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BUCK-TICK全アルバムレビュー④花も灰もBeauty(補助教材付き)



ハッピーホリデー!山田です。
BUCK-TICKの全アルバムのレビューをやっています。

前回は『肉からMETALまでOK』と題し、「Six/Nine」〜「Mona Lisa OVERDRIVE」について書きました。

楽しんで書いた文章を楽しんで読んでもらえるのは嬉しいです。
前回からちょっと間があいちゃってすいません。地元でDJしたりアブサンを飲んだりしていました。

今回は「十三階は月光」〜「RAZZLE DAZZLE」までをやっていきます。

引き続き、各作品を深く理解するために参考にした他アーティストの作品を(音楽に限らずに)書いておくことにします。
BUCK-TICKが好きな人にもそうでない人にもぜひ読んでいただきたいです。
それでは早速いきます。


●十三階は月光(2005)
ダークさ、美しさ、世界観の緻密さ全てがパワーアップした悪の華の返り咲きである。
一瞬の隙も無くここまでデカダンで演劇的でゴスな音楽を母国語で聴けることに感謝したい。心から。
このアルバムを聴いていると、子供の自分が喜んでいるのを感じる。
ドラゴンを本気でかっこいいと思ってたし、古い洋画は怖かったし、ジャズは大人の音楽だし、おばけが来るから夜ふかししてはいけなかった。
このアルバムはそういう向こう側の世界の持つ魅力に溢れている。
フィクションというかエンタテインメントに没頭する喜びを味わえる。ありがたいです。
世界観を象徴するテーマ曲が要所要所でアレンジを変えて差し込まれるのが「組曲」という感じでいい。
場面転換や暗転のような効果もあって、緩急がつくことによって飽きずに聴けるしアルバムの中に何度もクライマックスがあるのがたまらない。
ROMANCE、夢魔-The Nightmare-など魔界で流行ってる歌みたいなのもありつつ、ALIVEでしっかり命が迸っているのも最高。
あっちゃんって魔王なんだけどすごく人間なんだよな。
魔界史上初、マグル(非魔法族)出身の魔王の誕生。

○参考にしたもの
・くるみ割り人形
・シルクドソレイユ「コルテオ」
・オペラ座の怪人
・インタビューウィズヴァンパイア

音楽作品からも例を挙げたかったけど見つからなかった。
ギターがヘヴィでストリングスも入っているので、試しにゴシックメタルをいくつか聴いてみたけれどメタル特有の(偏見かも)ドンシャリ感がちょっと違うなと思った。
つかゴシックメタルってなによ?
2000年以降の作品で、ドラムがエイトビートを貫いている本格的なゴシック「ロック」があれば聴いてみたい。心当たりのある方は匂わせてください。


●天使のリボルバー(2007)
めっちゃいい!すぐに良さが分かった。Mr.Darkness&Mrs.MoonlightやAlice In Wonder Undergroundなどスパイスの効いたファンタジックな曲もありつつ、この後のmement moriにある躍動感も感じさせるストレートなギターロックも多くてずっと楽しい。
ドラムから始まる曲も多いのが、ヤガミトール推しとしてはたまらない。
まさに天使(ファンタジー)とリボルバー(爆発→死)が融合したような印象。
ツアーめちゃくちゃ楽しかったんだろうなあ。このテンションの悪の華とかHurry Up Modeとか聴いてみたかった。
樋口兄弟が良い仕事しすぎてるBUCK-TICK風ロカビリーLa vie en Rose〜ラヴィアン・ローズ〜や、「トロピカルセクシー天国」が脳裏をよぎるめちゃアホソングCREAM SODA、同じ人が作ったと思えないほどひたすらにイノセントで美しいsnow whiteなど、星野楽曲も良い。
星野英彦ってズルい男だよな。あのカッコよさに嫉妬する男は多いはずだ。
とにかくこのアルバムはかっこいい曲がいっぱい入っているので、各種サブスクのライブラリに入れて様々な場面で聴こう!
CDを持っている人は車に積もう!

