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重い身体を起し、ペットボトルの水を開けてぐいっと飲み干した。
東京を飛び出して、今日で一週間になる。
なぜそんなことをしたのか、と聞かれてもよくわからない。気がついたら身体が動いていた、としか言いようがなかった。
置き手紙1枚で飛び出してきた僕に、家族はさぞ驚いただろう。父親は、僕が何か不良の道に進んだのではと不機嫌になっているかもしれない。母親は、そんなことないあの子に限って、と泣いているかもしれない。
まぁそんなこと、今はどうでもいいことだ。
荷物をまとめて街へ出よう。
冷たいベルリンの空気を吸い込んで、ゆっくりと吐き出した。

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