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2019年前半のVRはアニメに期待

 VR映像というと実写かハイクオリティCGというイメージが強いですが、2018年夏ぐらいから、アニメ風の映像が増えてきたように思います。日本にもともとあるアニメ文化とVRがうまく融合していることによるものでしょう(その一つがVtuberですが、これはちょっと方向性が違いますね)。

 そんな2019年前半、私が期待しているVRコンテンツ3つを紹介(画像はすべて各コンテンツの公式または関連サイトのキャプチャーです)。

『東京クロノス』 https://tokyochronos.com/
 現在の渋谷(のパラレルワールド?)を舞台にした完全オリジナルストーリーのミステリーアドベンチャーゲーム。著名なアニメ関連スタッフや声優が制作に関わっているということで、認知度も一番高い。
 VRを利用したことがない声優ファンも、開発イベントに集まっているため、VR利用者の裾野を広げるきっかけにもなりそうです。

『クラユカバ』http://iyasakado.com/works/kurayukaba/ 
 フラッシュアニメ出身のクリエイターが中心となって制作するサイバーパンク風のアニメーションビデオ。VR技術を用いて撮影(マシニマ的な手法かな)し、後に撮影用VRセットデータを活用した「映画村」的なコンテンツを制作するとしています。

『狼と香辛料VR』 http://spicy-tails.net/saw-vr/
 約10年前にTVアニメ化もされた小説『狼と香辛料』のファンタジー世界をVRで体験できる新たなコンテンツを制作。アニメ化時の声優を起用、原作者も深く関わっているということで、もともとの作品を知るユーザーに強そうです。

 それぞれ「完全オリジナル・VR専用」「アニメとVR同時制作」「既存アニメのVR再生」と手法は異なりますが、共通しているのは「アニメ制作に実績あるスタッフが深く関わっている」こと。
 これまでのVRコンテンツはまずVR技術ありきで、技術をいかに活かすか、あるいはVRで何ができるか実験というパターンで、コンテンツに必要な物語について力を入れたものは多くありませんでした。
 この3作品はアニメ経験者が深く関わっていることで、まずストーリーなどコンテンツが中心にあって、VRはそのコンテンツを効果的に表現するための道具になっているように思います。
 コンテンツが主体だからこそ、高い費用と技術が必要なハイクオリティCGではなく、程よいコスト(既存のアニメ実績を活用)で最大限の効果を得られるアニメ風の映像になってきたのでしょう。

 またユーザー側にとってもハイクオリティCGの場合は、体験するのに高性能PCが必要なハイスペックVR(HTC VIVEやOculus Rift、WindowsMRなど)でなければなりませんでしたが、2018年に登場した3万円以下で買えて単独で利用できる「OculusGO」でもアニメ風映像なら充分その効果を得られます。(さらに2019年には、「OculusQuest」などもっと性能の良い中間層向けのVR機器が発売されるようです)。

 これら製作者側と利用者側の環境がアニメ風映像だとうまく一致するので、2019年前半には日本のVRコンテンツを「アニメ風映像」が牽引していくのではないでしょうか。


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