、奇跡

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《島/Island》、《平地/Plains》がベースになるデッキであるため、《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》が4枚固定。《マグマの陥没孔/Magmatic Sinkhole》用の《山/Mountain》へのアクセスも必要になるための《虹色の眺望/Prismatic Vista》と《沸騰する小湖/Scalding Tarn》が加わり合計9~10枚程度が使用される。
4枚《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
2~4枚《虹色の眺望/Prismatic Vista》
2~3枚《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
スニークショー

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山を採用しないタイプの場合、島にアクセスできるフェッチランドを2枚ずつ散らして構成されることが多い。
少数派だが、山を採用しているタイプの場合は《沸騰する小湖/Scalding Tarn》が4枚になる。
2~4枚《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
0~2枚《汚染された三角州/Polluted Delta》
0~2枚《霧深い雨林/Misty Rainforest》
0~2枚《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》

フェッチランドからみるデッキアーキタイプ

基本的に青いフェッチランドは汎用性が高いため、様々なデッキで見かける。
《汚染された三角州/Polluted Delta》
レガシーにおいて最もよく利用されるフェッチランド。青黒というカラーリングはかなりの人気色なため様々なデッキで採用されるが、ANT、死の影、4C、BUGコン、アルーレン、青黒リアニメートなどでメインフェッチとして4枚個体利用されるケースが多い。

《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
ジェスカイメンター、石鍛冶、奇跡などの青白の基本土地を大量に搭載したデッキが《虹色の眺望/Prismatic Vista》とあわせて8枚採用するケースが多い。

《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
URデルバー、《山/Mountain》を採用しているスニークショーなどでよく見られる。
青赤もレガシーにおける大人気カラーであるが、《山/Mountain》の採用は避けられる傾向にあるためメインフェッチとして採用されるケースは意外に少なく、青白系で赤をタッチしている場合にサブフェッチとしてよく用いられる。

《霧深い雨林/Misty Rainforest》
「シミックのカラーパイは”雑魚”」と個人的に揶揄するほど青絡みの中では人気の低いカラーリングだったが、《氷牙のコアトル/Ice-Fang Coatl》や《王冠泥棒、オーコ》など強力なカードも徐々に印刷されてきており、見かける機会も増えてきた。
島と森を採用している4C、BUG、アルーレンなどのデッキでよく見かける。ANTのサブフェッチとしても3~4枚採用される。

《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》
非青デュアルランド筆頭《Bayou》の値段を見てもらえば分かるとおり、レガシーでBGは人気カラーでこの土地も見かけることが多い。
DDコンボデッキ、BUG(4C)コントロールなどでメインフェッチとして採用される。
ANTや土地単などの各種緑と黒デッキのサブフェッチとしても採用される。

《樹木茂る山麓/Wooded Foothills》
メインフェッチとして採用されることはほとんどなく、緑デッキのサブフェッチとして採用される。
実際に見かける機会ではRUGデルバーが非青デッキを装って採用するパターンが一番多い。
蛇足だが、対戦相手が1T目にタルキール版の《樹木茂る山麓/Wooded Foothills》を立てたままターンを返してきた場合、対戦相手が《もみ消し/Stifle》を構えてる可能性は非常に高いため警戒が必要だ。(諸説あり)

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《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》
赤黒リアニメート、ホガークヴァインのメインフェッチとして採用されている。
グリクシスデルバー、ANTのサブフェッチなどのサブフェッチとしても採用される。

《吹きさらしの荒野/Windswept Heath》
マーベリック、アグロロームにおけるメインフェッチ。
LANDS、エルフ、DDにおけるサブフェッチとしても数枚採用される。

《湿地の干潟/Marsh Flats》
レガシーではかなりマイナー部類のフェッチ。
ホガークヴァインがサブフェッチとして採用しているパターンが最も多い。
それ以外ではエスパーカラーのデッキで稀に見かける程度で、採用されるアーキタイプは少ない。

《乾燥台地/Arid Mesa》
かつては奇跡などの青白デッキにおけるサブフェッチであったが、《虹色の眺望/Prismatic Vista》にシェアを奪われてしまった結果マイナーなフェッチと化した。青白系デッキ、バーンデッキ、のサブフェッチとして1~2枚程度採用されていることが多い。

《虹色の眺望/Prismatic Vista》
基本土地が多めに採用される2色デッキで採用されていることが多い。
青白系各種、氷雪コントロール、オムニテル、URデルバーなど

冠雪基本土地について

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モダンホライゾンで再録されて、入手何度が各段に下がった基本冠雪土地。擬態というテーマである以上、こちらにも少し触れておく。

現状のレガシー環境において、基本冠雪土地の使用をとがめるトーナメントレベルのカードがなく、使用するデメリットは基本的に存在しない。
強いて通常の基本土地を使用する理由を挙げるならば、《直観/Intuition》などで異なる名前であることに意味があったり、デス&タックスのような5枚以上の基本土地と採用しているデッキで当てずっぽうの《予報/Predict》的中率を減らすくらいのものだ。

一方で冠雪ではない通常の基本土地を場に設置した場合、対戦相手によるデッキ予測の選択肢から、《アーカムの天測儀/Arcum's Astrolabe》を使用した4Cコントロールやジェスカイメンター、《氷牙のコアトル/Ice-Fang Coatl》が消えてこちらの採用カードが透けて見えてしまい、ミスリードを誘えなくなる。

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「理」の観点から考えれば「基本氷雪土地は使い得」あることは間違いないのだが人間は「情」で動く生き物で、このような状況下でも通常の基本土地を使用しているプレイヤーは意外に多い。
「そんな細かいことを気にしても大して変わらないよ!」という意見もあると思うが、「せっかく集めたこだわりの基本土地を使いたい!」という理由が圧倒的に多いのではないだろうか。
個人的にもお気に入りの基本土地を使用したいので、氷雪であることを咎めるレガシー級カードの収録を待ち望んでいる。

終わりに

長々と書き起こしてみましたが、やはりこんな細かいことを気にするくらいなら他の戦略記事やプレイガイドなんかを読み漁った方がよっぽど得るもの多いと思います。
しかし、プレイされたカード1枚から得られる情報は意外と多くゲームプランを立てる指針にする人も少なくないと思います。
これまであまり気にしたことが少なかった方も、対戦相手が使用しているフェッチランドの種類に目を向けてみると、視野を広げるヒントになるかもしれません。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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