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愛知県立大学長久手キャンパス図書館(愛知県)

愛知県は長久手市ぶっちぎりで森の中、愛・地球博記念公園北口正面にこの長久手キャンパスはある。
万博が開催されて以降、ちょっとは開発の手が伸びているようだが今でも、特に愛知万博の前などは完全に山の中にひっそりと佇む大学だった。
愛知県の県立大学はここと、リニモで1つ前の駅にある愛知県立芸術大学の2つである。
どうしてこの2校がこんな山の中に建てられたのかはよくわからない。
とにかく今回はそんな県立大学にリニモに揺られて(リニモは揺れないが)やってきたのだった。


1.開館日時と利用対象者

主に平日の9:00~21:20まで開館。終了時間が中途半端な理由は不明。
土曜日と日曜日が休みなのは、講義が休みの日に山奥まで行って勉強や研究をする人はいないということか、あるいはわざわざ出向かずともオンラインサービスで事足りるということかもしれない。
「愛知県内に居住あるいは事業所等に属する18歳以上の方(大学生を含みます)は、資料の館外貸出をすることができます」とのことで、県立大学なだけあってか一般利用者へのサービスは学生や教職とほぼ同じとかなり手厚い。
立地と開館日時は問題があるが、サービスでカバーされている。

2.立地条件とアクセス

あまり何度も書くのは憚られるが……本当に周りに何もない山の中にあるのだ。
リニモの駅が目の前にあるとはいえ、アクセスの悪さは否定できない。
というより、リニモ自体が乗車賃が高いなどの理由で不評ということもある。
そもそもリニモが通る前は学生はどうやって通っていたのだろう?
とまぁ、つまり近隣住民というのは殆ど存在しないのだが、先述の通り県立大学ということで愛知県内の住民に対し広く門戸を開けている。
愛知県という広い範囲で考えれば、まだ駅が近くにあるだけマシなのかもしれない。

3.館内設備と検索性

キャンパス内で建造物のデザインは統一されており、一見して図書館とは区別できなかった。
個人的には図書館はアーバンライクよりも知の泉として威厳ある建築が好みなのだが、デザイン性はともかく図書館が少し見つけにくいのではないかと思った。
図書館の敷地面積としては中の上といったところで大学図書館としては充分かと思う。
入り口にはBDSとゲートが設置されているが、ゲートは手押しで簡単に開く方式であり、学外者はそこを通って少し離れたカウンターで受付する。
これは大学図書館としてはセキュリティが少し甘いのではと思ってしまう。
小生が訪問した時は夏ということで入ってすぐに怪談をテーマにしたコーナーが用意されていた。
他にも今月の~冊など、複数の企画が同時進行されており、利用者の学習や読書を推奨することに力を入れていることが伺われる。
2階建ての館内は、1階に逐次刊行物とレファレンスブックとAV資料が集中して配架され、2階に図書が配架されている。
流石に大学図書館なので児童向けのサービスは皆無だったが、OPAC用PCも随所にあった。

4.図書資料とその他資料

まず1階を見て、普通の図書館と較べてAV資料を全面に推していると思った。
入り口脇になかなかの台数のAV資料鑑賞席が用意されており、DVDをはじめとした映像資料も豊富。
また1階はレファレンスブックがかなり豊富で、レファレンスコーナーを中心に配置された席で学生が勉学に励んでいた。
2階の図書資料はホール中心に並んでおり、わかりやすいかと思いきや、どこからどこまでの棚がNDCで区分されているのか少し分かりづらかった。
しかし蔵書は結構多く、特にIT関連の蔵書が新しいものが並べられていた。
図書館におけるIT関連の書物は古いものばかりが並んでいる印象だったが、どうやらITには力を入れているようだ。
小生は利用できなかったが、長久手キャンパス端末室という学生が利用可能なPCルームにかなりの台数のPCがあり、しかもオンラインで空きが確認できるサービスもあるようだ。
なお私は図書館のデジタル化に関する探していた資料の最新版が蔵書されていたので腰を落ち着けて読み耽ってしまった。
建物の外観通りに2階は、悪く行ってしまうと面白みのない配架ではあったが、1階2階含めて蔵書は優れていると思う。
1階と2階で明確に用途が区別化された良い例なのだろう。

5.サービスと総評

先に訪問した日進市立図書館と外語大・学芸大図書館と比べてしまうと、どうしてもお硬い印象が拭えないが、しっかりと愛知の県立大学図書館であるという豊富で新しい蔵書を持っている。
公立公共図書館とは違う、大学図書館としてのスタンダードになるべくしてなっている図書館といったところだろうか。
私立大学図書館の方が資金の問題か、設備や蔵書において優れている場合があるかもしれないが、大学図書館としてのあるべき姿をしっかり示している。
今後、大学図書館を巡る際はこの大学図書館を基準に評価するのが正解かもしれない。
アクセスに難はあるが、小生は今後も利用する機会があるだろうと感じた。


2017/08/04 ネロ造

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