〈いきなりなんやけど、今お前彼女おらんやんか〉

「ああ今おらんね」

〈一人、彼氏欲しいっていう女のねんけど良かったらどうかなと思って〉

「マジで？それはありがたい」

〈しかも結構美人やで〉

「マジか。おれちなみに、顔で言うたらなんていうか、ハーフ顔というか、洋風な感じの顔が好きやねんけど、どんな顔？」

〈めちゃくちゃ外国人離れした顔〉

「・・・あ、純和風やね。日本人離れじゃなくて？」

〈やまとなでしこ〉

「ああ、まあ綺麗は綺麗なんや」

〈むちゃくちゃべっぴんさん〉

「あ、そう。芸能人で言うたら誰かに似てたりすんの？」

〈そやなあ・・・あ、上戸彩を〉

「おお」

〈2で割った感じ〉

「なんか足してから割れよ」

〈ん？〉

「今、上戸彩真っ二つよ？」

〈あ、上戸彩にHIROさん足して2で割った感じ〉

「それ子供や」

〈？〉

「え、五十嵐夫妻の子供紹介しようとしてる？」

〈いや、普通の女の子〉

「じゃあ旦那足さない方がいいよ。ややこしくなるから」

〈よおわからんけど、とにかく綺麗やねん〉

「伝わらんなあ」

〈目が可愛いらしくてね〉

「目が？」

〈うん〉

「パッチリ二重的なこと？」

〈いや、奥一重〉

「奥一重？何その気持ち悪いの」

〈で、あと皮膚もスッベスベ〉

「肌って言えや。皮膚スベスベはあんま嬉しくないやろ」

〈たぶん一目惚れすると思うわ〉

「プレゼンが下手やねんなあ」

〈一回会ったらわかる〉

「まあ、見た目がええのは分かったわ。中身はどうなん？」

〈大丈夫、今年の健康診断どこも異常なかったって〉

「体内の話ちゃうねん。性格」

〈あ、性格ね〉

「分かるやろ」

〈性格もめっちゃ良い。優しいし気も利くし〉

「あ、そうなんや」

〈しかもお前草食系やんか？〉

「まあ、そうかな」

〈その子めっちゃ肉食系〉

「あ、そうなんや」

〈肉食系で、ベジタリアン〉

「ちょっとややこしいね。食生活と恋愛が真逆のパターン」

〈相性良いと思うわ〉

「そうなんかなあ。あ、仕事は何してんの？」

〈仕事はしてないんちゃうかな〉

「あ、最近辞めたとか」

〈いや、専業主婦〉

「え、え？待って待って」

〈ん？〉

「結婚してんの？」

〈え、不倫やで？〉

「いや聞いてない聞いてない」

〈言ってない言ってない〉

「困ります困ります」

〈ええ？〉

「いやそらそやろ。不倫なんか今の時代絶対ダメよ」

〈大丈夫やって〉

「あかんに決まってるやん」

〈ちゃうねん、ここは旦那のOKもらってるから〉

「なんでなん」

〈そういう夫婦やねん〉

「どういうことやねん」

〈大丈夫。おれも一時期そういう関係やったから〉

「余計イヤやわ。お前のお下がりかい」

〈いいやん、男紹介してくれってうるさいねん〉

「肉食系やもんな」

〈でもベジタリアンやで〉

「ええわそれは。とにかくおれはその子とは会いません」

〈ええいいやんか〉

「いいです。他の人紹介してあげてください」

〈わかったわかった。その子にはまた別の人探すわ。ただ、お前にもう一人紹介したい、ヒトミっていう可愛い子がおんねん〉

「いやどうせまた結婚してたり彼氏おったりするんちゃうん」

〈大丈夫。ヒトミは独身で彼氏もおらん〉

「うーん、まあ一応聞くわ。どんな子？」

〈男好きの、レズビアン〉

「いや、ややこしいからもうええわ」