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女子と語学力(14) 〜ただ一度 授業を休んだ それだけで!?〜

大学時代の苦い思い出について引き続き書きたい。

 授業から逃避し、当時7つもあったクレイジーな寮のイベントに夢中になり、予習復習もろくにせず、さらには学内でおそらく初めて行われた「有志団体(!)」によるオペラ活動などに関わったため、毎日睡眠不足、授業のスケジュールすらもおざなりにしてしまった典型的なモラトリアム学生としてのスタートを切ったのであったが、最初に所属していた学科の必修科目はかなり難易度が高く、また自分が学びたいと思っていたこととは、内容にずれがあったことに気づきますます授業へのやる気は薄れていた。
 
 高校生の時の狭い視野の中で、「語学」を学びたい、と思っていた。その結果選択した学科で学んだ学問は、「言語学」だった。こういうずれは「あるある」なのかもしれないが、周囲の進路について指導をしてくれていた先生たちが「言語学」がなんだったのかを全く知らなかった可能性は十分にあるし、自分はもちろん「言語学」がなんなのかまるで知らなかった。

 このズレは、例えていうなら、映画に興味がある!と思って映画の撮影方法を学ぼうと思って入った学校で、カメラの回し方などは一切習うことがなく、映像がどのようにしてスクリーンに映るか、その技術を習っていたようなものだったのかもしれない。本の書き方を学びたかったのに、本を作っているパピルスについて学ぶことになったとか、綺麗な絵の描き方を学びたかったのに、絵の具の歴史や筆の毛、についての授業をとることになった、というようなズレだったかもしれない。

 マニアックな知識が求められる雰囲気で、授業の最前列で目を輝かせている学生たちの異様な熱いテンションに、どんどん「自分の居場所はここではなかった」感が深まってしまった。また寮に住んでいたことでそれまでの人生の総友人数を超えるほどの知り合いがまたたくまにできたことが嬉しく、いろんな活動に関わりすぎて、ますます授業への情熱は失われていった。その結果、忙しすぎたために、所属学科の重要な必修科目の初日の授業をうっかり出そびれてしまった。二回目で初めて出席した時、一回目に配布された資料をもらっていないことに気づいた。そのことをおづおづと、担当のコヤマ先生(仮名)に言いに行った。

「すみません、一回目の授業に出られず、今日資料が欲しいのですが・・・」

先生は、汚いものを見るような目でこちらを一瞥した。

「そんな態度じゃ全くダメ!」

というようなことを言って、英文で書かれたホチキスで止められた資料を投げるようによこした。

たった一回授業を出そびれただけである。たった一回である!!!

確かに、真剣に授業を受ける人々にとって一回目の授業は大事であろう。そこで配られたリーディング・アサイメント(20年ぶりにこの単語を思い出した!読まなければならない課題、のことを通称そのように読んでいた。なにやら気取った表現である)を次の回までに読んでこなければいけないのだから、確かに重要である。しかしこちとら、まだ高校を卒業しただけの若者、若輩者、である。真面目に取り組む人であれば、一度たりとも休まないのが当然、かもしれないが、こちらだって巨大な段ボールで作った花を頭につけて1週間通学したゆえ、夜中に段ボールの感覚が残って目が覚めたり、男子寮の行事の手伝いのため、一日中焼き鳥を焼いた友人が、夢の中でも焼き鳥を焼いていたという話を聞いたり、男子寮の女装コンテストでお気に入りの服を貸し出した友人の服が伸びてしまいショックを受けている様子を目撃したりとか、オペラの合唱部隊に自分はいたのだが、参加していた男性のほとんどが音程が正確に取れないという悲劇とか、いろんな、いろんな(∞)事情があったのだ(時間軸の記憶が適当なのでその授業の時期にこれらの行事をしていたかは若干不明)。

その先生から漂う異様な、上から目線や「できないものは人にあらず」的な視線には、その後も本当に辟易とした。拙文を読んでいることはまずないであろうという前提で、ひたすらその授業での思い出を書いていきたい。

〜女子と語学力(15)へ続く

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