見出し画像

BUCK-TICK全アルバムレビュー①誕生から羽化(補助教材付き)


山田です。
BUCK-TICKのレビューをやります。


BUCK-TICKに本格的にハマったのは今年9月中旬です。
フロントマン櫻井敦司さんの急逝は、もっと彼らを知って一緒に未来を歩んでいきたい!と夢中で彼らのキャリアを遡っている最中のことでした。
彼の歌声を生で聴けることが叶わなかったことの悔しさもありつつも歌の中ではまだまだ私は彼と出会えることに希望を感じ、まるでそうしないではいられないように毎日BUCK-TICKを聴いています。

時系列を無視して気になるものから掘り下げていたのですが、なんせ彼らのキャリアは長くて濃厚なので気が遠くなってきました。
ここは気を取り直して1から聴くことにしました。

98年生まれでV系にも明るくない人がBUCK-TICKを聴いたらどのような感想を持つのかについて書き残してみようと思います。

また、各作品を深く理解するために参考にした他アーティストの作品を(音楽に限らずに)書いておくことにします。
BUCK-TICKが好きな人にもそうでない人にもぜひ読んでいただきたいです。
それでは早速いきます。


●HURRY UP MODE(1987)
彼ら唯一のインディー時代の作品だそうで確かに今のダークでゴスな雰囲気はなく、バンドブームの邦楽ポジパンとして楽しく聴けるようなポップな感じ。
CureにもBOØWYにも聴こえる、ゴスとはまた違ったベクトルでドリーミンな、かつフレッシュな快作。
ポップセンスとメランコリックなギターサウンドをストレートに楽しめるのが良いなあと思った。あっちゃんは一生懸命歌っていて偉い。

○参考にしたもの
・The Cureのベスト盤
・BOØWYのベスト盤
・Apple Musicにある1987年邦楽のプレイリスト


●SEXUAL ×××××!(1987)
メジャーデビュー1作目ではあるものの前作とリリース年が同じなのでテンション感は大きく変わらないものの、胸キュン粒ぞろいの素晴らしい作品。星野英彦のカッティングの切れ味が増し、よりBOØWY感もアップ。
このアルバムのキーマンはヤガミトールだと思っていて、彼の直線的なエイトビートの迫力ともはや焦燥感ともいえる疾走感がアルバム1枚をあっという間に聴かせてしまう。
ILLUSIONやMY EYES&YOUR EYESなどの名曲もこの時点で生まれていて、今井寿のソングライターとしての才能に感服。
ただ音質やミックスにどうしても時代を感じる。当時感というか昔の音楽が好きという人は今のBUCK-TICKにピンときてなくても楽しく聴けるだろうし、逆に近年の作品からファンになった人はあれ?てなる気がする。

○参考にしたもの
シーナ&ロケッツ「真空パック」
胸キュン粒揃い、かつキーマン(鮎川)の唯一無二な演奏がアルバムに説得力を持たせている感じが似ていると思ったから。併せて聴くとどちらのアルバムもより楽しく聴けるようになった。


●SEVENTH HEAVEN(1988)
過去の2作のポジティブな雰囲気の中に見え隠れしていた儚いファンタジーの要素がより強まっていて、どこを進化させて行くべきかの判断の的確さに驚く。
この後のTABOO、悪の華などのよりダークで浮世離れした路線に行くための分水嶺のようなアルバムでありながら、初期の持ち味である懐っこいメロディセンスはそのままなので引き続き楽しく聴ける。
歌詞もより抽象的で、夢見がちな青年の空想世界のようでロマンチック。1曲目とラストが双子になっている、魅せる構成も素敵。

○参考にしたもの
過去の2作
(これはこれとしてすごく好きなんだけどもっとよく理解したいなと思っている)


●TABOO(1989)
過去作にあったノスタルジックで甘酸っぱい雰囲気は鳴りを潜め、ダーク路線に鮮やかに舵を切った傑作。
櫻井敦司の地を這うような低音ボーカルがICONOCLASMでお披露目され、英詞からのTOKYOの流れも最高。JOY DIVISIONを母国語で聴いたらこんな感じかなあと思いを馳せずにいられない。
ヤガミトールのエイトビートもポストパンク感をより強めていて、持ち味はそのままぐっと垢抜けていてかっこいい。
人懐っこいポップなメロディを期待していた人を前半で裏切りつつ、地下から一気に天に上昇するようなANGELIC CONVERSATIONでダーク路線に喜んだ人をも裏切る流れに涙。
イノセントで壊れそうなほど内省的なSILENT NIGHTは英詞パートはルーリードなのに日本語詞パートで尾崎になるのが不思議。櫻井敦司は言葉をしっかり聴かせるボーカリストであることの証明になるような隠れた名曲。
そしてこんな挑戦作の中にレコ大を獲ったJUST ONE MORE KISSが入っているのがBUCK-TICKのすごい所だよなあと思う。
決して多くはない曲数の中でリスナーの期待を裏切り続け最終的に全員を満足させる素晴らしいアルバムで、私がBUCK-TICKを初めて聴く人にまずおすすめするならこれ。大好きです。

○参考にしたもの
JOY DIVISION「Unknown Pressures」
Lou Reed「Transformer」
尾崎豊のベスト



今回はここまで。なんかキリがいい感じがするので。
書くのが楽しくて楽しくてたまらなかったので、挫折せずに現在に至るまでやれそうです。
BUCK-TICKが先に新作をリリースしてしまわないうちに書ききりたいと思います。
引き続きお付き合いください。
ありがとうございます。
以上ですニャ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?