サンダードルフィン(東京ドームシティ)

 仕事を終え帰宅のために丸ノ内線に乗る。時間は18時過ぎ。東京駅、大手町駅などで多数の会社帰りのサラリーマンを吸い込んだ車両は、朝のラッシュほどではないものの、かなりの混雑である。
 普段ならすし詰めに近い状態の車両は1本見送れば次に来る車両は比較的に空いているのが常だが、今日に限っては次の車両も結構混雑していた。やむなくその車両に乗り込む。

 御茶ノ水駅、本郷三丁目駅では降りる乗客は少なく、更に乗車する人数は増えている。進行方向左手の窓を眺めながら、ぼんやりと吊革につかまっていると、目の前が明るくなり地上に出ると。目の前の景色が一気に下に降り、そのまま白山通りの上を高架で通過する。
 その瞬間、一瞬だけ目に飛び込んでくるのは、白いレールにオレンジ色の車体。

「次は、後楽園。南北線、春日接続大江戸線、三田線はお乗り換えです」
 自動アナウンスが、後楽園駅への接近を告げる。よし、乗り換えよう。

 多数の乗客とともにホームを降り、改札を抜ける。かなりたくさんの乗客がぞろぞろと東京ドームに向かっている。そうか、今日はライブか何かがあるんだな。そう思いながら三叉の歩道橋を彼らとは別の方向、ラクーアに向かって進む。ラクーアの建物には入らず右脇の道路沿いに設けられたテラスをすすむ。見上げればそこは、サンダードルフィンのレールの真下。

 轟音とともに走る抜ける音を聞きながらテラスを進み階段を登ればそこはサンダードルフィンのキューラインの入口。
 自動券売機で利用券を購入、階段を登る。平日だけあってキューラインに並んでいる人は数十名程度だった。これなら10分程度の待ち時間しか無い。空いているのは良いなぁ。
 ホーム手前の係員にチケットを手渡す。改めて手荷物の預入について説明をうける。キューラインのモニターや立て看板などを含め、しつこいくらいに説明があるが、安全のためにやむを得まい(これくらい言っても全然説明を聞かずにカメラなどを持ち込もうとする人が後を絶たないのだろう)。

 列が進み、搭乗順がやってきた。案内された番号は10番。まぁ良くもなく悪くもなくと言った位置かな。ゲートが開き、乗車開始。
 荷物をロッカーに入れ着席したらシートベルトのみ装着。安全バーも降ろしたくなるが、そこは我慢。スタッフさんがやってきてシートベルトのロックを確認した後、安全バーを降ろしてくれるのを待つ。

 全ての乗客の安全確認が終わったらいよいよスタート。発車ベルがなるがすぐにはスタートしない。前方の巻き上げ部にある牽引ロープがゆっくりと下がってくるのが見える。この間に、オペレーターさんのトークが入るのがサンダードルフィンの特徴でもある。オペレーターさんと乗客のノリが共に良いと盛り上がったままスタートしてくれるのだが... なかなかうまくいかないものです。
 微妙な雰囲気が若干残りつつ、巻き上げ開始。馬力のあるモーターを使用しているため急斜面を上昇しているとは思えない速度でぐんぐん登っていく。普通のコースターの巻き上げに慣れている人はここで結構驚く。私も最初はかなり驚いたものだ。

 あっという間に最上部に到達。上昇中の勢いをそのまま利用して、ファーストドロップに突入する。

 74度の急落下。バンザイではなく腕を広げて、まるで自分が鳥になったかのような気分で急降下を堪能するのが私のサンダードルフィンでのお約束。そのまま一気に66mの落差を駆け下り、そして駆け上がる。
 右にカーブして、ラクーアビルの屋上へ。速度を落とさないまま、特徴的なデザインとなっているビルの壁面に開けられた大穴を潜り抜け、さらに旋回しつつセンターレス観覧車「ビッグオー」の中を突き抜ける。


 軽いエアタイムを感じながら再度ラクーアビルの屋上。今度はかなり左右に振られながら屋上を進む。このちょうど真下に温泉(しかも露天風呂)があるとはとても信じられないが、実際スパラクーアの露天風呂で寛いでいると、度々振動とともにライドの通過する轟音を感じることが出来る。そんな体験をできるのは恐らくここだけだろう。

 最後にラクーアビルから降下し、白山通りと並走して急停車。十分な余韻に浸ることが出来るだけの時間の後、再度ゆっくりとライドが動きプラットホームに到着する。巻き上げ後から停車まで1分にも満たない時間だが存分に堪能することが出来た。
 ライドを降り、ロッカーから荷物を取り出すと出口が混まないうちに速やかに出口に向かう。

 心地よい酩酊感を少し残しながら、1Fまで階段を降りる。すこし小腹がすいてきた。今日はここで夕食を食べて帰ろう。回転寿司屋かたこ焼き屋かつけ麺屋か、それともファーストフードのチキンか。メニューには悩むが、目の前にあるお店の何処かに入ることだけは決めている。なにせこれらのお店では、食事中でもサンダードルフィンの通過する振動を感じることが出来るのだから...。

[END] 

サンダードルフィン:http://at-raku.com/attractions/thunder_dolphin.htm



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