○参考にしたもの
・Maneskin「RUSH!!」
パワフルなロックンロールとメンバーの華やかさ、リズム隊の役割分担のバランスとかが近いと思う。
ベースがギャルというのも一緒


●memento mori(2009)
死を想起できるのは生きている時だけなんだ!と思わされるエネルギッシュで欲張りでセクシーなアルバム。
天使のリボルバー以前には無かった(ように感じる)、BUCK-TICKのロックンロール魂を感じる。悲しみを抱えたままで踊るのにぴったり。
アンブレラからの勝手にしやがれなどちょっと歌謡曲ぽい曲があったり、すげぇJ-POPなMessageがあったりと日本人の感性にフィットするようなロックンロール。
そういえばBUCK-TICKってレコ大獲ってるんだった。
かと思えばCoyoteでは砂漠で行脚しているし、相変わらずバラエティ豊かで楽しい。
この曲は、過去作にもよく出てくるオリエンタルな楽曲(BUCK-TICKシルクロードシリーズと呼んでいる)の中でも一番のお気に入りである。
表題曲mement moriはまさかの琉球音階というのも驚いた。ボイゼンガ〜ルズ♪で思わず吹き出した。でもイントロのクラップはなんとなくフラメンコ的な匂いも感じるし、しっかりギターソロ弾くし、なんでもありで最高。沖縄公演では指笛が鳴り響いたことだろう。
Mona Lisa OVERDRIVEの多幸感はどこか片道切符感があったけれど、この作品は今ここに生きる喜びに乾杯!みたいな雰囲気があっていい。
アブサン以外のお酒を飲みながら聴きたい。あと全曲カラオケで歌いたい。

○参考にしたもの
・OKAMOTO'S「NO MORE MUSIC」「BOY」
・The Bohemians「That Is Rock And Roll」


ここはBUCK-TICK世代のルーツを探るより、私たち25〜アラサー世代の日本のロックンロールバンドをあげました。
セレナーデ-愛しのアンブレラ-のロマンチックな感じが好きな人は絶対Bohemiansも好き。


●RAZZLE DAZZLE(2010)
"RAZZLE DAZZLE"て英語で"乱痴気騒ぎ"的な意味の言葉らしいですね。
Django!!-眩惑のジャンゴ-に出てくる「フレンチカンカン」→映画「ムーランルージュ」→Fat Boy SlimのBecause We Can→M-1グランプリ、と無理のあるこじつけにはなるけれど、師走のムードに合うアルバムだと思う。
宇野亜喜良のジャケからして十三階は月光に近い耽美な世界観の作品なのかなと思ったらポップでテンションの高い曲が多くて嬉しい驚きがあった。体がほかほかする。
前作からのポジティブなムードにプラスして色気がムワッと香り立つというか、艶めかしさもある。
BUCK-TICKはセクシーなバンドだということを何度でも思い知らされる。
十三階は月光のALIVEで高らかに生と死を歌いきってからポジティブというか、生も死も恐れない勇気を感じる曲が増えた。
独壇場Beauty-R.I.P.-の「花も灰もBeauty」という歌詞がそれを象徴してると思う。泣きたいのに泣かせてくれない今井寿って優しいんだな。
通して聴いてみると統一感があるというか、アプローチは違えど全曲同じことを歌ってるような感じがする。
何かに夢中になっている瞬間の人間の煌めきを、手を品を変え讃えるようなアルバム。
人それぞれ一番好きな曲は違えど誰が聴いても似たような感想を抱くだろうなというか、普遍的で強靭なJ-Popだと思う。イェイイェイ!

○参考にしたもの
・映画「ムーランルージュ」
・Apple Musicにある2010年邦楽のプレイリスト
スカパラの流星とバラード、斉藤和義のずっと好きだったなど、他のロックミュージシャンも楽しい曲をリリースしていてBUCK-TICKがここに入っていないのが不思議でさえある。
当時はテレビに出てるか出てないかで売上や知名度が大きく違ったんだろうな。
そう考えると、今はいい時代だ。リスナーとしてはね。


今回はここまで。
バクチク現象まであと数日ですね。
このレビューもここから一気に捲っていくぞ〜。

次は「夢見る宇宙」だ!

引き続きお付き合いください。
ありがとうございます。
以上ですニャ

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