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清水プロがモンド王座決定戦優勝

 日本麻雀連盟・清水香織プロが第18回モンド王座決定戦で優勝しました。

 渋谷ABEMAS・白鳥翔プロ、セガサミーフェニックス・魚谷侑未プロ、TEAM雷電・瀬戸熊直樹プロの強豪Mリーガー3人との戦いで、清水プロは持ち前の勝負強さを発揮。栄冠に輝きました。

 強烈な攻めの打ち筋で「セメントクイーン」の異名を持つ清水プロ。勝因となったのは得意の攻めではなく、最終戦で役牌・ドラ2の聴牌を崩し、放銃を回避した辛抱の守りでした。

☆4人の優勝者が激突

 モンド王座決定戦は連覇を目指す魚谷プロ、女流モンド杯優勝の清水プロ、モンド杯優勝の白鳥プロ、名人戦優勝の瀬戸熊プロが対戦。4試合戦い、合計ポイントを競いました。

 第1戦は瀬戸熊プロがトップを取りました。

 第2戦は清水プロ、第3戦は白鳥プロがトップを獲得しました。

 最終戦の第4戦を迎え、総合ポイントは1位の清水プロと2位の白鳥プロが8.9ポイント差、3位の瀬戸熊プロとは14.3ポイント差で、三つどもえの大接戦。最終戦で一番順位の良い者がモンド王座に就きます。

 魚谷プロは1人大きくマイナスし、1位とは116.4ポイント差でした。最終戦で超特大トップが必要です。

☆魚谷プロ大逆襲の国士無双

 最終戦は清水プロ、白鳥プロ、魚谷プロ、瀬戸熊プロの並び順です。

 東1局に総合ポイントで沈んでいた魚谷プロの超大物手がいきなりさく裂しました。

 西家の魚谷プロの配牌です。9種10牌あり、国士無双に向かいました。

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 魚谷プロは2巡目に9萬、3巡目に中を引き入れ、あっという間にイーシャンテンです。

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 北家の瀬戸熊プロにチャンス手が入っていました。8巡目に發をツモった手牌です。

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 瀬戸熊プロは場に1枚切れの白を外し、場に2枚切れの發を安全牌として残しました。

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 この選択が痛恨の裏目となりました。

 魚谷プロは9巡目にラス牌の9索をツモり、發単騎待ちで国士無双を聴牌しました。

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 すると、9巡目に瀬戸熊プロがツモったのが2萬です。

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 この手牌ならばまず發を切ります。

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 これがドンピシャで魚谷プロに放銃となりました。魚谷プロは国士無双で32000点です。

 絶望的な状況でも絶対にあきらめず、不撓不屈の麻雀を貫く魚谷プロの面目躍如です。

 東2局でも南家の魚谷プロは北家の清水プロとのリーチ合戦に勝ち、發を暗刻にして黙聴に構えていた西家の瀬戸熊プロから8索を打ち取り、リーチ・三色の5200点(+1000)をあがりました。

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 魚谷プロの大逆襲が加速しました。

☆細かいあがり重ねた清水プロ

 魚谷プロに待ったをかけたのは清水プロです。鳴き仕掛けで細かいあがりを重ねました。

 東3局に西家の清水プロは東家の魚谷プロから6筒を打ち取り、東・ドラ1の2000点をあがりました。

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 流局を挟んだ東4局1本場には南家の清水プロが東家の瀬戸熊プロから2筒を打ち取り、タンヤオ・ドラ1の2000点(+1300)をあがりました。

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 親の瀬戸熊プロはカンチャンの2索待ちで聴牌しており、一手変わりでツモり四暗刻の聴牌でした。

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 役満返しが実らず、瀬戸熊プロは厳しい展開です。

☆白鳥プロの実戦的な選択

 南1局を迎え、持ち点は西家・魚谷62000、東家・清水28300、南家・白鳥24000、北家・瀬戸熊-12500です。

 清水プロをまくらなければ優勝できない白鳥プロが実戦的な打ち筋を見せました。

 白鳥プロが5巡目に1萬をツモった手牌です。

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 9萬を外せば、ピンフがつく5萬・8萬待ちの聴牌に取れます。

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 6萬を切ればカンチャンの8萬待ちでイーペーコーの聴牌です。

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 しかし、白鳥プロが選んだのは7萬切りでした。役のつかない9萬・6索・9索待ちでリーチしました。

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 白鳥プロは清水プロの親を流そうと、ピンフなどの役にこだわらず、あがりやすさを優先しました。

 清水プロが12巡目に9索を切って白鳥プロに放銃。白鳥プロはリーチのみの1300点です。実戦的な選択で僅差で優勝を争うライバルの親を狙い通り流しました。

☆セメントクイーンの辛抱

 南2局が勝負どころとなりました。持ち点は南家・魚谷60200、北家・清水27000、東家・白鳥25300、西家・瀬戸熊-12500です。

 清水プロと白鳥プロの点差はわずか1700点です。

 最初に攻勢に出たのはラス親を迎えるまでに点差を少しでも縮めたい瀬戸熊プロです。10巡目に1筒・4筒待ちでリーチしました。

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 親の白鳥プロも追いつき、11巡目に5萬・8萬待ちでリーチです。

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 2人のリーチを受けた清水プロの11巡目の手牌です。場風の南を暗刻にしてドラを2枚持っています。

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 清水プロは瀬戸熊プロがツモ切った2索をチーしました。5萬を切って3萬・6萬待ちの両面に取りたいところです。けれども5萬は危険牌です。

