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日常に欠かせなかった、あの履物。

ずっと履物の事しか考えてないmuneです。

■ハリウッド女優はインフルエンサー

ハリウッドの大女優、オードリー・ヘップバーン がもたらす影響はやはり凄まじい。

ネットが無かった時代。流行が海外から持ち込まれ、日本中に広がっていく。そのスピードやインパクトは、現在とは全く違うはずだ。現代とは異なる当時の広がり方を想像すると、また別の高揚感がある。

ひとつ。今も昔も変わらないことがある。日本がそれを海外から受信したとき、国内バージョンに変換されることがしばしばあるということ。

その理由はいくつかあって、文化あるいは宗教的背景の違い。あるいは異なる法規制。はたまた個人に落とし込めば、フィジカルやメンタル的な違いが挙げられる。理由は様々考えられるが、いつだってそんなものなのだろう。

御本人は全くもって意識はしていなかっただろうが、オードリー・ヘップバーンが日本に持ち込んだ文化は、今日も受け継がれている。

(無自覚にも多大なる影響を与えるオードリーさん)

何を隠そう、私が立ち上げる履物ブランドは『ヘップ』ブランドなのだ。その昔、誰かが命名したそれは、語源がオードリー・『ヘップ』バーンなのだ。

(語源を聞かされ、朝食の手を止めるオードリーさん)

■日本人がやるとこう

まずは下の写真をご覧にいただきたい。

映画「ローマの休日」で、オードリー・ヘップバーン演じる王女アンは、ローマの街へ繰り出す。写真は、デジタル処理でカラーになった、その王女アンである。

白の開襟シャツをロールアップさせて、首元にはスカーフ。鮮やかなサーキュラースカートを合わせて。足下は【オープントゥ / バックレス】タイプのサンダル。紐が付いていて足首で結べる仕様になっている。ヘアスタイルはフロントを揃え、襟足はめいいっぱい短いスタイル。

こういった感じのファッションが、1950年代に大流行したようだ。

そんな流行も、例外なく日本版に落とし込まれる。

当時の日本を代表するような女性を、自分なりに思い描いてみた。
するとこうだ。

右はいずれも昭和の日本を代表する女性像。「サザエさん」「ちびまる子ちゃんのお母さん」である。

ファッションを考察してみよう。トップスのローテーションで日々変わるが比較的シンプル。ましてや両人ともにエプロンを着用している。つまりお出かけの装いではない。注目はスカートから足下。サーキュラースカートは、着丈は完全にオードリー・ヘップバーンのそれと一致。そして足下は彼女が履いた事から、日本でその様に呼ばれることとなった履物…紛れもない『ヘップサンダル』である。ヘップにソックスを合わせている。

調べてみると、映画「サザエさん」が上映されたのが1956年。「ちびまる子ちゃん」の漫画連載開始は1986年だそうだ。

ハリウッドの大女優から派生した一大ムーブメントは、時を経て日本の標準的なスタイルを確立していたのだ。

ちなみに1958年、東京の下町を舞台にした映画「Always 三丁目の夕日」。ここでも同様に、『ヘップ』を用いたスタイリングは採用されている。

(随所に登場する昭和の女性標準履物『ヘップ』)

■日常に欠かせなかった履物『ヘップ』

「つっかけ」や「庭履き」として親しまれていた『ヘップ』。お洒落な履物として一時代を築いたかどうかでは定かではないが、少なくとも遠い距離へ行くための履物ではなかった
推測する。例えばこんな場面。

・玄関で人を出迎える

 ・庭で洗濯や草むしりをする

 ・近所に醤油を借りに行く

 ・回覧板を回す

きっとこんな調子でヘップを履いたのではないだろうか?つまり日常的に履いていたサンダル。それが『ヘップ』なのだ。

ここでは触れていないが、男性用の『ヘップ』だってある。

今後はそんな男性用ヘップについてもお話したいと思います。

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