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天鳳名人戦で魅せた対応型の切れ味

 第11期天鳳名人戦でおかもとさんが初優勝しました。

 歴代天鳳位の対決となった2022年8月17日(水)の最終節では、対応型の実力者として知られるその本領を発揮。安定した打ち回しで場をリードし、勝負どころでは麻雀ファンを魅了する切れ味鋭いあがりを決め、悲願を成し遂げました。

 特に印象的だったのは残り2試合となった最終節の3回戦です。おかもとさんは東1局に強烈なフリテンリーチによる跳満をツモあがりました。その一局を振り返ります。

 3回戦を迎え、総合ポイントは、yoteruさん237.6ポイント、おかもとさん237.3ポイント、マークツーさん188.9ポイント、いばらぎさん(茨城啓太プロ)170.2ポイントです。

 接戦でこの試合を制した者が優勝に大きく近づきます。並び順はyoteru、いばらぎ、おかもと、マークツーです。

 東1局で親のyoteruさんがチートイツのイーシャンテンから鳴き仕掛けをします。

 4巡目に8筒、5巡目に1索をポンしてトイトイのイーシャンテンです。

天1

 ところが、いち早く聴牌したのは南家のいばらぎさんでした。6巡目に2筒・5筒待ちでリーチします。

天2

 いばらぎさんはリーチ・ピンフ・ドラ1の手です。総合ポイント4位なのでぜひあがって反撃の狼煙を上げたいところです。

 リーチ直後、西家のおかもとさんが6巡目に9萬をツモった手牌です。

天3

 おかもとさんは現物の2萬を切り、リャンシャンテンです。

天4

 おかもとさんは7、8巡目に続けてリーチ者に通りそうなトイツの東を外し、手牌の再構築を図ります。

 7萬を2枚引き入れ、11巡目に6萬をツモった手牌です。

天5

 4索を切れば、4萬・1筒のシャンポン待ちで聴牌です。

天6

 4萬と1筒はいずれも場には1枚も切られていませんでした。一方、場に索子が高く、4索はいばらぎさんに通ってなく、yoteruさんにも切りたくない牌です。

 対応型が持ち味のおかもとさんです。さすがにシャンポン待ちには取らず、比較的安全そうな9萬を切りました。

天7

 おかもとさんは13巡目に3索をツモり、危険牌の4索にくっつきました。いばらぎさんが13巡目に切ったばかりで安全牌となったトイツの1筒を1枚外します。

天8

 そして14巡目に2索を引き入れ、6萬・9萬待ちの聴牌です。

天9

 9萬を切っているのでフリテンです。おかもとさんは黙聴に構えました。

 16巡目にyoteruさんから初牌の發が手の内から切られました。ドラまたぎの2筒をツモり、トイツの發を1枚外しました。

天10

 親のyoteruさんがオリに回ったのは明白です。

 すると、それを察知したおかもとさんはその直後、16巡目に3索をツモ切り、6萬・9萬待ちでフリテンリーチに踏み込みます。

天9

 この3索を北家のマークツーさんがチーして一発を消します。

 しかし、おかもとさんは17巡目に高めの6萬をツモりました。

天11

 リーチ・タンヤオ・ピンフ・イーペーコー・ツモ・ドラ1の3000、6000です。おかもとさんにとって価値の高いあがりとなりました。

 おかもとさんは親がオリに回ったので、リーチしているいばらぎさんとの一対一の勝負ならば、フリテンリーチでも勝ち目があると判断。対応型の実力者らしい打ち筋でしかも鋭い切れ味です。

 このあがりで勢いに乗ったおかもとさんは初優勝の栄冠に輝きました。おかもとさんの攻守のバランスに魅せられた最終節でした。

 

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