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 清水プロは慎重に白鳥プロの現物の4萬を切り、5萬・6筒のシャンポン待ちに構えました。

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 最後の親番の前にもうひとあがりほしい魚谷プロも12巡目に追いつき、1萬・4萬待ちでリーチしました。

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 4人の手が激しくぶつかりあい、まさに優勝の行方を左右する一局になりました。

 清水プロが12巡目にツモったのが8萬。白鳥プロのあがり牌です。

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 南・ドラ2であがれば優勝のぐっと近づく手です。強烈な攻めで知られるセメントクイーン。ばしっと8萬を勝負して決めに出たいところです。

 しかし、清水プロは勝負に行きたい気持ちを抑え、辛抱して暗刻の南を1枚外してオリに回りました。

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 この判断が奏功。見事に放銃を回避しました。

 この一局の軍配は魚谷プロに上がりました。14巡目に高めの4萬をツモ。裏ドラが1枚乗り、リーチ・タンヤオ・ツモ・ドラ1・裏ドラ1の2000、4000(+2000)です。

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 南3局を迎え、持ち点は東家・魚谷70200、西家・清水25000、北家・白鳥20300、南家・瀬戸熊-15500になりました。

 白鳥プロは最後の親を流され、満貫を親被りしてリーチ棒も奪われ、清水プロとの点差は4700点に広がりました。

 南3局は清水プロが場風の南を暗刻にして1筒・4筒待ちで聴牌。

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 清水プロは親の魚谷プロから1筒を打ち取り、南・ドラ1の2600点です。魚谷プロの親を流し、大逆転の夢を断ちました。

☆瀬戸熊プロ執念の連荘

 南4局を迎え、持ち点は北家・魚谷67600、南家・清水27600、西家・白鳥20300、東家・瀬戸熊-15500です。

 逃げきりを図る清水プロとオーラスの逆転を目指す白鳥プロの一騎打ちの様相でした。

 ところが、ここから役満放銃の悪夢のスタートから苦戦の続いていた親の瀬戸熊プロがものすごい執念の連荘を見せました。

 最初に勝負に出たのは白鳥プロです。12巡目にカンチャンの5索待ちでリーチしました。

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 白鳥プロは一発でツモらなければ清水プロを逆転できません。

 瀬戸熊プロが13巡目に追いつき、1筒・4筒待ちでリーチしました。

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 瀬戸熊プロからリーチ棒が出たので、白鳥プロは一発がつかなくてもツモれば逆転できるようになりました。白鳥プロはそれを想定してリーチに踏みこんだと思います。賢い判断です。

 けれども、あがったのは瀬戸熊プロでした。16巡目に4筒をツモ。リーチ・タンヤオ・ツモの2000オール(+1000)です。

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 南4局の1本場から4本場まで全て流局。瀬戸熊プロはしぶとく聴牌して連荘です。

 南4局5本場(供託2)はメンゼンが持ち味の瀬戸熊プロがしゃにむに鳴いて、2萬をツモあがりしました。

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 瀬戸熊プロはタンヤオのみの500オール(+3500)です。

 南4局6本場を迎え、持ち点は北家・魚谷62600、南家・清水19600、西家・白鳥14300、東家・瀬戸熊3500です。

 瀬戸熊プロは4000オールでトップ目に立てます。国士無双放銃から素晴らしい追い上げです。瀬戸熊プロの優勝への執念が伝わってきました。

☆大胆な鳴き仕掛けで決着

 南4局6本場に最初に仕掛けたのは清水プロです。1巡目にドラの發を切り、3巡目に3萬をポンしました。

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 まだ形の整っていない手牌なのにセメントクイーンらしい思いきった鳴き仕掛けです。

 一方、白鳥プロは1巡目からイーシャンテンでした。

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 けれども、役をつけて清水プロを逆転する手に育てなくてはいけません。 

 白鳥プロは4巡目に9索をツモりました。

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 2索を切れば5萬・8萬待ちの聴牌です。しかし、役がありません。

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 白鳥プロはピンフをつけようと聴牌には取らず、3索を切りました。

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 さらなる連荘を目指す親の瀬戸熊プロは6巡目にイーシャンテンです。

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 清水プロは3萬をポンした後、ツモが効きました。鋭い勝負勘です。

 6索、4索、6筒、7筒を引き入れ、7巡目にイーシャンテンです。 

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 清水プロは8巡目に7筒を重ねて5索を切り、13巡目に絶好の5筒をツモりました。

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 7筒を切ればカンチャンの3筒待ちの聴牌に取れます。

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 清水プロは2筒を切り、7筒・8筒のシャンポン待ちを選択しました。

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 瀬戸熊プロ、白鳥プロはなかなか聴牌できません。魚谷プロはオリていました。

 清水プロが14巡目にツモったのが3筒。カンチャン待ちに取っていたら優勝でした。

 それでも勝利の女神は清水プロに微笑みました。白鳥プロが14巡目に8筒をつかみ、清水プロに放銃。清水プロはタンヤオのみの1000点(+1800)で優勝を決めました。

 第4戦のポイントです。

 ①魚谷72.6②清水2.4③白鳥-28.5④瀬戸熊-46.5

 ◇最終結果

 ①清水37.3②白鳥-2.5③魚谷-8.9④瀬戸熊-25.9

 清水プロは女流モンド杯に8年ぶりの出場で18年ぶり2度目の優勝を成し遂げ、モンド王座も獲得しました。長い麻雀プロ人生の中でも特別で有意義な年になったと思います。


 

 

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